軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

疼くんだ

ユニバンス王国・王都北門

「ドラゴン?」

「リグは見たことは無いの?」

「ノイエの視線で見ているけどね」

実際に生で見るのは初めてらしい。リグが興味津々の様子で城壁の上から下を覗き込む。

ただ彼女の格好は南国少女をモチーフにした感じの物だ。全体的に防御力が薄いと言うか緩い。

上着を脱いで彼女の腰にそれを掛ける。

「……ありがとう」

頬を赤くして恥じらうリグも中々に可愛い。

で、ポーラさん? 自分のスカートを手にして何をする気ですか? それを自ら捲れば君は色々な何かを失うので本当にやめて欲しいのですが?

激しい葛藤を見せてポーラがスカートから手を離した。

どうやら我が家の妹には自制心と言うものが、言葉ではなくちゃんと残っていたようだ。

「で、ウチの困ったお嫁さんは……ノイエ~! 早くしないと退治しちゃうぞ~!」

空に向かって叫んでみるが、ノイエが姿を現さない。

何かあったか? それか姉の誰かが勝手をしているのか? どっちにしろ本日のノイエさんには後で罰だな。うむ。たまにはノイエに罰を与える立場とか悪くない。

「仕方ない。そこに居るのは全部狩るか」

「出来るの?」

「簡単です」

リグに良い所を見せようと腰にぶら下げている袋から小石を取り出す。

常備僕はこの小石入れを持っている。何故ならもっとも簡単な携帯武器だからだ。対ドラゴン用のね。

「往生せいやっ!」

纏めて小石を投げて終わった。また詰まらないモノを屠ってしまったよ。

「凄い」

「でしょ~? 褒めても良いんだからね!」

「にいさまはすごいです」

「あはは~。もっと褒めたまえ!」

上機嫌で踏ん反り返り、躯と化したドラゴンから視線を外す。

「じゃあ帰るんで城門開いてくれかな?」

ドラゴン退治は終えた。あとは帰宅して、

「申し訳ございません。アルグスタ様」

「はい?」

しかし守備兵さんは律儀に頭を下げた。

「規則でドラゴンが城門まで迫った場合は、遅くても日が沈んでからでは無いと城門を開くことが出来ません」

誰だ? そんなふざけた規則を作ったのは?

「前国王陛下ウイルモット様です」

「チッ」

舌打ち一発してから仕方なく城壁の上から小石を投げて迫って来るドラゴンを退治する。

残りの東・西・南に存在する門の方にはドラゴンの襲撃は無いらしい。

ノイエって……いつも西から反時計回りで北を目指していたな。

その弊害でドラゴンが北側に密集していたか?

リグとポーラも一緒になって小石で簡単ドラゴン退治に興じた。

まあ言うまでもなくポーラの圧勝だ。

本当にこの子は何をさせても器用にこなすから困る。天才か?

夕方には大半のドラゴンを退治し、何故かルッテたちが隊を率いてやって来た。

ああ。ドラゴンの死体運搬ね? 頑張れ部下たちよ。苦情はノイエの仕事を邪魔した姉の誰かにでも言うが良い。

「……で、ノイエは?」

「ごめん。この体だと魔眼の方が分からない」

「なら仕方ないね」

ペコリと頭を下げるリグをエスコートして馬車に乗ってもらう。いつもならエスコートする側に回るポーラもエスコートして馬車に乗せた。

「かいも~ん」

言ってみたい台詞の1つを口にして僕らは馬車で家路を急いだ。

ユニバンス王国・王都郊外ドラグナイト邸

「で、リグさんや」

「なに?」

「今回はどうして外に?」

「……」

お風呂を済ませて寝室に向かえば、先にポーラと一緒に入浴したリグがちょこんとベッドの上に座っていた。

ポーラの寝間着を借りたらしいが、ある一部分が圧倒的である。大差である。歴史的勝利だろう。

別にポーラをイジメてるわけではないのに、本日の入浴後にもまたポーラの目が死んでいた。

頑張れ妹よ。努力は……報われないこともあるらしい。

ベッドに近づいて腰かけると、スルスルとリグが近づいて来て僕の背中に抱き着く。

ギュッと抱き着いているはずなのに凄い感触のクッションのおかげでリグが遠い。

「ご褒美」

「はい?」

「君の怪我を治療したご褒美が欲しい」

恥じらう感じでそんなことを言ってくるリグが、らしく無くてすっごく可愛いのですが?

いつの間にリグもそんな駆け引きを? 本当にノイエの姉たちは恐ろしいぜ。

僕の正面で必死に結んでいるリグの手を離して、体勢を入れ替える。

正面からリグの顔を覗き込んだら、頬を真っ赤にさせて恥じらうように視線を逸らした。やっぱり可愛い。

「リグのおねだりなら仕方ないね」

前回もそうだけど、何かあればリグには傷の治療をしてもらっているしね。

「ご褒美は何が欲しいの?」

キルイーツ先生との面会かな? あまり頻度が多いと色々と誤魔化すのが大変になるけれど、リグが望むのであれば我慢しよう。

けど恥じらうリグは、口元に手を伸ばし……小さな声で囁いた。

「疼くんだ」

「何が?」

「刻印の魔女に弄ばれてから……」

完全に茹った感じでリグが真っ赤だ。褐色の肌が良い感じで赤い。

「つまりそれは?」

「……うん」

そう言うことらしい。

僕が対ホリー用に回復を図っているというのに、リグがおねだりだと?

やってやろうではないか! 望まれるのであれば見事なしえてやる!

そっとリグを抱きしめると、恥ずかしそうに彼女も抱きついて来る。

口調があれだけど基本リグは可愛らしいな。なら……、

「ダメ!」

バンと扉が開いて我が家の奥方様が姿を現した。

急いでお風呂を済ませたのか、全体的に濡れた感じの上から寝間着を羽織っている。何かエロイ。

「大きいのはズルい!」

扉を閉じてやって来るノイエはジッとリグの一部を見ている。凝視だ。

「だからダメ!」

「これこれノイエさんノイエさん」

「なに?」

「大きいからダメって色々な人の反感を買うからね?」

主にホリーとか居るでしょう? あれを敵にするのは恐ろしいよ?

「青い人は……」

アホ毛をクルクル回してノイエが首を傾げる。

「色々教えてくれるから良い」

「こらこらノイエさん? 何を学んだのか言いなさい」

迷うことなくノイエが口を開く。

最初に言い出したことは何となく分かる。実験された。

真ん中辺りからかなり物騒になった。実験はまだされていない。

最後の方は……恐ろしくなって恐怖を押し潰すようにリグを抱きしめた。人の温もりが恋しくなるほどに恐ろしい。

「ノイエ」

「はい」

「今言ったのはしてはダメです」

「……どうして?」

最後に食べようとして残していたお肉を誰かに食べられてしまったような……そんな悲しみを前面に押し出したノイエが、アホ毛をへにゃんとさせている。

「死ぬからね? そんな過激なのはダメだよ?」

「意外と大丈夫かもしれない。人の体はそんなに簡単に壊れない」

腕の中に居る精神安定剤が恐ろしいことを言うのですが?

「ならリグが代わりに体験する?」

「ゴメン。無理」

素直に謝罪して来たからリグの罪を許そう。

「ノイエさん」

「はい」

「絶対にしちゃダメです」

「むぅ」

拗ねる理由が分からないのですが? そんなことをされたら僕は違った意味で死んじゃうからね? ならノイエで実験しようか? 君も少しは不可能と言うものを学ぶと良いんだよ?

首を傾げるノイエがトコトコと歩いて来てベッドに飛び乗った。

「して」

「……」

我が家の奥方様が何やら不穏当な発言を?

「平気。して」

「……」

そっとリグに耳打ちしたら、彼女が頬を真っ赤にした。

けれど仕方ないのだよ。ノイエには社会勉強が必要なんだ。

再度促すと……リグが今にも泣きそうな感じで、仰向けの状態で横たわるノイエに馬乗りした。

「本当に?」

「おう。ノイエさんは本日お仕事を放棄して逃げ出した罪があります。まずは取り調べです」

「……意味が分からないけど、分かった」

恐る恐る寝間着を解いたリグが上半身を晒す。一部分だけが圧倒的な半身だ。

「なに?」

何が起こるのか理解していないノイエは、晒された姉の胸を凝視している。

「ノイエ」

「はい」

「罰だから?」

「はむっ! あむっ! んんっ! ん~っ!」

ノイエの言葉が途切れた。逃れようとしても逃げられない。圧倒的な何かにノイエが包まれて……しばらくするとノイエの表情が完全なる無になっていた。

「……アルグ様」

「なに?」

「ごめんなさい」

「分かれば良いのです」

圧倒的な兵力差を体験したノイエが全面降伏した。

流石リグだ。本当に圧倒的すぎる。

そして僕は何故録画装置を持っていなかったのだろうか?

今度馬鹿賢者に言って借りておこう。マジで。

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