軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

40話.モブの素材集めは難航する

皆とダンジョンに行く前に、アインと剛毅も誘おうと思って一度クラスに戻った。

烈火と美樹也もパーティメンバーに伝えに行くと言って、一旦別れた。

烈火は西園寺さんと、美樹也は美鈴さんとパーティが一緒だったので、クラスポイント順位一位になれば、クラス対抗戦で皆と戦う確率が高いだろうね。

アインは昨日の話がまだ終わっていないらしく、午後は藤堂先生と話をする予定なんだそうだ(つまりリーシャさんも必然的にフリー)

そして剛毅は、西園寺さんの顔を見て何かアイコンタクトのようなものを取った後、今日は自主鍛錬をしたいと言ってきたので、受け入れた。

西園寺さんと剛毅、友達だったりするのかな?

ゲームでは別に関わりなかったと思うんだけど……ってそれはそうだ、水無瀬 剛毅なんてサブキャラクターは居なかったし、アインのような特殊な事情もないだろう。

西園寺さんのルートでも、水無瀬 剛毅なんて人は……うん? ごう、き?

そういえば、西園寺グループの現総帥は剛毅って名前だけど……いやいやそんなまさか。

考え過ぎだろう、うん。

……なんだろう、この変な確信めいた思いは。

俺はとりあえずそんな考えを振り払い、皆で目的のダンジョンへと向かった。

「行くぜ美樹也っ! 合わせろよっ!」

「フ……! 誰に物を言っている烈火!」

「「『アイシクルソード』!」」

「ギュァァァッ!!」

やっぱり出来たか。

烈火の技に、美樹也のスキルを合わせた合体技。

本来火の力を扱う烈火では与えられない氷属性の技。

それを美樹也との合わせ技で可能に出来るのだ。

美樹也には無いパワーを烈火が出し、烈火にはない属性の力を美樹也が付与する事で、弱点に対して絶大な威力を発揮する。

「行きますよ百目鬼さんっ……!」

「分かってる!」

「「『百花繚乱』!」」

「「「「「ギャァァァァッ!!」」」」」

こちらはこちらで、西園寺さんの『トルネード』に美鈴さんが『スパーク』を合わせる事で、敵全体を感電させる暴風魔法、『百花繚乱』へと 進化(エボリューション) した。

組み合わせは知っているけど、現実とゲームでは違う事を知ったので慎重に頼んでみたけど……杞憂だったようだ。

「すっげぇな! なんか体が自然に動くぜっ!」

「玲央、次は俺がメインで攻撃する形はあるか?」

「凄い凄い! こんな魔法あるんだ! なんか名前も自然に頭に浮かんだよ!?」

「ええ、凄いですね。私も『百花繚乱』なんて魔法を初めて知ったのに、まるで知っていたかのように扱う事が出来ました」

辺りの敵を殲滅して、皆が戻ってくる。

ちなみにリーシャさんは俺の近くで警戒してくれている為、直接的には戦闘に参加していない。

まぁ、リーシャさんまで参加したら確実にオーバーキルである。

「あはは。そうだね、次は烈火がサポートしてみようか。同じ感じで、美樹也の剣に火を纏わせる感じで」

「オッケ! うし! やってみるか美樹也!」

「ああ!」

二人は楽しそうにまた前へと飛び出していった。

ここ『鳥獣戯画のダンジョン』は、鳥獣達モンスターの巣窟である。

ウサギ、カエル、猿、キツネ、猫、ネズミ、キジ、テン、鹿、イノシシ、ミミズク型のモンスター達が徘徊しており、様々な素材が集まるのだ。

ダンジョン難易度はCランク相当で、あの罠だらけの『歪の洞窟』と同じではあるが、罠などはなく、純粋にモンスターの実力が高い為だ。

まだ入学したばかりでレベルが低いだろう烈火達にとって、きついかもしれない……なんて考えは、一気になくなった。

これ絶対レベル高い。明らかに1ではない。

そもそもがレベル1では使えない技使ってるから、当たり前かもだけど。

うーん、ステータスとか知りたい。能力測定のあれじゃなく。

でも、この世界がゲームの世界だと気付いた時に、そういうのは一通り試したんだよね。

出ないよ、ステータスプレートなんて。

実際はあるのかもしれないけど、確認の手段が無い。

ま、考えても仕方ない。

それよりも、この『鳥獣戯画のダンジョン』で集まるはずの、『魔法のカバン』の合成素材が……最後の一個だけ、全然でない!

ボスを倒すとこのダンジョンは一日復活しないので(ゲームではだけど)、何度もボス前で撤退しているんだけど、流石に皆疲労が蓄積している。

「はっ……はっ……玲央、まだ集まんない感じ?」

「うん……最後の素材、『鳥獣の魔石』がどうしてもドロップしないんだよね……」

「そっかぁ……なら、もうひと頑張りしなきゃね……! せっかく玲央が頼んでくれたんだもん、良いとこ見せないとね!」

「美鈴さん……」

「フ……。しかし玲央、どのモンスターが落とすのかは分かっているのか?」

「実は、どのモンスターも落とす確率があるんだ。この『鳥獣戯画のダンジョン』では。だけど、確率はその分滅茶苦茶低くて……」

「成程な。それでは倒しまくるしかないというわけか」

「そういう事なら、しゃーねぇな。ポイント稼ぎにもなるし、色々とこのメンバーでの合体技とか試せるし、楽しいから俺は良いけどな!」

烈火が笑ってそう言ってくれて、雰囲気は明るいものとなる。

皆俺の勝手な頼みごとに嫌な顔一つしないで協力してくれる。

本当に良い人達だ。

それから夕方近くになるまでモンスター達を倒したが、最後のピースだけが一向にドロップする事がなく、他の素材だけは山のように貯まっていく。

「「「「「はぁっ……はぁっ……」」」」」

流石に皆疲労困憊だ。

それもそのはずで、もう何十回と周回したか分からない。

しかも、見つけたモンスター全てを倒しに向かってるのだ、消耗も半端ない。

「皆、本当にありがとう。今日はもう、ボスを倒して終わろう」

「でもよ玲央!」

「良いんだ烈火。これ以上は皆の負担が大きすぎる。ただでさえ、今日は色んな事を試していつもより消耗が大きいでしょ?」

「「「「「!!」」」」」

普通に戦っていただけなら、皆がここまで消耗する事はなかっただろう。

でも今日は、烈火達自身ですら知らなかったであろう色々なスキルを使っている。

その消耗は俺が思っているよりはるかに大きいはずだ。

俺が言うのもなんだけど、色々と合体技をさせすぎた自覚がある。

二人技は言うに及ばず、三人技やリーシャさんを含めた特殊合体技等々、ゲームで見た技の数々をリアルで見れる感動に我を忘れてしまった。

だって見たかったんだもん(小声)。

「……榊君の言う通りね。今日はこれくらいにしておきましょう。このタイミングでもし強力な敵に襲われたら、全滅するかもしれないわ」

「そうだな。口惜しいが、やむをえまい」

「そうですね。ですが、機会はいくらでもあります。また挑戦しましょう玲央さん」

「西園寺さん……うん、ありがとう。それじゃ皆、最後の仕上げ、ボスを倒しに行こうか」

「「「「「おう!」」」」」

ボス前の扉を開け、出現したボス、シャドウキメラ。

黒い大きなライオンのような姿をしている。

皆に支援を掛け、特に何も言う事もなく撃破。

そして……

「あ、『鳥獣の魔石』」

「「「「「!?」」」」」

「よし! これで全部集まっ……どうしたの、皆?」

アイテムを拾い後ろを向くと、地面に座り込んだ皆を見て、やっぱり限界が近かったんだな、労ってあげないとと思うのだった。