軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

83話.我が家にペットが増えました

さて、ヴォルフという強力な味方を得たのは良いのだけど。

「マカロン、ヴォルフにはどうしてもらうつもり?」

「うむ。二つ選択肢を考えてある」

「二つ?」

「ああ。まず一つ目、我らと別行動を取り、独自に魔族の兵達を従えて兵力を増やしてもらう案が一つ」

成程。魔族も一枚岩ではないのだから、ヴォルフに従う者も出るだろう。

特にヴォルフは魔族達のカリスマ的リーダーだった。

誰しもが、ヴォルフの為に命を賭けた。その事からも、今回の戦いで確信できた。

きっとヴォルフが声を掛ければ、多くの魔族が従うだろうと。

「そしてもう一つ。この家を拠点に、我らと行動を共にしながら、私の指示を受け動いてもらいつつ、独自にも動いてもらう案だ」

うん、うん?

動いてもらう点は良い、マカロンの指令ならヴォルフは喜んで拝命するだろうし。

それは問題ない。

問題があるとすれば……

「流石にヴォルフを家に入れる言い訳が思いつかないよマカロン」

「む?」

マカロンは猫の姿を取れるから大丈夫だったけど、ヴォルフはそうもいかない。

見た目は大柄な獣人なのだ。

威圧感もあるし、咲が怖がるかもしれない。……怖がるかな?

「玲央ちゃん、最近流行りのホームステイとか☆」

「獣人国の許可とか、そもそも経歴辿られたらアウトですけど」

「それもそっか☆」

経歴を 改竄(かいざん) してくれそうな人が居たら良いんだけど、あいにくと獣人族の知り合いなんて居ない。

いや良くは無いよね、犯罪だよそれ。

「ペットとして飼えば良いだろう?」

「え?」

獣人族をペットって、捕まりますよマカロン。

昔はそういう事をする人が居たらしいけど、今では法律でそういう事は禁止されている。

よくあるファンタジー世界の奴隷制度とか、この世界では禁止されているのだ。

人にも亜人にもきちんと人権があり、尊重されるべきものとされている。

犯罪者には一部はく奪されるけれど、人としての死を迎えられる事になっている。

話がそれたけれど、ヴォルフをペットは無理があるのだ。

「要は私と同じように変化すれば良いのだろう? ヴォルフ」

「ハハッ!」

「え……」

「おお☆ ワンちゃんだ☆」

「ワウ!(クレハ卿、俺は狼だ!)」

お、おお、目の前にポメラニアンやダックスフンドと同じくらいの大きさをした、犬の姿をしたモフモフのヴォルフが居た。

「ヴォ、ヴォルフ?」

「ワン!(おう!)」

なんという事でしょう、意思疎通まで出来てしまう。

「これなら問題あるまい?」

「え、ええと……両親に話してみないとなんともだけど……」

というわけで、マカロンとクレハさんを置いて、ヴォルフを連れて父さんと母さんの部屋へと行く。

コンコン

「父さん、母さん、今大丈夫?」

「おー、玲央か? 入って良いぞー」

「Zzz……」

「あれ、母さんはまだ寝てるのか」

「遅くまで昨日の対処に追われてたからなぁ。勘弁してやってくれな」

「あー……」

俺達は戦っていたけれど、街の皆だって色んな仕事が増えたはずで。

もしもの為の避難対応だってあったはずだもんね。

「それで、どうしたんだ玲央? 見た所、その犬かい?」

「ワン!(狼だ!)」

「おー、威勢よく鳴いて可愛いな!」

そうしてヴォルフの頭を撫でる父さん。

そういえば、父さんは昔犬を飼っていたと言っていたな。

「その、マカロンを飼っておいて立て続けにこんな事を言うのは気が引けるんだけど……良ければ、この子も飼いたいんだ。世話は俺がするから、ダメかな父さん」

「良いぞ! どうせ母さんも良いって言うからな! 玲央だけじゃなく、咲や拓もマカロンの世話をしっかりしているし、俺が反対する理由は一つもない! それに、父さんは犬が大好きでな!」

そう言って、ヴォルフを抱き上げる父さん。

今やちっちゃい子犬のようなヴォルフはされるがままである。

「ワゥン!(主君の主君に俺が手を出すわけにはいかぬ! 好きにするが良いわ!)」

なんかもはや諦めがついているような。

ヴォルフが嫌じゃないなら、良いんだけどね。

「うぅん……なんか犬の鳴き声がする……?」

「あ、母さん」

「おはよう。玲央が犬を飼っても良いかって」

「あー、玲央が……。そう、良いわよぉ~。もうちょっと二度寝するわねぇ~……Zzz……」

そうしてまた布団にもぐる母さん、

余程疲れているんだろう、そっとしておこう。

許可も貰えたことだし。

「それじゃ父さん、咲と拓にも話してくるよ」

「そうか。何かあったら遠慮なく言うんだぞ? 父さんは今日リモートワークだから、いつでも声を掛けて良いからな」

「うん、ありがとう父さん」

そうして部屋を出る。

あ、ヴォルフ忘れた。

また部屋に入る。

「ワォン!(玲央! 俺をそのままにするな!)」

「ごめんごめんヴォルフ」

「お、名前はヴォルフっていうんだな。可愛いのにカッコいい名前もらったなこいつめ~」

「ワォン!?」

父さんが再度ヴォルフを抱きしめて顔を頬ずりする。

かなりヴォルフを気に入ったようだ。

マカロンには逃げられてるからな父さん。

「それじゃ、ヴォルフ預かるよ父さん」

「うう、俺の膝の上に置いて仕事しちゃダメ?」

「咲と拓に紹介すまさせて父さん」

「あ、ああ、そうだよな。ヴォルフ、いつでも部屋に来て良いからな? 玲央、扉は閉めないで少し開けておくように」

「どんだけ気に入ったの父さん。まぁ了解だよ。さ、行こうヴォルフ」

「ワオン!」

見た目は子犬だけど、実力は魔将ヴォルフガングだ。

最強の護衛がまた増えた感じだね。

「あれ? おにい、ギャル子ちゃんと一緒に部屋に行ったんじゃ?」

ギャル子ちゃんて。

「クレハさんな」

「分かってるよー。本人目の前では言わないから! 多分。それで、その可愛い子犬は?」

「ワン!(狼だ!)」

ヴォルフの訴えは誰にも通じない。

「ああ、我が家のペット第二号だよ」

「「!?」」

「ヴォルフって言うんだ。仲良くしてやってくれな」

「ヴォーちゃん! わー、可愛いっ!」

「ワオン!?(こやつもか!?)

父さんに続き、咲もヴォルフを抱きしめる。

ヴォルフは嫌そうだけど、なすがままである。

「ええっと……兄貴が決めた事なら、俺は良いんだけど……ちょっと心配だな」

「え? 心配?」

「そのさ、マカロンは猫だろ? 犬と猫じゃ合わないとかあるだろうし……」

ああ、拓はマカロンの事を考えてくれたのか。

そしてきっと新しく住む事になるヴォルフの事も。

優しい子だ。

「はは、ならちょっと待っててくれな」

「「?」」

二人が首を傾げたのを見た後、俺はマカロンを抱っこして戻る。

クレハさんはこの戦いについていけないわけじゃないけど置いてきた。

「にゃん」

「ワフ!」

「「おお……」」

猫形態のマカロンの前に、犬形態(狼)のヴォルフが跪いていた。

スマホで撮ってSNSに上げたい場面である。

「だ、大丈夫そうだな。なんかマカロンがどやぁしてっけど」

「にゃん」

「ワフん」

「ヴォーちゃんもなんか、似たような感じだよ? なんで?」

うん、マカロンの当然って態度と、ヴォルフもそれが当然って思ってるから、かみ合ってないけどかみ合ってしまっている。

「ま、まぁとりあえず大丈夫って事で。それじゃ兄ちゃんはまだクレハさんと話があ……」

ピンポーン

話があるから、と抜けようとしたら、チャイムが鳴る。

「はーい」

玄関へと歩いていくと、後ろをマカロンとヴォルフがついてくる。

なんというかこう、人型の本人達を知っているのに、可愛くてしょうがないんだけども。

「玲央さん、こんにちは」

「紅葉さん!?」

扉を開けると、正統派和服美女の紅葉さんが、玄関に立っているのだった。