軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

私も子供が欲しくなってきたぞ~

総合的に判断すると……やはり魔女って問題児の総称なのかって気がして来た。

シュシュが言うには魔法学院の地下には秘密の部屋が存在しているとか。

その1つにエウリンカが封じられていたそうだが、それ以外にも部屋は存在しているのだ。

で、その中の部屋の1つがアイルローゼが学院を去ってから封じられたそうだ。

中身は稀代の魔女……アイルローゼが試作し、それを確認した学院長が『使用禁止』と判断して封じたとか。それ以外にも実は彼女の研究資料なども封印されているらしい。

何故シュシュがそんなにも詳しいのかと言えば、彼女は封印魔法の使い手。つまりその封印にこっそりと携わっていたとか。

『アイルローゼに知られると嫌味を言われそうだったから~』と本人には黙っていたらしい。シュシュらしいと言えばそれまでな発言である。

たぶんそろそろお迎えが来るであろう元学院長が、アイルローゼにそれらの道具を返却する気になったのかもしれないというのがシュシュの考えだ。

何だかんだでこの国は戦い続けているし、今後そういった道具のお世話になるかもしれない。

ただ納得がいかない。

「どうして先生はそれを取り戻そうと行動を起こさなかったのかな?」

学院の地下に封じられているという事実を知らなくても、作った本人ならそれらの道具がどこかにあることは思い至るはずだ。

それなのに先生は取り戻そうとはしなかった。それが謎である。

「ん~。私が思うにね、アイルローゼって作ってる時が一番楽しいんだと思うんだぞ」

「作ってるとき?」

「うん。こう作る物を想像して作って……で、満足するみたいな?」

「あ~納得」

過程を楽しみ達成したら満足して放置するみたいな?

そういえばそんな人とが学校にたくさん居たな。色々と吟味して買ったはいいけど積んでいく積みゲーのような感じだろう。

「つまり先生は作って満足して、出来上がった物がどうなっても関係なかったと?」

「だぞ~」

シュシュが体を左右に振って肯定して来る。

「で、学院長はそんな事実を知らずに返却を考えたと?」

「だぞ~」

筋は通っている気がする。

「それでアイルローゼに会いたいってわけか……で、当の本人は?」

「『面倒くさいから代わりに会って来て』と言われたぞ~」

「……シュシュも面倒くさいよね?」

「だぞ~」

ノイエの中の人たちって面倒くさがり屋が多すぎやしませんかね?

やる気を前面に押し出して頑張られるのも困りものですが、ここまで面倒くさいと言われるとこっちも困る。

「なら本人が拒否しているからってことでお断りかな?」

「だぞ~」

引き止めなさいよ? 本当に流すぞ?

でももう終わりとばかりに、シュシュが話を終えて僕に増々寄りかかって来る。

「旦那ちゃ~ん」

「はいはい」

「ん~」

体を捻ってシュシュがキスして来る。

実を言うとシュシュの相手をするのは嫌いじゃない。

他の人と違って回数を多く求めないし何より意外と大人しい。静かな夜も悪くない。

「……」

ゴトゴトと揺れる馬車の中で、フレアは静かに息を吐いた。

屋敷に住まう主人を経由して元実家からの言伝は……案の定ダメだった。

あの元上司が頑張るなんて思えない。結果として一番縁がある彼女に白羽の矢が立ったのだ。

相手は大叔父であり、今回は陛下の指示で任務にも就いている。

出来れば断りたかったがそうもいかず、特別に準備された馬車には近衛の護衛まで付いている。

「母さん……こんなにも頑張っているのよ」

少しだけ愚痴をこぼしてフレアは自分の横で寝ている子供を……我が子をゆっくりと抱き上げた。

気が進まないが仕方がない。あの夫婦をどう説得すればいいのか見当もつかないが。

「お客さん? こんな時間に?」

夕飯とお風呂を済ませて夫婦の時間をと思っていたらお客様がやって来た。

我が家に来る客人なんてレアだ。何せドラグナイト家はこのユニバンス王国で最も嫌われている貴族様である。嫌っているのは貴族なんだけどね。

「誰?」

「めいどちょうさまです」

僕の元にやって来たポーラがそう告げてくる。何故か笑顔だ。

叔母様が来て笑顔と言うことはないから、つまりは二代目が来たということか。

「あ~。色々と分かった気がする」

再度の説得かな?

魔道具の返却に何故そこまで頑張るのか問いたくなるけれど。

「ポーラ」

「はい」

「着替えを。それとノイエも着替えさせて連れてきて」

「かしこまりました」

メイド服姿のウチの妹が恭しく一礼する。

と言うか君も参加だからね? 分かってるの?

「このような時刻に申し訳ありません」

「良いよ。フレアさんなら問題無しだ」

フレンドリーに挨拶をして僕は応接室に入る。

先に来ていたフレアさんは、連れて来た我が子のおしめを替えていた様子だ。

何故にエクレアが? 疑問を口にする前に僕の横を風が通り過ぎた。

「赤ちゃん」

ノイエだ。早速エクレアを確保して抱き上げている。

何が凄いってエクレアは多少雑に扱っても起きない強心臓の持ち主なのだ。まああの義母さんの相手をしていたら心臓だって強くなりそうだけどね。

「で、ご用件は例のあれ?」

「はい」

ノイエから視線を外してフレアさんが頷き返してくる。

何が何でもクロストパージュ家のバローズ氏はアイルローゼに会いたいらしい。

その為の賄賂がエクレアか? ウチのお嫁さんを懐柔して来るとは恐ろしい。

「どうにかならないでしょうか?」

「と言うか僕じゃなくて直接本人を口説いたら?」

高い高いといった感じで両脇に手を当ててエクレアを持っていたノイエが、ちゃんとその腕に抱く感じに変化した。

スッと髪の色が……黄色くなった。

「あは~。フレアの~子供だよ~」

「……」

『あれは?』と言いたげにフレアさんが目を向けてくる。

自然と事前に視線を逸らした僕は偉いと思うよ。

「まあ良いか。シュシュは先生とリグと同じでノイエの魔眼の中に居ます。そんなわけであれで代用してくれない? 先生は出て来たがらないみたいだし」

「だぞ~」

フワフワとしながらシュシュが赤子を愛おしそうに抱く。意外とその姿が似合う。

「それは私の判断では何とも」

困った様子でフレアさんが苦笑する。

「と言うか君の所のバローズさんは、どうして先生に会いたがっているのですか?」

「ん~。私も子供が欲しくなってきたぞ~」

「そこ。母性に目覚めてないで」

「む~だぞ~」

エクレアを抱いてフワフワしているシュシュは、そのまま放置で。

「先生は魔道具を作るのが楽しいみたいで、出来上がった物に対しては執着ないみたいだよ?」

「ですね。それが先生ですし」

弟子だったフレアさんも僕の意見を肯定する。

「それでも会いたがっているみたいなのです」

「だってさ~」

フワっているシュシュに告げてみる。

落ち着きなく動き回っていた彼女が足を止めた。

「なら別の理由があるのでしょうね」

色を赤くして、ノイエがスッと……より完璧な感じで先生がエクレアを抱きかかえた。

「久しぶりに抱いたら少し重くなったかしら?」

「はい。驚くほど日々大きくなります」

「そう。こればかりは親の特権ね」

クスクスと笑い先生はこっちに来ると僕の横に座った。

「で、先生?」

「何よ」

「どうしてバローズさんが先生に会いたがっているのか……何か隠しているでしょう?」

「ええ。当然」

認めたよ。冗談だったのに。

「それは?」

「……秘密。あまり知られたくないことだから」

「お~い」

良し良しとエクレアをあやして先生はフレアさんを見た。

「少し待っててくれるかしら? 元学院長に手紙を書くから……」

それで済むなら最初からそうして欲しかったです。

けれどそれで済むわけがありませんでした。

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