軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

9話.モブなキング

藤堂先生についていった先、案内された場所はゲームで見知った部屋だった。

競技で優秀な成績を収めた生徒を表彰する際に、幾度となく入る事になる部屋。

通称『表彰部屋』である。

「さて、お前らをここに呼んだのは他でもない。能力測定において、大変優秀な成績を収めた者達だ。……あー、一部違う奴も居るが、ここに居る奴らはその理由が分かると思うので説明は省く」

「「「「「……コクリ」」」」」

俺以外の皆が真剣な表情で頷いた。え? 分かってないの俺だけ?

その理由が確実に当事者である俺が分かってないのに省くのやめてくれませんか?

ただ、この雰囲気で教えてと言える勇気もなく、静かにしている俺のヘタレ。

「他の者達もざっと見たが、お前達に近い者はチラホラと居たが、お前達以上の者は居なかった。よって、ヴァルハラの軍事指導者、大将軍の権限を持って轟、西園寺、氷河、百目鬼。お前達四人を一年の ロイヤルガード(王の護衛) に任命する。そして……」

「「「「!?」」」」

やはり選ばれたか。主人公グループの四人は、これで同じ一年の皆から一目置かれるようになるんだよね。

「ちょ、ちょっと待ってくれよ先生! なんで玲央が含まれてねぇんだよ!?」

「俺も不服だ。ロイヤルガードに人数の枠があるのは知っている。けれどそれを踏まえても、玲央が入っていないのには賛同しかねる」

「そうだよ先生! 玲央は確かに能力判定の数値は低かったけど、あれが本当の結果じゃない事くらい、先生程の人なら分かるでしょ!?」

「誠也先生。私も、この判定には納得致しかねます」

あっるぇ!? なんで主人公グループの皆が反論するの!?

こんな流れ見た事一度もないよ!?

当の本人が、当たり前だよって思ってるよ!

美鈴さん、あれが本当の実力ですよ!? 体力Sランクなのは何かの間違いだとは思ってるけど!

ちょっとリーシャさん、なんで貴女まで少し頬を膨らませて抗議してるんです!?

「はぁ、話は最後まで聞け。そして榊、お前には一年の キング(王) になってもらう」

「「「「「!!」」」」」

キング!? ちょ、ま、えええええぇぇぇぇっ!?

キングってあれでしょ、ずっと在籍不明で誰か分からなかった奴!

最強の戦士で最強の軍略を持って敵軍をせん滅する王の中の王。

その役割を継承する者。

毎年キングは極秘に選ばれ、生徒に知らされる事はない。

そのキングが、モブの俺ぇぇぇぇぇっ!?

「なんだよ、そういう事なら早く言ってくれよ先生」

「フ……であれば、俺に不服は無いな」

「なぁんだ! さっすが藤堂先生! 分かってるぅ!」

「そういう事でしたか。疑って申し訳ありません、誠也先生」

だからなんで皆が先に認めてるの!?

俺じゃ荷が勝ちすぎるんですけど!?

「藤堂先生、轟君達が榊君のロイヤルガードで、榊君がキングである事は理解しました。納得もしています。であれば、私は何故呼ばれたのですか?」

「あー。その、だな。リーシャ・エーデルハイト」

「はい」

「本日を持って、俺の正式な後継者に任命する。まぁ堅苦しい事はこのメンツでは抜きにするが、俺の弟子になれってこった」

「!! よ、宜しいのですか!?」

「ああ、お前には素質がある。俺と共に戦った経験もある。後は技を伝授してやる。お前にはこのヴァルハラで、正式に剣聖の勲章を与える。励めよ、リーシャ」

「っ!! はいっ!!」

リーシャさんの瞳に涙が浮かぶ。

心から尊敬している人に認められる、それがどんなに嬉しい事なのか……俺にも少し分かる。

だって、俺も心から推してる人達と友達になれたから。

「つーわけでだ。お前らはこれから、この勲章を胸につけろ。ロイヤルガードの証だ」

「「「「はいっ!」」」」

皆が勲章を受け取り、胸につける。

うん、すごく良い。制服の上からなのに、もう軍服のようなカッコよさである。

「リーシャにはこれだ。俺の後継者って証明はねぇが……俺の愛剣を、お前に託す」

「!!」

大将軍、藤堂誠也。彼の愛剣はアメノオハバリと呼ばれる聖剣の一つ。

腰に下げているだけでも、その存在感、オーラが半端ない代物だ。

こうして見ているだけでも、その凄まじい魔力の奔流が見て取れて、少し目が痛くなる。

「ありがとう、ございます。では、少しの間、お借りします藤堂先生」

「借り……? まぁ良い、使いこなして見せろリーシャ」

「はいっ……!」

うんうん、師匠と弟子の感動の場面だ。

そうして頷いていたら、一同の視線が俺に向いた。

な、なんでしょう……?

「そして榊。お前をキングに選んだ理由はいくらかあるが……最大の理由は、その"魔眼"にある。お前はその力を、絶えず使っていないか?」

「え? あ、はい」

「「「「「!?」」」」」

あれ、なんか皆に驚かれた。そんな驚くような事だったのだろうか?

「……はぁ、自覚なしか。そりゃ魔判定がFにもなる。良いか榊、"魔眼"ってのはとてつもない魔力を本来消費するもんだ。それを日常生活で絶えず使用できるという事はだな……お前の魔力は、本来Sランク以上って事なんだよ」

「!?」

な、なんだってぇぇぇ!?

「そして"魔眼"の所有者は、色で魔力判断できると聞く。榊、どうなんだ?」

「あ、はい。例えば火魔法なら使う前に赤く見えるから判断できます。罠とかなら紫ですね。なので、魔力は色で大体どんなものか判断できますけど」

「「「「「……」」」」」

あれ? これって普通じゃなかったの?

だって、火は赤とか水は青とか、前世じゃ常識だったよ?

「はぁぁぁ……。お前、それがどれだけ凄い事か分かってねぇな。何が来るか事前に分かれば、対処が出来る。罠が分かれば当然それもだ。仮にお前が出来なくても良いんだ。その為のロイヤルガード、仲間だ。お前よりキングに適した者は居ない」

「!?」

今日何度目の衝撃だろうか。

モブの俺が、そんな力を持っていただなんて。

これ、ドッキリじゃないよね……?