軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

78話.ワルキューレとValkyrie

「うおぉぉ! あれ兄貴だよな!? かっけぇ!!」

「あれがおにいなの!? 家と別人じゃない!?」

リビングでテレビをつけていると、テレビのニュースで昨日のヴァルハラでの事が流れていた。

どうやら空から中継していたようで、バッチリくっきり撮られていた。

まぁ、撮られていたと言うのは語弊があるか。

学園長であるアリスさんが許可してるからね。

「すっげぇ! リーシャの姉御、かっけぇすぎる!」

「ホントホント! 強くて美しくてカッコいいとか、どれだけなのー!?」

うん、大興奮だな咲、拓。

テレビでは昨日のヴァルハラへの襲撃を、ダイジェストして放送している。

それでもどのチャンネルも昨日の事ばかりで、もはやチャンネルが意味を成していない。

「にゃん(ふはっ。一躍時の人だな玲央)」

反論したいけど、咲と拓が居る手前、話す事は出来ない。

ちなみに戦いの後、皆で帰る前に凄まじい数の取材の人達に囲まれたのは言うまでもなく。

一言お願いします! とか本当に言われるんだなって思ったよ。

ちなみにヴァルハラは復旧作業がある為、一日お休みとなった。

傷は魔法で治せるけれど、精神的なものは癒せないから、しっかり休めという事だろう。

話題のリーシャさんは本人の想像通り、全身筋肉痛で酷い事になっているとメッセージが届いていた。

本当にごめん、リーシャさん。でもあの戦いは、リーシャさんの力が無ければ被害が大きくなっていたと思うんだ。

リーシャさんはあの戦いを見た視聴者の方達から、敵将と単独で戦う姿、その美しさと強さから、Valkyrieと呼ばれるようになった。

ゲームではワルキューレの選定と呼ばれたイベントだったけど、ヴァルキリーはワルキューレのことを指しているとも言えるので、同じかな。

後日、ヴァルハラから表彰されると解散前に言われたけれど……嫌そうなリーシャさんの表情が浮かんできて笑ってしまう。

「ねぇおにい?」

「んー?」

「あれ本当におにい?」

咲のあんまりと言えばあんまりな言葉に、ガクッとしてしまう。

「俺じゃないなら、誰なんだ……」

「だって、あまりにも普段のおにいと違って……なんていうか、こう、カッコいいんだもん……」

「……!」

真っ赤な顔で、顔をクッションに埋めながらそう言う咲に、俺はなんて返せば良いんだ!?

「分かる、分かるぜ姉貴! 兄貴がかっこよすぎて別人みてぇだもんな!」

「う、うん」

「的確に指示を飛ばしながら、最後には自分も戦って、リーシャの姉御への攻撃も防いでた! くぅー! 痺れるぜっ! これが俺の兄貴だぜっ!!」

「私のでもあるんだからね拓ぅー!」

嬉しそうにそう言われてしまえば、恥ずかしさよりも嬉しさが勝ってしまうわけで。

「まったく、そんなに褒めても美味しいクッキーくらいしか出ないからな?」

「「出るんだ」」

「ははっ。後は焼くだけだから、ちょっと待ってて」

「家事万能で気遣いが出来て強くてカッコいいなんて、無敵かよ兄貴……」

「我が家の最強主夫だよね拓」

この二人は放っておいたらどこまでも俺を持ち上げるので困る。

もしかして、子供の頃から俺がやってきたヨイショを二人も真似してるのではなかろうか?

それだと自業自得すぎて何も言えない。

バタークッキーなので、温度は170℃に設定、15分程度っと。

オーブンに入れてダイヤルを回す。

これで完了だ。

あとは出来上がるまでテレビを見るのも、今はずっと同じニュースだし気恥ずかしい。

となれば……

「咲、拓。兄ちゃんは部屋でトレーニングしてくるな」

「はーい。おにいは真面目だなぁ」

「休みの日くらいゆっくりしたら良いのにな。ま、兄貴らしいけど」

ちなみに、他の学校も大体休校になっている。

ヴァルハラのように被害があったわけではないけれど、まだ魔族が潜んでいたら危ない為である。

この世界にも警察は存在していて、見回ってくれるのだ。

軍と警察は繋がっているけれど、別組織として国の守護に当たってくれている。

今回の戦いで人間側が勝利した事で、軍は戦線を少し前に押し出せたらしいけれど……膠着状態なのは変わりないようだ。

でもこれで、敵側の実力を持った将を一人減らす事が出来た。

しかし、一つだけ不可思議な事が起こった。

リーシャさんが討ち取った魔将ヴォルフガングだったが、その遺体がいつの間にか消えていたのだ。

その命の灯が消えたのは、俺も確実に視た。

だから、生きていて逃げたというわけでは確実にない。

考えられるのは、何者かが遺体を持ち去ったという事。

しかし、空から映像も撮られていたし、かつ近くに俺達は全員居たのに、誰にも気づかれずにそれを行ったというのは……不可解だった。

一応藤堂先生や他の先生達が見回ってくれたのだけど、結果は分からないだった。

マカロンに話すと、難しそうな顔をして黙っていたので、もしかしたら何かマカロンは知っているのかもしれないけれど。

話してくれない以上、俺からどうこうは出来ないから、この件はこれで終わりである。

今回の戦いで、まだまだ俺達には力が足りない事が浮き彫りになった。

本来であれば、烈火達四人で魔将ヴォルフガングを討てたはずなのだ。

だけど今回リーシャさんが居なければ、厳しい戦いになっていただろう。

これは原作とはかなり乖離してしまっている。

とはいえ、良かった点は数多くある。

三年生と二年生の協力により、一年生も死者は零。

彰先輩や、陽葵先輩達のお陰だ。

本当に、誰も死ななくて良かった。

ピンポーン

そんな事を考えながら基礎トレーニングをしていたら、チャイムがなった。

咲と拓が居るし、俺が出る必要は無いのだけど……何かあっては困るので、俺が出る。

「はーい」

「来ちゃった☆」

「……」

そんな、彼氏の元に押しかけてきた彼女みたいな言い方されましても。

「クレハさん、紅葉さんに怒られますよ……?」

今風のギャルみたいなカッコをしたクレハさんが、居た。