軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

17【海の輝く帝都に、キターーーーーー】

三台の馬車の旅は最後の宿を離れ、キラキラの海がさらに近づいてきた。そして正午あたりでに帝都入りした。街道の帝都の門から海岸の滞在先まで馬車ではまだしばらくかかるらしいが、昼休憩で止まることなく直行するそうだ。

そうそう!帝都入りしたときに、携帯が「お誕生日おめでとうございます!」を表示してくれて、俺は晴れて十八歳の成人になりました!地球では。

ステータスでも六歳になりました。いい加減、 女の子(アリサ) とお風呂入るのは卒業したい!

まずはウリアゴの仕事先の海の家の前に行くのかと思いきや、俺たちごと屋敷に連れていかれた。

馬車は屋敷で降りるそうだ。そりゃそうだよね。

お屋敷の入口のホールで執事のお爺ちゃんが出迎えてくれた。彼はお名前も裏切ることなく、セバスチャンさん。ポリゴン町のジラッテ司祭より年上のお爺ちゃん。

執事服を着こなしているけど、ちょっと背中が曲がり気味。気にするほどではないけどね。

そこへ、ドミニク卿が連れてきた侍従さんと侍女さんが合流し、馬車から降ろした荷物をわらわら運んでいく。

侍女さんはミアさんと言って、そのままこのお屋敷に住んで俺たちの世話をしてくれるらしい。ウリサと同じ年のしっかりしたお姉さんだ。

いつの間にか、冒険者の三人と俺の荷物まで消えていた。俺たちはホールの横の小さい応接室(十帖はありそうですけど)で、紅茶で一服させてもらう。

「さ、俺たちも荷物の整理をしておきたいところだけど、先に海の家と買い出しだ」

ちなみにこの屋敷は海に面していて、プライベートビーチがある。そのビーチのドミニクさん家の敷地の境目(なんかオシャレなフェンスで仕切ってる)から向こうが一般に開放されたビーチというわけだ。

そのプライベートビーチの屋敷よりの位置に、夏だけ開業する〈海の家〉があるのだ。俺たちはそこを借りてひと夏ポリゴンから出稼ぎで商売する。

夏の間、ドミニク卿が帝都で過ごす護衛の冒険者を行きで連れていき、ひと夏滞在して帰るまでの間に、この店を切り盛りするようになっているらしい。で、今年はウリアゴがお供をすることになったんだって。

海の家の中にも従業員が寝泊まりするところがあって、ポリゴンからの冒険者はいつもはそこで過ごすらしい。でも、なぜか今年は隣のお屋敷を使えるんだって。ラッキーだよね。

帝都の地理は、海沿いに貴族のリゾート用屋敷や漁業で使うエリア、海軍の待機するエリアにも分かれているらしい。

海からちょっと陸に入ったところにリゾート用施設、ショップ、平民の住むところ、そして北西に向かって高台に上り、貴族の帝都用の屋敷、帝都の貴族街、そして帝宮殿がてっぺんにある。帝宮殿は帝都のどこから見てもキラキラしく見えている。やんごとなき方はあそこから見下ろすんだな。出かけるのはいいけど、帰るのは大変そう。あ、馬車に乗るか。

そして、帝都の冒険者ギルドは漁業組合も兼ねているから、漁業エリアにあるんだって。早く海の幸にありつきたいね。

色々考えて最後によだれが出そうな俺だ。

ここでもショップに繰り出した。ウリアゴのみんなで!

店先で売るものの材料を仕入れることと、海の家のバイトは冒険者の扮装では合わないから、ほかの衣類を見に行こう!ってなった。

「わーコレコレ!これいいですー!」

アロハシャツにそっくりな服を見つけて、俺は大はしゃぎ。ハイビスカスの柄はないけど、ひまわりみたいな模様のものがある。夏だなー

「で、これに、このハーフパンツを合わせてサンダルを履く!」

「おお、楽そうな割にそんなにだらけて見えなくていいな」

ウリサもうなづく。

「襟があるのがいいのかな」

「そうですね」

「中に丸襟のインナーを着て、羽織ってもいいですよ。きっと風で裾がひらひらしたら涼しげです」

「・・・おまえ」

俺のいつもにはないハイテンションを少し呆れた顔でウリサがつぶやく。

「ほっほっほっ。坊主は商売が上手そうだな」

日に焼けて、でも髪が真っ白な、海のおじいって人が笑う。店番の店長さんかな。

「はっ、うるさくてごめんなさい」

「良い、良い。お前さんの言葉で、ほれ、見てみ?」

といって周りを示す。

「なるほど、このシャツにこのパンツ。いいな。俺もこの組み合わせにしようかな」

とか言って柄違いのシャツとパンツを見ているお客さんが何組かいた。

「ま、シュンスケのチョイスに間違いはなさそうだし、洗い替えにシャツ3枚とハーフパンツ2枚ずつ買おうか」

「そうだな兄さん。楽そうで、おいらもそれで良いよ」

ゴダも納得。

「ねーねーシュンスケ、あのワンピースはどう?みんなのシャツと同じような模様なのに可愛くない?」

ってアリサがノースリーブのムームーを指さす。

「だめです」ぴしゃり。

「えーこの間選んでくれたサマードレスと同じようなものじゃない」

「あれがあるから、もうこれはいらないです」

「なんでよ。これを着ちゃいけないの?これも鮮やかで色がきれいじゃん、それにお安いし」

「・・・いけなくはないけど。まあ、一着試しに着てみますか?」

「うん!待ってて?」

ってピンク色にひまわり柄のを持ってカーテンの向こうに消える。

「別にあれでもいいんじゃないのか?こないだの水色の似合ってたじゃんアリサ」

ってゴダが言う。ええ、似合いますよ。ムームーもね。

シャッって音がして、ムームー姿のアリサが出てくる。

「やっぱり似合ってますね」

このドレスはアリサのように少し褐色の肌で黒髪の女の人が一番似合う・・・って俺は思う。極採色が合うんだよね。だからこそ。

「なるほど、却下だな」

ウリサが同意してくれた。

さっきアロハシャツを選んでいたほかの男性客たちがアリサをみてそわそわしているのがウリサにも分かったようだ。

「でしょ?」

「そうだな」

「えーどうしてぇ」

「なんで?」

ゴダもアリサ側の意見。

「アリサねえちゃん、似合いすぎているんですよ。すごく。きれいです」

「うん?ありがと?」

「プライベートでお部屋やお屋敷のビーチで着るならいいけど、海の家で、お店の店員として着るには危険です」

ウリサが同意のうなづき。

「シュンスケは良く見ているな。ほら周りを見ろ、お前に声をかけようとすきを狙っている野郎が何人もいるだろう?」

「え、ホント?」

「このドレスも買えばいいですけど、お仕事着ではみんなと同じシャツにしましょうね」

「そうね」

「それにほら、また俺とおそろいコーデですよ」なんて言って、皆とおなじひまわり柄の子供サイズのシャツを見せ、こっそりペアルックをねらう。

「わ、それもいいわね」

「でしょ?」

その後、海の家に使えそうなものも仕入れに行く。

トロピカルな香りがわずかに漂ってきた。南国フルーツがある!

バナナに、パイナップルに、マンゴー。それにスイカの赤と黄色。

これは、かき氷のトッピングに最高じゃないですか。

そんな感じでウリサにおねだりして仕入れてもらうように言う。

「お前ほんとに商売旨いな。俺を納得させて財布のひもを緩めさせる」

って苦笑していた。

「しかし、どう仕入れようかな。たくさん買ったら保存大変だぞ」

「それなら今日はチョットだけ仕入れて、後は3日おきに配達してもらえばいいのですよ。ここはお貴族様の屋敷もありますしね、それ用に配達もしているって言ってらっしゃいました。配達されたときにその都度支払えばいいんですよ!それに、どのフルーツが早く売れちゃうかとかまだわからないでしょう?二度目から種類や量を調節すれば」

「シュンスケ、ホントに天才じゃないの?あったまいい!」

ってまたアリサが俺をなでる。

「なーあの果物はどうだ?果物の魔王様って書いてあるし、すごく大きいぜ。あれがあればしょっちゅう仕入れなくてもいいんじゃないか?」

ってゴダが刺々しいでかいフルーツを指さす。え?魔王様?そんな名前だっけ。

でもなーもうなんか醸してるんだよねそのフルーツ。

「これは、ちょっと。

すみませーん。この果物試食ってありますか?」

ってさっき定期配達のお願いを受け付けてくれていた店員さんに声をかける。

「ありますよ。ちょっとまってて」

って〈氷室室〉って書かれたドアに入ってすぐに出てくる。

「はいどうぞ」

一口ずつ楊枝にささった果物の王様がお目見えする。

俺も食わず嫌いなところがあるし、勇気を出して一つ口に入れる。新鮮なうちにカットされて冷やされていたのか、臭いという噂の独特のにおいは思ったよりしない。というか地球のあれとは違うものか。

「うわっくっせ」

「あ、ゴダさん」といって口をふさぎに行く。

案の定、ウリサとアリサも微妙な顔をする。

「これはちょっと。確かにすごく甘いけど」

「仕入れるのは却下だな」

「ですよね」

おれは、身構えることができたけど、何も知らずに食したら、冷やされていても匂いを感じるんだね。ふふ。

後でアリサが「ゾンビ臭かった」って言ってた。やっぱりゾンビってそうなんだ。っているの?ゾンビ。

そうしてフルーツの魔王様を却下することができた俺は、今度は違うものを目にしてしまった!

「店員さん、あれは!トウモロコシ?」

「はい。そうですよ」

「ウリサさーんこれもこれも!」

って子供丸出しでおねだり。

「おまえは」

「これは海の家には必要ですって!それにこれにぴったりのたれがあるんです!それもいっぱい持ってます!」醤油はなぜか一升瓶で一ダースのケースで持っている。

ウリサは苦笑している。

「ま、実は俺もこれ茹でたり焼いたりしたやつ結構好きだしな」

「分かってくれます?ビーチで食べると最高ですよ」

「だな。エールも仕入れるか」

「はぅ。帝都に来たのにすっかり夏のお買い物」

ってアリサが言う。

「ま、そういう客のための仕入れだしな」

「えー兄さん。もう少しオシャレなお店もっと見たかった」

「おいらは何でも旨いものが食えたらいいぜ」

「あはは」

「アリサ、しばらく帝都で暮らすんだから、じっくり気に入った店を開拓すればいいじゃないか。それに、冒険者の仕事を減らして俺たちが自分で商売をするのもいいだろう?今は若いからこのままでいいけれどな。もうちょっと貯金がたまったら」

「なるほど、冒険者より安全ですよね」

「だろ。俺たちの親は冒険者だったから常に危険と隣り合わせだったんだ」

そっか。

異世界に来て、安直に冒険者ーって考えていたけど、そうだな、安全な職業ではないよね。

ここにきて三か月、まだ物語の読者側気分だったのに気が付いた。現実は違う。死んだら終わりだ。気を引き締めなおして生きていかなきゃ。