軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

……1番からで

ユニバンス王国・王都郊外ドラグナイト邸

「ねえノイエ?」

「……」

「ねえポーラ?」

「……」

怒ったままの2人が口を利いてくれなくなってから、何日が経過したのでしょうか?

会話は無いけど接触はあるんです。ノイエもポーラもベタっと抱き着いて離れてくれないのです。ポーラの方はまだ色々と物足らないけれど、大人の女性であるノイエがずっと抱き着いて来るのは体に毒だ。

このまま『ガオー』と野生を思い出したくなるが、ポーラが居るのでそれも出来ない。

何と用意周到な嫌がらせだ? この僕をここまで苦しめるとは……ブルーグ家よりも余程厄介だぞ?

「そろそろ会話がしたいかな~?」

「「……」」

2人の沈黙が辛いです!

もう本当に許してください。毎晩ちゃんとご飯前に土下座しているじゃないですか!

「お願いだから話を聞いてよ!」

「「……」」

もう嫌だ。これなら僕は明日からお城に存在だけしている自分の部屋で寝泊まりします。

そっちの方が何倍もマシです。宝玉を抱えて行ければ誰かが出て来てくれるかもしれない。

今ならホリーでも可だ。むしろホリーが良い。ホリーなら僕が気絶するまで搾り尽くしてくれるはずだ。

何日と禁欲生活を受けて来た僕としては、枯れ果てるほど搾られたい心境です。

ペシペシペシとノイエのアホ毛が僕の額を叩いて来た。

このアホ毛め……今日の僕は機嫌が悪いのだ。噛みついてやる。

口を開いて捕らえようとするが、スルスルとアホ毛が避けていく。

やるなアホ毛め……ならば本気を見せてやる!

しばらくノイエのアホ毛と戦い続けたが、今日の所は勘弁してあげよう。

「馬鹿なことをしてるわね……馬鹿なの? 馬鹿なのね」

「辛口な発言をありがとうございます」

いつの間にかに背中に張り付いていたポーラが離れ、椅子に腰かけこっちを見ていた。

実はポーラは背中に張り付いている感じなのでそれほど問題無いが、ノイエは腕を回してガッチリホールドなので簡単に抜け出せない。

そう。僕としては最初に口説くべきはポーラであるとずっと思っていた。

ただ最近のこの子は登城すると姿を消して……帰宅する頃に戻って来る。おかげで説得が出来なかったのだ。

「良し! 馬鹿賢者!」

「何よ?」

僕の声に彼女が小さく首を傾げる。

「今夜だけそのままポーラの部屋で寝ててくれ」

「どうする気?」

「ちょっとノイエと夜明けまで頑張ろうかと! 何なら朝日が昇ろうとも頑張る所存です!」

「この王都にドラゴンが迫るわよ?」

「知らんな」

ここ数日ニートのイーリナがニートしていると報告を受けているけれど、あれはサボりが生を得て動いている感じだから仕方ない。

多少のニートは許す。与えられた仕事をちゃんとすれば文句はない。

それに若干腕が緩んできたノイエもたぶん乗り気だ。このまま耳元で囁き続ければノイエのことだからあっさりとこの腕を放してくれる。

問題は口を利いてくれるかは謎だけど、夜明けまであれば少なくともノイエの口から甘い声の1つも出させてやるさ。

「任せたぞ! 馬鹿賢者!」

「だったらこっちの仕事が先よ」

「知らんな!」

「なら本人に意識を返す」

「酷い裏切りぞ! お前まで僕を裏切るのか!」

「何処の歴史物の洋画よ?」

蔑んだ目で見るな。そうな風に言いたくなる日ってあるじゃん。

今の僕がそんな気分なだけだよ。

「助けてよ~」

「だが断る」

「酷い。僕を弄んだのね!」

「遊び道具にはしているけど私だって相手ぐらい選ぶし~」

「おい待て。僕の何に不満が?」

「顔と性格」

「即答だな!」

お兄様と比べれば劣るが、馬鹿兄貴よりかはカッコイイと思っているんですけど?

「評価できるのはツッコミ能力と性欲の強さとあそこの立派さぐらいかしら?」

「いやん。変態」

「変態は貴方よ!」

「誰が変態だ。ちょっと殴っちゃるから……放してノイエ。止めないで」

「……」

ダメか。むしろノイエの腕がきつく回され、ガッチリホールドして来る。

ノリでこのまま解放とはいかなかったか。流石ノイエだ。

「で、そろそろ本題を話しても良いかしら?」

「お断りします」

「聞く気満々ね。お姉さん嬉しい」

全力で頷くしかない。

宙で文字を綴られたらこちらは応じるしかない。酷い脅迫だ。

「実はあの2人を調べて分かったことがあるのよ」

「あの2人って?」

「スライムと復讐魔」

ミジュリと……スライム?

「スライムって?」

「あの毒娘よ」

ファナッテか。ただスライムって……確かにあの子は粘着系と言うかべったりだけどね。

でもスライムと呼ぶには抵抗がある。そこまで酷くない。今のノイエ程度に甘えているだけだ。

「それで何か問題でも?」

「ええ。復讐魔は系統がはっきりしている魔法だから問題無い。あれは始祖の弟子の1人の流れだと思う。でもあの毒娘だけは説明がつかない」

「はい?」

「あんな魔法を私たちは知らない」

告げてポーラは足を組み替えた。

正体は三大魔女の1人……刻印の魔女だ。

この世界に魔法を生み出した張本人の1人でもあるらしい。だからこその発言だ。

「なら?」

「……実を言うと前から違和感を感じていたのよ」

「違和感?」

何故か会話を止めて刻印の魔女はお茶の支度を始める。のんびりと優雅だな!

机まで準備しコポコポと紅茶を淹れてから、我が家の妹様の姿をした悪魔は椅子に座り直した。高々と足を組んで……

「実を言うと前から違和感を感じていたのよ」

「最初からやり直しですか?」

「最初なんて無いから。今が初めてだから」

だったら最初から紅茶を淹れておけと言いたい。

「で、違和感って何よ?」

「ええ。いくら何でもこの時代に、この場所だけに、これほどの力を持つ者が集まり過ぎている……とか疑問に思ったことは無いかしら?」

「ノイエの姉たち?」

「ええ」

「まあ確かに凄いとは思うけどね」

アイルローゼとかは別格かな? 魔法では作れない魔剣を作るエウリンカもおかしいし、この馬鹿が言うにはファナッテも変らしい。と言うかファシーもシュシュも常識の範囲を超えてる気がするし、何より歌姫なんて魔法を使わないリアルチートだ。

レニーラは凄いの意味合いが違うが凄い。それを言ったらカミーラなんて物語の主人公キャラだ。ジャルスも強いし……それに僕が見ていない強者がまだまだたくさん居るとか。

「うん。何このリアルチートの集いは?」

「今更落ち着いて認めないで」

「そう言うお前も最近気づいたんだろう?」

「気づいて確認していただけマシでしょう?」

「お~すげ~」

「……」

止めて~。紅茶の雫を飛ばして来ないで。

ちゃんと熱を残して雫を飛ばして来るとか斬新ないじめだな!

「言葉に気を付けなさいよね」

「……」

納得はいかないが仕方ない。

僕がこの手で雫を受けないと、ノイエが熱い思いをしてしまう。

大切なお嫁さんを僕は守るのです。

「で、前にこの国の魔法学院の地下に召喚の魔女の遺産があったわよね?」

「あったね~」

「そこで私はある意味で確信したのよ。あの子が姿を消すまでこの周辺で暮らしていたと」

「それで?」

「察しの悪い。あれが何をしていたのか考えたことは?」

「無い!」

「言い切ったわ~。清々しいほどにはっきりと」

褒めるなよ。照れるだろ?

だからどうしてティーカップの紅茶を雫にして宙に浮かべる? 落ち着いて話し合おうぜ?

「言い残すことは?」

「ある」

「言いなさい。私にも慈悲はあるから」

「なら……お前が持つ先生と先生以外のお宝映像を全部見せろや!」

「だが断る」

「何故だ!」

やはり先生以外にも隠し持っていたか!

「決まっているわ。交渉材料が無くなるからよ!」

「そんな理由か! だが先生の秘蔵映像は約束しているはずだ! 出せよ!」

「分かったわ。なら1から10まであるけどどれにする?」

「なん……だと?」

まさかの全10編だと?

「……1番からで」

「なら明日にでも」

「ちょっと待て」

「何よ?」

「先生の10編は理解した。そしてお前のことだ。誰のお宝を持っているのかは決して言わないだろう。だがせめて教えて欲しい……全部で何本だ?」

その問いに悪魔がニタリと笑った。

「最近三桁を越えたことは教えてあげる」

マジか! 魔眼の中はエロと殺戮しか存在しないのか!

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