軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ボクはね

ユニバンス王国・王都郊外ドラグナイト邸

「この匂いは……薬草を変えたのかな? ほんのり甘いし配分も変わってるね」

ノイエの姿をしたリグが手にした軟膏を舐めている。

と言うか舐めても大丈夫なの? 塗り薬だから毒じゃないはずだけど。

「この手の知識は義父さんに敵わない。

ノイエの中だとパーパシぐらいか……でも彼女の薬は限られた薬草を限界まで生かす薬作りに特化しているから、やっぱり義父さんが一番だね」

「なの?」

「うん」

頷いてリグは何処か誇らしげに笑う。

何だかんだでこの子はあの先生を慕っているんだな。

「どうして撫でるの?」

「何となく。嫌?」

「嫌じゃないけど恥ずかしい」

落ち着いて考えると、リグって僕より年上なんだよな。

本来の姿だと身長が低くて子供っぽく……見えんか。あの胸は凶器を通り越している。

「どうしてボクの胸を見るの? これはノイエのだよ?」

何故か自然とノイエの胸を見つめていたよ。これはこれで大変に素晴らしい。

程よい大きさで美しい形をしている。これぞ美だ。

「だからどうして胸を見るの?」

今のリグは軟膏を手にしていた都合両手が汚れている。

おかげで胸を隠そうとしてそれが出来ず、恥ずかしそうに頬を真っ赤にしている。

うん。可愛い。

「少し遊んでみました」

「……意地悪」

ブスッとしたリグが怒った様子で、何故かこちらに顔を向けて来た。

「そうだ」

「ん?」

意地の悪そうな笑みを浮かべたリグがワキワキと指を動かす。

「折角薬がここにあるんだから塗ってあげるよ」

「……」

この子は何を言っている?

今、ノイエの手で僕の患部を触れられようものなら、僕は間違いなく昇天してしまう。性的な意味じゃなくて現実的にだ。

「自分で塗るから」

「大丈夫。ボクは医者だから」

ワキワキとリグの手が止まらない。

止めてリグ。今の僕はとても弱い存在なのだ。

「止めて~! リグに襲われる~!」

「大げさなんだよ。ただの炎症だしね」

「……」

燃え尽きた。ベッドの上でグッタリだ。

手を洗ってタオルで拭いているリグがベッドの上に乗り僕の横に来る。

「魔法を使おうか?」

「ごめんなさい。今の状況で使われたら、僕の何かが色々と壊れます」

「大げさな」

クスッと笑い抱き着いて来る。

「ねえリグ」

「ん?」

「どうして服を脱ぐの?」

寝間着姿だった彼女が服を脱いでいく。

全裸だ。ノイエのナイスなバディが程よい感じに焼かれた小麦色をしているのだ。

本当にこの姉たちは僕を視覚で殺そうとしてくるから困る。あっ

「……魔法を使おうか?」

「大丈夫。大丈夫だから」

バンバンバンとベッドのマットレスを叩いて痛みを我慢する。

頑張れ我が息子よ。君は決してやる気になってはいけない。

時間をかけて……痛みに耐えて頑張った。感動した。ありがとう。何が?

「耐えるなら魔法を使った方が早いんだけどね」

「それでもです」

分かっている。きっとそっちの方が早い。だが僕が確実に色々と死ぬ。

ノイエの姿をしたリグに舐められるのだ。舐められるたびに激痛が走り、僕は確実に発狂してしまう。

「君が耐えるならそれで良いけどね」

言ってリグが僕の腕に抱き着く。

胸を二の腕に押し付けるな。お願いだから。

しばらくリグの好きにさせていたらふと思い出した。今日の出来事だ。

「ナーファが姉弟子に会いたがっているって」

「ん?」

どうして眠そうな声を出す。寝落ち寸前だったのか?

「ナーファが」

「聞いてた」

上半身を起こして、く~とリグが背伸びをする。

「あんな半人前がボクと会ってどうする気なのかな?」

「意外と辛口だな。姉弟子は」

「そうかな?」

軽く首を振ってリグは僕を見る。

「ボクらは医者だ。患者を前にすれば経験なんて関係ない。誰もがボクらを“医者”として見る。経験が無くても治療を求められればするしかない。因果な職業だと思うよ」

辛口だな。でも人の命を預かる医者ならではの考えか?

「それに必要が生じれば患者を見殺しにだってする。命に優先順位をつけて医者が人を見殺しにするんだ」

小さく息を吐いてリグは横になるとまた僕の腕に抱き着いて来た。

「優しすぎたら務まらないよ。だから先生はナーファを医者にしたくなかったのかもしれない」

「そっか」

「そうだよ」

ただそうなるとリグが優しくないということになる。

これほど優しい医者は居ないと思うんだけどね。

「リグは優しいよ」

「そうかな」

「そうだよ」

「ならそれで」

「いい加減な」

苦笑してから手を伸ばして彼女の頭を撫でてあげる。

また年上女性の頭を撫でてしまった。

「何かリグとかファシーとかって年齢を忘れて、イタタ」

「女性に年齢の話は失礼だよ」

脇腹を抓られた。

「小柄だからつい撫でる?」

「それはそれで失礼だけどね。相手が小さかったら撫でるの?」

「あ~。確かに」

身長が低いからつい妹感覚で撫でてしまう。

とはいえカミーラの姐さんとか撫でるなんて自殺行為だろうしな。

「相手を選ぶことは大切だよ。でも」

ギュッとリグが強く抱き着く。

「君のお嫁さんなら撫でられれば喜ぶと思うよ」

「そうかな」

「うん。ただホリーとかレニーラとかは撫ですぎ注意だね。直ぐに欲情するから」

「納得だ」

「セシリーンやシュシュなら喜ぶと思う」

「かな」

「ファシーは……生き返ったら撫でてあげれば良い」

「ちょっと待て? その話は何だ?」

生き返ったらだと? 相変わらずノイエの魔眼の中は混とんとしているな。

「何があった?」

「ニキーナとファナッテが復活していたからファシーが始末しに行った」

なんか最近そればかりだな? あの2人は要注意だとしか聞かないぞ?

「それでニキーナを始末して、ファナッテに返り討ちに遭った。

ファナッテの方はカミーラが始末したけど、おかげでカミーラとファシーはしばらく死体のままだ。あれの毒魔法は本当に厄介だよ」

リグがそこまで言うとは本当に厄介な魔法らしいな。

「それであのリスが最近たれているのか」

「ファシーの使い魔だっけ? そうかもしれない」

普段は宝玉の傍に居るリスだが、最近はポーラが部屋に持ち込んでいる。

元気が無く見えるから看病でもしているのかもしれない。ただしポーラであればだ。これがあの馬鹿賢者なら話は別だ。魔改造とかしてないだろうな?

「しばらくファシーは出て来れないのか」

甘えん坊の猫が見れないのは寂しい。

「と言うかホリーたちが騒いでいた」

「何で?」

「攻撃魔法が使える人が居なくなって、何かあったら君を守れないって」

「……」

言われてみると攻撃魔法に特化しているのが、アイルローゼとファシーだ。

シュシュの魔法も凄いが、あれは基本防御系の扱いをされている。それ以外だと……グローディアの馬鹿は最近転移魔法ばかりだし、それ以外となるとミャンとか? あれも防御系か。

「おや? 確かに火力不足だね」

「うん。だからホリーが深部を回って誰か誘おうと企んだんだけど、ファナッテの魔法で現在の深部は死者だらけ」

「生きているのは?」

軽く沈黙してからリグが口を開く。

「ホリー。セシリーン。シュシュ。グローディアかな?」

「レニーラは?」

「ノイエに嫌われてショック死した。まだ死んでいるけどそのうち生き返るはず」

ノイエは言葉で姉を殺せるのか?

まあ確かにノイエに『嫌い』とか言われたら僕の心臓も止まるかもしれない。

「後は誰が生き残っているのか調査しているはずだよ」

「そっか。ただ無理はしないでね?」

「分かっている」

リグが僕の腕に顔を押し付ける。

「ボクはね」

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