軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

99話.学年対抗戦・vs二年生②

試合が始まるアナウンスを聞いて、俺達は戦場フィールドへと出る。

「「「「「ワァァァァァァッ!!」」」」」

俺達の後ろ側には一年生の生徒達が皆座ってこの場を見ている。

頭上にはモニターがあり、各場面を俺達には見えないが、観戦している皆には見えるようになっている。

空から魔道具で映像を転写しているらしい。

転生前の世界で言えば、カメラみたいなものだね。

視野を遮るものの何もない、ただっぴろい草原。

この場所で待機していては、狙ってくれと言うようなものなので、勿論移動する。

俺達の陣地予定の場所は湖。

背を湖にする事で後方からの奇襲を防げるのも利点だからね。

森は燃えやすく、烈火の力が仇になる可能性も考えて無しだ。

烈火は大剣を扱うので、森だと木が邪魔で小回りが必要になってしまうし、そうすると烈火の持ち味が生かせないのもある。

この戦いの鍵を握るのは、烈火とリーシャさんだ。

美樹也達が各個撃破している間に、攻め手から紅葉さんを烈火達に守ってもらわなければならない。

そして、リーシャさんには陽葵さんを止める、もしくは撃破してもらう。

その為の盤上を、俺達で整えなければならない。

ビーッという音が鳴る。

開始の合図だ。

落ち着け、作戦は皆に伝えた。

後は、やるだけだ。

金色に輝く『キングの証』を撫で、俺は閉じていた目を開ける。

「さぁ、始めようか皆」

「「「「「おおっ!!」」」」」

『いよいよ始まりましたね藤堂先生! 学年対抗戦第一試合、一年生対二年生! 実況は二年生講師の 大森(おおもり) 明美(あけみ) と!』

『このノリでやんのかよ。あー、一年の講師、藤堂 誠也だ』

『いやー、毎年の事ですけど、楽しみですよね! 今年はどんな戦いになるでしょうか! 毎年一年生は二年生にコテンパンにやられちゃいますから、見所は明日以降だとは思うのですけどね! 去年一年生だった現二年生は、現三年生に勝つ為に必死に研鑽を積んできた精鋭ですし!』

『へっ……軍部の奴らもそう思ってんだろうな。ま、見てろよ。今年の一年はお前らの度肝を抜くはずだぜ?』

『え……?』

司会というか、放送で流れてくる為、藤堂先生と大森先生の話は戦場に居る俺達にも聞こえてくるが、これも開始直後までだ。

以後は俺達には聞こえなくなる。

アナウンスから情報が漏れないようにである。

しかし、藤堂先生にそう言われたら、ますます情けない姿を見せるわけにはいかないな。

【玲央、配置に着いたぞ】

【こちらも着いたネ】

【了解。二人は単騎の気配を探って。必ずその道を通るはずだから】

【【了解】】

【榊君、僕達も所定の位置に着いたよ。まだこれ以上は進まなくて良いんだよね?】

【うん。アイン達はそこで指示があるまで待機】

【了解だよ】

【玲央、こっちも準備出来たわよ。ティナさんとの合体魔法、いつでもいけるわ】

【了解。俺も戦場の魔力の気配を探ってるから、もう少し待って】

【分かったわ。いつでも言って頂戴!】

皆からの連絡を聞きながら、二年生達の魔力を"魔眼"で視る。

森の木々すら、"魔眼"の前では障害物に成り得ない。

ステルスすら無効だからね。

やはり予想通りというか、ゲーム通り進んできたか。

キングが千鶴さんだから油断は出来ないけれど……とりあえずは想定通り!

『これは……どういう事でしょう? この配置……一年生は何を考えているんでしょう藤堂先生。今までなら、キングは普通森に配置しますよね? 守りやすいですし。二年生はしっかり基本通り、森に配置していますし』

『そうだな、セオリーなら基本はキングを森に配置するのがベストだ。が、あいつがそれを知らねぇわけがねぇ。ククッ……楽しみだな』

『あいつ、ですか……?』

『ああ。お前も知ってるだろ? 一年キング、榊 玲央』

『!! あ、場面が動きましたね! これは、二年生の奇襲部隊が先行したんでしょう……なっ!? 一年生がそれを先読みしていますこれ!?』

『ほぉ……! 二年のステルスを逆手に取ったか! 玲央のあの力か』

【取ったぞ玲央、ルークの紋章だ】

【こちらも取ったネ! ルークの紋章ネ!】

【うん、お疲れ様二人とも。これで敵のルークは潰したから、こっちが少し有利に動けるね。二人はそのまま森へ行って。多分二年生達はこちらが森に配置していると思っているから、湖は素通りするはず】

【フ……了解だ。紅葉には烈火と剛毅がついているのだったな。ならば守りは万全だろう】

【そうネ。アタシ達は森に潜伏しておくネ!】

【お願いね】

よし、ここまでは想定通り。

敵のアサシン部隊を先に潰せたのは大きい。

あちらは突然の奇襲でろくな対策も出来なかったはずだ。

まともに戦えば流石に二人も苦戦しただろうからね。

ん、魔力反応がこちらの湖に近づいてきたか!

【美鈴さん、今だ!】

【!! 了解よ玲央! ティナ、行くわよ!】

【畏まりましたっ!】

『なっ……!? ど、どうなっているんですかこれぇ!? 湖全てが、氷って……!?』

『ガハハハハ!! そう来たか玲央……! 合体魔法とはな!』

『合体魔法!? それって、軍部でもまだ解明されていないアンノウン魔法の事ですか!?』

『ああそうだ。どの魔法とどの魔法の組み合わせで発動するのか、数多く試されたが発動例は極端に少ねぇアレだ。同じ魔法を使っても合体魔法にならねぇ場合が多く、未知の力と言われてんな』

『そ、それをまだ入学したばかりの一年生が扱ったんですか!?』

『そういうこったな。しかもアレは単なる上位魔法じゃねぇ。戦略級魔法や広域殲滅魔法の類だな。ククッ……まさか学生の戦いで見れるたぁな』

美鈴さんとティナさんの合体魔法で、湖全体を凍らせる。

これにより、火山の噴火のマグマ地帯になる速度を遅らせる事が出来ると同時に、湖の近くを通っていた先輩達の目をくぎ付けに出来たはず。

【今だアイン! その場からただまっすぐに! 突撃だっ!】

【了解! 皆、行くぞぉっ!】

アインの位置から正面に、二年生の敵部隊が居る。

恐らく同じポーン部隊だ。

アイン達には湖の相手側の奥に配置させていた。

つまり、こちら側へ誘う形で突撃させている。

その奥には美樹也と旋風さんが伏兵として待機しているので、挟撃できるはず。

これで相手ポーン部隊は全滅できるはずだ。

後は……うわっ! とんでもない速度でこっちに突っ込んでくる魔力が……って考えるまでもない!

「み―つけたっ! れおちー!」

「!!」

「この状況、れおちーの戦略でしょ? チルチルから真っ先に潰すべきはれおちーだから、探して欲しいって言われてるんだよね! 覚悟するし!」

まさか陽葵先輩が、リーシャさんを避けて俺をいの一番に目指してくるなんて予想外すぎる!

やはり千鶴先輩の戦略だったか……!

くっ……どうする……!

俺の力では、陽葵先輩の速度にはついていけないぞっ……!