軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

精強剤とかって必要?

ユニバンス王国・王都郊外ドラグナイト邸

大変珍しいシュシュの複数回を食らって目覚めたら、何故かもじもじしたシュシュが居た。

姿はノイエなんだけど色が黄色だ。黄色で外に出てくるのはシュシュだけだ。他の人なら初めましてだ。

「って一晩中出てたの?」

「違う。一度帰って……」

もじもじが止まらない。どうしたシュシュ? トイレか?

「あのね、旦那君?」

「はい」

「私……子供が欲しい」

え~と。まあ前回産んでも良いって言ったけどね。問題はその方法だからね?

「産めるようになったら産んで良いからね?」

「うん。産むから」

どうした? シュシュが母性に目覚めたか?

「そうそう旦那ちゃん」

と、いきなり普段のシュシュに戻った。

「明日レニーラが出るって言ってるから」

「ほい?」

それは嬉しい誤算だ。

つまり明日レニーラの首根っこを捕まえて完成間近の舞台に連れて行けばいいと。

今日はこれからポーラを連れてお城で舞台の流れを確認させねば。

「ただ出るにあたって条件があるって」

条件だと?

またか? また僕が搾られるのか? それともまさか……レニーラまで子供を産みたいとか言い出す気か? 別に僕としては構わないんだけどね。きっとノイエはお姉ちゃんの子供を喜ぶはずだ。我が子のように溺愛して……扱い方が分からず途方に暮れるのだろう。

「で、条件って?」

「うん。何でも国王様に会いたいって」

「陛下に?」

「うん」

何を企んでいる? レニーラがお兄様に会う理由? 全く見当もつかないな。

まあいつも通りの出たとこ勝負で良いか。レニーラが予定通りに動くだなんて有り得ないしな。

「了解です。今日登城したら確認しておくよ」

「うん」

するとまたシュシュがもじもじと恥ずかしそうにしだす。

どうしたシュシュよ? 今の君はノイエを10倍可愛くしてくれているから僕としては感謝しかないぞ?

「旦那さん?」

「ん?」

「……ご褒美は?」

そう言うことね。

「ありがとうシュシュ」

シュシュが準備してくれた最高のモーニングサービスに対するお礼をしないとね。

ギュッと抱きしめて彼女の頬にキスをする。見る見る頬を赤らめて……彼女から色が抜けた。

「……する?」

「ごめんなさいノイエさん。今日は大変忙しくなる予定なのです」

「分かった」

代わりにノイエが顔を動かし僕にキスして来る。

たっぷりとキスをしてから腕を離すと、彼女はいつも通りに不可思議な挙動で立ち上がった。ノイエの前には重力は言葉でしか存在していないのだろう。

「アルグ様」

「ん?」

ベッドの上に立つノイエがジッと僕を見る。

「お姉ちゃん踊るの?」

「話し合ってから踊って貰います」

「分かった」

コクンと頷いてノイエがベッドから飛び降りた。

「にいさま。ねえさま。おはようございます」

絶妙なタイミングでポーラがやって来た。

ユニバンス王国・王城内アルグスタ執務室

「ドーンです~」

朝から無意味なまでに元気なチビ姫が隠し扉を押して出て来た。

扉が隠されているだけで存在は公になっている隠し扉とは……哲学か?

「おにーちゃん。お仕事をするです~」

「してるぞ? 本業なら」

「こっちのお仕事もするです~。私を手伝うのです~」

最近は飴と鞭をマスターし、舞台工事を順調に進めているからって、どこぞのチビが偉そうにない胸を張っている。

職人さんたちから『あれぐらい馬鹿だと本当に笑えて良いな。他人の娘だから本当に笑っていられる』と言われて可愛がられているらしい。馬鹿って……武器なんだな。

何よりその馬鹿はこの国の王妃らしいんだけどね。気のせいだったのかな?

偉そうにしているチビ姫を見ていたら、何となく的に見えて来た。ダーツの的にしてやろうか?

羽根ペンを構えて投げたら、ポーラが姿を現して落下する前にキャッチした。

「どうぐをむだにするのはだめです」

「うむ」

普通のことを普通に言われた。

「です~。嫉妬です~。こんなにも真面目に仕事をしている私に嫉妬しているのです~」

「……その通りです。だから嫌がらせも忘れません。そんな訳で今日からチビ姫のケーキは無しで」

「おにーちゃんは本当に人の子ですか~! です~!」

失礼な。母親は良く知らないが父親らしい人物は何と驚きこの国の王様だった人らしいぞ?

駆け寄って来てキャンキャンと吠える馬鹿がウザい。

チョップからの躾4回で、煩い犬がソファーの上で突っ伏した。

「そうだチビ姫」

「痛いです~。そろそろ何かが出るです~」

「尻への刺激で出る物は……お手洗いに行け」

「失礼です~! 女性に対して失礼すぎるです~!」

「女性?」

ソファーの上に立ち上がり憤慨する存在を女性として扱えと?

「クレアと並んで鏡をよく見ろ。もう少し大人になったら女性扱いしてあげるからな」

「気配を消してたのに悪口を言われた!」

「消しているからムカついた」

「理不尽だ~!」

チビ姫に次いでクレアまで怒りだした。気の短い奴らだな。もっと広い心を持てよ?

「で、本題だ」

「謝罪もなく話をすり替えようとしているです~!」

「謝れ~!」

「今日のケーキは抜きで良いか?」

「「……」」

大人しくなった馬鹿2人が、ちょこんとそれぞれソファーと椅子に座った。

「陛下に急いで取り次いで欲しいんだけど?」

「何をです~?」

「明日の面会かな?」

「明日のシュニット様は大忙しです~」

本当に仕事漬けだな? これが仕事中毒なのか?

「仕事に追われているね~」

「仕方ないです~。馬鹿な貴族ばかりでシュニット様は大忙しです~」

「で、その馬鹿貴族を綱紀粛正ですか?」

「おにーちゃん、その言葉は聞こえが悪いです~」

笑顔でそう言うチビ姫さんや? 否定はしないのね? まだやってるの? ユニバンスの貴族をどれほど潰す予定なの?

「しかし陛下には、明日無理にでも時間を作って貰おう」

「無理です~」

「舞姫が交渉のテーブルに着く条件として陛下の同席を求めてるんだよ」

「……むが~です~」

頭を抱えてチビ姫がソファーの上でマグロと化した。

「無理です無理です無理です~」

「どうにかして貰え」

「むが~です~」

泣きながらソファーを降りたチビ姫が真っ直ぐ隠し扉へ向かう。

バコッと開いて中に突撃する前に彼女は足を止めたこちらを見た。

「後でケーキです~」

「分かったよ」

「……明日の分も要求するです~」

「はいはい」

「ノイエおねーちゃんの太ももを枕にしたいです~」

「それは難しいな。何よりあれは僕のだから却下だ」

「おにーちゃんは意地悪です~!」

何故か泣き叫んでチビ姫は壁の中へと消えていった。

「そういう訳でポーラさんや」

「はい」

スッと妹様が僕の傍らに来た。

「大至急舞姫が着れそうなドレスを……」

ポーラの目が輝いた。と言うか右目だけが色づいた。

「私に一任で良いわよね?」

「あ~。常識の範囲内でお願いします」

「大丈夫よ。ちょっと着せてみたいドレスがこのお城の衣裳部屋に在ったの。行って分捕って来るわ!」

メイドとしての発言からしたら色々アウトな言葉を残しポーラが大急ぎで執務室を出て行く。

静かに追随するミネルバさんは……彼女が居れば問題無いか。問題しかない? 気のせいだな。

「そんな訳でクレアさんや。明日は違った意味で忙しくなるので……今の内に明日の分の仕事があるならこっちに回して。無ければ明後日に回して。何なら全部押し付けてやるからやっといて」

「サラッと仕事を押し付けるな~!」

全力で吠えるなよ? 倦怠期か? 夫婦仲が悪いのか?

「夫婦仲良しの秘訣は一緒のベッドで寝ることだと思うぞ」

「何の話よ!」

「最近イネル君とご無沙汰で怒りっぽくなってるんだろう?」

「違うわよ! イネルとは今夜……」

顔を真っ赤にしたクレアが机の下へと消えていった。

そう言うことか。仲良きことは良いことである。

「精強剤とかって必要?」

「……欲しい」

「分かった。後で持って来て貰うわ」

今回は王家御愛用の一品を特別に進呈してあげよう。

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