軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

30話.モブの楽しいダンジョン攻略

「着いたぞ。ここがヴァルハラに設置されている人工ダンジョンの一つ、『嘆きの洞窟』だ」

「「「「「!!」」」」」

まさか『嘆きの洞窟』とは……。

別名チュートリアルダンジョンとも呼ばれる、攻略に必要な事が大体揃っていて、攻略の仕方を学べるダンジョンだ。

出てくるモンスターも特別強い事はなく、ボスもでっかいこん棒を持ったおっさ……ゲフンゲフン、オークだったはず。

緑色なんてしてなくて、人間と同じ肌色で、顔もやたらと人間味があるので、ユーザーからはおっさんの愛称で親しまれていた。

親しまれていたというのは、このダンジョンは周回が凄く速いから効率良くレベルアップ出来た為。

この世界に来てからレベルという概念を感じた事がない(トレーニングでの強化を実感する事はあれど)ので、レベル上げに意味があるかは分からないけど。

まぁそんなわけで、親の顔より見たなんとやらである。

目を瞑ってても攻略できると思う。

「そんじゃ……班ごとに順番に入ってもらうぜ。攻略しても1分で元通りになるから安心しろ」

「「「「「1分!?」」」」」

「……っ……」

流石に早すぎて笑ってしまう。

でも確かに、ゲームでもクリアしたら即入れたからなぁ。

他のダンジョンだとクリアしたら数日のインターバルがあったりして、入れなくなるのに。

「そうだ。榊、一番手……行ってみるか?」

「「「「!!」」」」

「良いんですか?」

「おう。俺もお前らがどんくらいの速度で攻略するか、見てみてぇんだよ」

「……皆、良いかな?」

後ろを振り返って確認すると、皆頷いてくれた。

「分かりました。それじゃ榊チーム、一番手貰いますね。行こう皆」

「「「おう!」」」

そうして、俺達は中へと入る。

ちなみに榊チームとは皆がそう決めたので。

俺的にはリーシャさんチームが良かったのだけれど……

『指揮官がリーダーに決まっているじゃない。なら、榊チームでしょ』

『うん、僕もそう思うかな』

『異議、無し』

という俺以外の満場一致である、とほほ。

「洞窟という割には、綺麗な雰囲気だね……」

「だね。あ、剛毅そこ槍で突いて」

「!! りょう、かい!」

ドスン!

「「「!!」」」

水無瀬さんが俺の指示通り槍で突いてくれたお蔭で、トラップが発動。

うん、これに気付かないと結構ダメージ受けたんだよねぇ。

「アイン、そこの壁を剣で斬って。リーシャはあの上にある少し長い棒みたいなのあるでしょ? あれ魔法で壊してくれるかな」

「わ、分かった! はぁぁっ!」

「ええ、了解。『ウインドブラスト』」

アインさんが仕掛け壁を剣で斬り、リーシャさんが仕掛け棒を魔法で壊すことにより、新たな道が出来た。

「よし、行こうか」

「「「……」」」

うーん、周回しすぎてトラップも仕掛けも全部分かってるから、面白みがないなぁ。

おっと、この先モンスター出現場所だったな。

「剛毅、アインを守る形で前へ。リーシャは少し後ろで待機」

「「「了解!」」」

隊形はこれで良い。後は少し進むと……

「ゴブッ……!?」

お前が驚くんかーい! というかゴブリンって鳴き声やっぱりゴブッなんだ。

ちなみに、このゲームのゴブリンは他のゲームで出てくるようなやたら気持ちの悪いものではなく、犬型の顔に人型の体で、とても可愛らしい人形のような姿である。

それコボルトでは? とか言ってはいけない。

「剛毅、敵の攻撃を受け止めたらアインへ流して」

「りょう、かいっ! フンッ……!」

水無瀬さんがゴブリンの攻撃を盾でいなし、ゴブリンは態勢を崩す。

「よし、そこだっ!」

その隙をアインが斬りつけ、ゴブリンはアイテムとなって消えた。

「「……」」

「ふふ、この程度じゃ私の出番はなさそうね」

「まぁ簡単なダンジョンだからね。全部頭に入ってるし、この先も余裕だよ。ボスをさっさと倒して、新記録出すのも面白そうだよね!」

「あ、はは……いやぁ……凄いとは思ってたけど……ここまでとは……」

「あ、ああ。す、凄い、な……」

「ふふっ……。それじゃ、行きましょうか。引き続き指揮を頼んだわよ榊リーダー?」

「任せて!」

この時の俺は浮かれていた。

初めてのダンジョン。しかし見慣れたダンジョンの攻略。

つまりは……最高にハイってやつだねっ……!

「嘘だろお前ら……これまでの記録を圧倒的速度で置き去りにしていったぞ……いくらこのダンジョンの難易度が低いとはいえ、初見で新記録かつ、圧倒的、だと? お前らは一体……」

「「「榊(君)がやりました」」」

ちょぉぉぉぉっ!?

皆で指さすの止めよ!?

それに俺は指示しただけで、実際に動いてくれたのは皆だぞう!?

「ハァ……ったく。おいお前ら、こいつらのチームは参考にすんな。遅くても普通だからな」

「「「「「はいッ!!」」」」」

あれ、皆の俺を見る目が軽く引きつっているような?

「まったく……これは並大抵の努力じゃ追いつけないなぁ。僕も気合入れなおそう」

「ボス、も、榊殿の指示は、的確、だった」

「ええ。敵の行動を知り尽くしているかのようだったわね。面白いくらいにその通りに動くのだもの」

あー、いやあれは。

あのおっさんの行動パターン、三種類しかないから。

しかも動作の前に分かりやすい行動を挟むから間違えるわけないんだよね。

しかし、ちょっとやりすぎたかもしれない。

クラスで浮く前に、自重しないと。