軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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チョチョリゲスの集団は崖の下に巣を作っており、そこに30羽前後がいるらしい。巣から1キロほど離れた場所に、前線基地があった。

基地とは言っても竜人が集まってキャンプをしているだけなんだけど。

竜人は全部で50人。長老は7人だ。

こんな森の中でよく見つけられるものだなと思っていると——「それくらいできんと、森で狩りなどできんぞ!」と快活にキミドリパパに言われた。

「赤の長老!」

「ぬろ……? おお、どうしたんじゃい。お前には留守を任せたぬろ?」

長老は首に巻いたスカーフの色ごとに名前が違うらしく、赤、青、黄などいろいろいた。

他にもあごひげが伸びているのは長老だけなのでわかりやすい。

「実は——」

ここに来るに至った理由をキミドリパパが赤の長老に話していると、おやおやとばかりにほかの長老も集まってきた。それどころか竜人が全員集まってきて焚き火を中心に車座になっていた。

「ほお……色の濃い地底人と色の薄いダークエルフとはのお、珍しいぬろ」

ぬろ、という新たな語尾に僕が動揺していると、

「一度絶滅してしまえば取り返しはつかないということぬろ?」

「しかしなあ、目の前に鳥がいて食わんわけには……」

「とりあえず獲ってから考えるか」

「それだと意味がないから、客人はこうして急いでやってきたぬろ」

長老たちが話し合っているのを周囲の竜人たちは神妙な顔で聞いている。

僕とアーシャはヨソ者だというのに、誰もそのことで話の信憑性を疑っていない——なんだかそれが、不思議だった。

それから話し合いが行われたけれど平行線で、穀物をくたくたに煮込んだおかゆみたいな夕飯を挟んだ後も続いたけれど結論は出ない。

「絶滅という言葉の定義は?」

「卵を残せば絶滅にはならんのではないかぬ」

「しかし卵が美味い。ゆでた卵を丸かじりするのはやめられんぬ……ぷるんとした表面に、ぷつっと歯を立てたときの感触は……」

「お前が言うと卑猥な感じがする」

「卑猥という言葉の定義は?」

そんな感じで、この人たちは議論することが目的になってないか? という気さえした。

「ふうむ、話はまとまらんぬろ。ではこうしよう。我が竜人都市に伝わる多様な意見を集約し、結論を導き出すシステム——」

緑の長老が切り出すと、周囲はしんと静まった。

そんな、多様な意見を尊重しつつ結論を出せるシステムがあるのか?

僕もまたドキドキしながら先を待つ。

「——勝ち抜き三叉交戦〜〜!」

はいジャンケンでした。

「うおっしゃあ! 勝ったァ!」

「ぬろろろろろろろ」

「黄の長老が倒れたぬろ!? 貴様ら、若者のくせに年寄りを労らんぬろ!」

「世代交代は間近だぬ!」

「ぬれぇ……」

「ぬれとか言うな、バカタレ! 言葉の乱れは風紀の乱れぬろ!」

「老害は討つ!」

「老害と言ったヤツ、出てくるぬろ……この槍の錆にしてくれんぬ」

「紫の長老が切れたァ!」

大騒ぎだった。

あと「ぬれ」がNGワードだということはよくわかりました。

結局「狩る」「狩らない」でそれぞれが意見をはっきりさせ、勝ち抜きジャンケンをするという形であり——最後はなんと、

「まさかの親子対決……!?」

「狩る」派の最後の1人、キミドリパパと、「狩らない」派の最後の1人、キミドリゴルンさん(4連勝中)の戦いとなったのだ。

「『サンサンサンサのチッチッチー』」

日付も変わろうかという深夜、50人の竜人族が合唱してるんだから、これもう頭がおかしくなってきそうだよね?

「っしゃあ!」

「ぬうううううう!?」

大歓声が起きる。

なんと勝ったのは——。

「くっ……もはや父を超えたか、キミドリゴルン……」

キミドリゴルンさん(チョキ)だった。

「いや、よくよく考えてみたら我、無理矢理ついてこさせられただけで、正直どっちでもよかったわ」

静まり返る周囲、そして、

「っざけんなァー!」

「そのくせなんでそんなに『三叉交戦』強いんだぬ!」

「古来より勝ちたい勝ちたいと強く思う者はその欲望によって負けると言われている」

「人呼んで『物欲センサー』」

いやそれは違うから。

とはいえこれでまた意見がまとまらず、大騒ぎになる——というところで、

「長老! 長老ーッ!」

ひとりが周囲を指差して叫んだ。

「か、囲まれてます!」

気がつけば僕らは遠巻きに囲まれ——森の闇の中に、爛々と光る黄色の目がいくつもあったのだった。

「アーシャ、僕のそばに」

「は、はいっ」

彼女を守るようにしながら、竜人たちもあわてて武器を手に取る。

「くっくっく……このような結果になるのであれば、最初から『三叉交戦』など必要なかったぬろ」

と赤の長老が、巨大化した鉈のような剣を手に持つと、

「食うか食われるか。それならば食わねばなるまいて」

「正当防衛発動中!」

「これだけ騒いでおったら、気づかれるのは当然ぬろ」

「誰だ、最初に騒いだの」

「お前じゃ、緑の」

「いちばんノリノリじゃった青のに言われたくないぬろ」

長老たちも次々に武器を手にした。

そう——僕は天賦【夜目】【視覚強化】【森羅万象】によってすでに相手を把握している。

僕らを取り囲んでいるのは——、

『ピギャアアアアアア!!』

——チョチョリゲスの集団だった。

いや、こいつらって囲めばすぐに捕まえられるとか言ってなかったっけ……? いや、囲めば倒せる、か。むしろ囲まれてますよ?

「来るぞ! 迎撃ぬろォ!!」

長老の声に、竜人たちは「オオッ」と地響きのような声を上げて立ち向かった。