作品タイトル不明
48話.『烈火チーム』vs『美樹也チーム』
「烈火殿! 俺が先に仕掛けますっ! 『暗黒剣閃』!」
「!! 行くぜぇ美樹也! 『パワーブレイカー』!」
「フン……! 単純だぞ烈火、ゼウス!」
「そちらに避けるのは読んでいますよ氷河君! 『フィアフル・ストーム』!」
「フ……無駄だ!」
「そゆこと! こっちも紅葉さんが援護するのは読んでる! 守れ! 『ハイ・シールド』!」
「美鈴さんっ……!」
「後衛、潰させて貰うぜぇっ! 『怒殴乱打』ぁっ!!」
「ティナ殿をさせるものかっ!」
「ゼウスさん! 『ハイ・プロテクション』!」
「チィィッ!! 俺の『オーラ』でも破れねえほど、硬てぇっ!?」
「アタシを見失ったネ? 隙アリネ!」
「後ろに!?」
「させませんっ!」
「な、さっきはあそこに居たネ西園寺!?」
凄い、盤面が一瞬で変わる。
烈火とゼウスさんが美樹也に攻撃を仕掛けるも美樹也はこれを余裕で回避。
でも、その回避を読んでいた紅葉さんはその回避場所へと魔法を放つ。
それを更に読んでいた美鈴さんは結界で防いだ。
その隙に竜は後衛のティナさんを狙って攻撃を仕掛ける。
そこにゼウスさんが割って入り、ティナさんはゼウスさんを防御魔法で支援。
けれどそこで視線が竜に向いて外れた所へ『ステルス』を使った旋風さんがティナさんを急襲。
それを読んだ紅葉さんが旋風さんを防いだ。
戦況は互角、一つのミスが勝敗に関わってくるだろうと思う。
「はぁぁぁっ!!」
「フ……馬鹿力も当たらなければどうという事はないな烈火!」
「はぁっはぁっ……ったく、さっさとバテろ美樹也……!」
「残念だったな。俺は玲央の助言を受け、下半身と持久力の強化を中心に鍛えなおした。例え後数時間走り続けようが、重りもない以上俺が疲労で動きが鈍くなるなんて事は無いぞ烈火……!」
「!! ったく、玲央の奴。相変わらず良いアドバイスしてやがる。……しょうがねぇ。なら、これが防げるかよ美樹也!」
「!?」
烈火が両手を前でクロスさせ、力を増幅させているのが魔眼でなくても見える。
全身から熱気が溢れ、風が台風のように巻き起こる。
あれは、『ブレイブモード』!?
主人公である烈火専用の力!
全ての戦闘能力が大幅に強化される為、体への負担が凄まじく高い。
邪眼の強化に近いが、数秒から数十秒しか使えない邪眼とは違い、魔力の続く限り継続可能な力である。
また、力だけが大幅に上がるのではなく、全ての能力値が数倍になる。
単純な力だけならば邪眼の強化型の方が効果量は大きいだろうけれど、『ブレイブモード』で強化されるのは文字通り全てだ。
ゲームでは自身が解除するか、MPが0になると状態が強制解除されたけど……。
「な、なんだその力は、烈火!?」
「へへっ……俺は少し前によ、玲央の前である敵に負けた」
「!?」
「悔しくて情けなくてよ……どうして俺はこんなに弱いんだと思った。それでも玲央はよ、俺を見る目が変わらなかった。あんなにあっさり負けた俺を、変わらずすげぇって目で見てくれるんだよ。そんなまっすぐな目で見てくれるダチによ、これ以上情けねぇ姿は見せらんねぇだろ。強くなりてぇ、その想いが……この力が目覚めるきっかけだった」
「!!」
烈火……。
ゲームでも烈火は、黒騎士の強制敗北イベントがキーで『ブレイブモード』に目覚める。
仲間を、美鈴さんを危険に晒した自分への不甲斐なさと、悔しさで。
「わりぃが、悠長に話してる時間はねぇ。この状態はそんな長く居られなくてよ。……行くぜ、美樹也ぁッ!!」
「何っ……!?」
「「「「「!!」」」」」
は、速いっ!!
美樹也までの距離を、一瞬で……!
「おらぁぁぁぁっ……!!」
「くっ……!」
それでも流石美樹也だ、烈火の剣を追えてる!
「氷河っ! 『ハイ・シールド』!」
「結界ごと、ぶち破ってやるぜぇ! 『ラグナブレイカー』!!」
「がはぁぁぁっ……!!」
「嘘っ!? 私の結界が一撃で!?」
「隙だらけだぜ美鈴! 『ガイアブレイカー』!」
「なっ!? きゃぁぁぁっ!!」
「「!?」」
結界を突き破り、剣で防ぐ美樹也を弾き飛ばした烈火は、そのままの位置から剣を地面へと勢いよく叩き、衝撃が美鈴さんへと襲い掛かった。
リーシャさんの『エアブレイド』とは違うけど、中距離に届く技だ。
身軽な人なら回避できるかもしれないけど、魔導士系の人達にあれを避けるのは厳しい。
ジャンプで避けられるような高さじゃないし、何より衝撃の届く速度が魔法と変わらない。
「う、嘘ネ……氷河に百目鬼が……」
「一瞬で倒されたのかよ……!?」
「さて、残るはお前達だな。まだやるか?」
「「「……」」」
「クッ……降参、ネ」
「……ああ。氷河に百目鬼を失った状態で、勝てるとは思わねぇ」
「そこまで! 勝者A組、『轟チーム』!」
「「「「「ワァァァァァッ!!」」」」」
強い、本当に強い烈火!
それでこそ、それでこそだっ!
俺が見つめていると、こちらに気付いた『烈火チーム』が、視線を向けてくる。
俺達と視線が合い、不敵に笑った。
午後は、烈火達との勝負だ。
あの烈火の『ブレイブモード』をどう破るかが鍵になるだろう。
「ふふ、今分かったわ。どうして玲央君が、轟君に手を貸してもらうように言ったのか」
「リーシャさん」
「強いわね、彼。面白いじゃない。本気でやりあえそうね……!」
おおう、リーシャさんがバトルジャンキーと化してますけども。
けどそうだね。烈火を抑えられるとしたら、リーシャさんしか居ないだろう。
かつてない好カードに、胸が一杯になる俺だった。