軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

みんなはどこ?

「ん。……ん?」

はて? どうなったんだっけ?

胸に凄い圧を感じて目が覚めた。

確かノイエが甘えて来て抱きしめていたらファシーが出て来た記憶がある。

最近甘えることに遠慮が無くなった彼女を満足させて……で、最初に戻ってノイエを抱きしめて寝たはずだ。

なのにどうしてこんなに苦しいの?

何かが出ちゃいそうな状態に悲鳴を上げそうになって気づいた。

ノイエがグイグイと力を込めて抱き付いて来ている。

僕の可愛いお嫁さんよ……その寝ながら自然と術式を使っちゃうのを止めて下さい。死にますから。

両腕をホールドされているので、そっと顔を動かして彼女のアホ毛にキスをする。

フニャンと力が抜けた隙に腕を抜いてそっと抱きしめ返す。

いつも通り瑞々しくて滑々な背中を撫でてそっと顔を耳元に寄せる。

「大丈夫ノイエ。傍に居るよ」

「ん」

苦しそうな一言。微かに震えている彼女がまた抱き付いて来る。

「大丈夫大丈夫」

「……」

最近静かだったのに……寝る前の『ざわざわする』で変な記憶でも蘇ったのかな?

怖い夢を見ているノイエが抱き付いて来るので潰されない程度に撫で返し、ヤバくなったらアホ毛にキスしてどうにか耐え続ける。

しばらくするとノイエの腕から力が抜けだした。

「みんな……」

「ん?」

その声に抱きしめている腕を緩めて彼女を見ると、パチッとノイエが目を開いて僕を見た。

「みんなはどこ?」

「……居るよ。ノイエの傍にね」

そっと頭を抱えるように抱き締め直して優しく後頭部を撫でる。

甘えるようにノイエが僕に擦り寄って来た。

「みんなノイエの傍に居るから心配ないよ」

「本当?」

「うん。だってみんな……ノイエの家族でしょ?」

「……はい」

ギュッと抱き付いて来たノイエがそう告げる。

ノイエにとっては掛け替えのない家族が自分の中に封じられているんだ。

そう考えると幸せなのか不幸せなのか……傍に居るけど会えないのだから不幸せなのかもしれない。

と、グイグイとノイエが僕の胸を押し始める。

何事かと思い腕を緩めると、ちょこっと目元を怒らせたノイエさんが居た。若干目つきが鋭い。

「アルグ様」

「ほい?」

「寝てる時はダメって」

「……」

ファシーさん。終わったら服を着てから寝て下さい。

「ふっふっふっ」

「ん?」

「ノイエが可愛いのが悪いんだ~!」

結果まさかの連戦になろうとは……でもノイエが幸せそうな感じで眠ってくれたから良いか。

なんか今日は良いことがありそうな気がする。寝不足確定だけど。

今日も空を厚い雲が覆い、日の光が地上に届かない。

フレアは両手に荷物と花束を抱え……ゆっくりとその場所に向かい歩いていた。

亡き友が眠る場所へ。

あ~。眠い。

隣りを元気に歩くノイエに若干引き摺られつつ、どうにか追いついて行く。

ノイエの辞書に『寝不足』の文字が無いのがズルい。

最悪祝福の力技で寝不足をねじ伏せるのだから恐ろしい。

「アルグ様?」

「大丈夫。起きてます」

「……はい」

ちょこっとお嫁さんからの不満を受けつつそれでもどうにか歩いて執務室へと向かう。

本気で今日は休んでやろうと思ったんだけど、ノイエと一緒に居れる貴重な日を無駄にしたくない。

「ん?」

「良い所に居たな。アルグ」

「失せろ。悪い予感がする」

進行方向から歩いて来る馬鹿兄貴が僕の言葉に対してボキボキと拳を鳴らす。

そっとノイエの背を押して彼女を前に押し出したらあっさりと止めたが。

「で、何さ?」

「ああ。今日は一日外に出るから、何かあったら任せて良いか?」

「……断れない奴でしょ?」

「ああ。悪いが頼む」

ポンポンとこっちの肩を叩いて馬鹿兄貴が横を過ぎていった。

何だろう……いつもと違い、素直過ぎて正直怖いな。

「仕方ない。今日は執務室でのんびりしよう」

「はい」

嬉しそうにノイエが抱き付いて来るから我慢出来る。

つかさ……なんで僕、まだ近衛の副団長なのよ? おかしくない?

「仕方ないです。アルグスタ様しか居ないですし」

「それが変だと言っている。近衛の人材でどうにかしろと言いたい」

執務室について普段通り速攻で仕事を終わらせてノイエに寄りかかって仮眠。しばらくしたらお花摘みに行きたくなった彼女に起こされてソファーへ移動した。

クレアと2人で出て行ったお嫁さんが戻って来たらお茶にでもしようかな……と考えつつ、イネル君に今朝の不満をぶつけている最中だ。

「えっとですね。アルグスタ様の前の近衛副団長はハーフレン様でした。その時の団長様が借金苦でどうにもならなくなってハーフレン様が昇格。それ以降副団長の地位は空席のままだったんです」

「ふむ。近衛の人材はそこまでダメってこと?」

「そうじゃなくてですね」

言い淀むイネル君には悪いが、僕は簡潔に答えを知りたいタイプなのです。

パンパンと手を叩いたら、隠し扉が開いてメイド長が出て来た。

「お呼びでしょうか?」

「どうして副団長の地位って空席だったの?」

「……何の話か分かりませんが、たぶんあの一件に由来しているかと」

スススと歩いて来たメイド長が僕らの前に紅茶の準備をする。

全部で4人分。お花摘みに行っている人妻コンビの分までちゃんとだ。

「アルグスタ様は『ユニウ要塞』をご存知ですか?」

「知りませんな。何それ?」

あっさりと返事する僕にメイド長が冷ややかな目を向けて来た。

えっと……ごめんなさい。本当に知らないんです。

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