軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

77話.ワルキューレの選定戦⑦

「オオオオンッ!!」

「フッ……!」

魔将ヴォルフガングの相手を、リーシャさんが一人で受け持ってくれている。

現状、俺達が束で掛かってもリーシャさんの邪魔になる為、俺達は取り巻きの相手をする。

「『パワーブレイカー』!」

「ガァァァァッ!!」

「『アイス・ソード』!」

「グァァァァッ!!」

烈火に美樹也も順当に敵魔族の数を減らしている。

だけど……数が多すぎる。

減らしても減らしても、すぐに減らした分の魔族が補充されてしまう。

「紅葉さん危ないっ! 『プロテクション』!」

「グゥ!?」

「ありがとうございます美鈴さん! 『フィアフル・ストーム』!」

「ギャァァァッ!!」

全方位を囲まれている為、どれだけ気を付けても背後を取られてしまうのも厳しい。

ゲームと違い、どれだけヴォルフガングが耐えるかも分からない。

「おのれ、やはり強いな剣聖、リーシャ・エーデルハイト……敵にはまだ藤堂 誠也も残っているというのに、これ程の猛者を残したまま、逝くわけにはいかぬ……我らが仲間の為、我らの悲願の為……ここで貴様だけは倒すっ……!」

「……!」

まずい! あれはヴォルフガングの最終奥義、『ファイナリティ・ビッグバン』だっ!

自身を中心に大爆発を起こす技で、仲間を巻き込む為最後の10ターン目に必ず使う大技!

「みな、すまぬ! その命、貰うぞ!」

「「「「「この命、ヴォルフガング様の為に!!」」」」」

「美鈴! 紅葉! 最大魔力で結界をリーシャの前へ展開! 速く!!」

「「!!」」

「もう遅いっ! 死ねぇぇぇえぇぇぇっ!! 『ファイナリティ・ビッグバン』!!」

凄まじい衝撃波が襲い掛かる。

美鈴さんと紅葉さんの張った結界が、音を立てて軋む。

「ぐ……ぅぅ……! これ、きつい、かも……!」

「美鈴っ……!」

「くぅっ……ここまで、凄い力、とは……!」

「西園寺! くっ……玲央、俺達に出来る事はないのか!?」

美鈴さんと紅葉さんが結界を維持する為に力を尽くしてくれている中、守られている俺達に出来る事。

「……信じて。この攻撃を凌ぎ切った後、二人はリーシャさんと共にヴォルフガングを討つんだ。俺の全魔力を、二人に合わせて補強してる。必ず、守りきるよ。だから最後は、お願い」

「「!!」」

二人が結界を張ってくれたと同時に、俺は二人に魔力を送っている。

そうしなければ恐らく、数秒と持たずに結界は割れていただろう。

それほどに凄まじい暴力的な力が、俺達に襲い掛かっている。

烈火と美樹也は前を向き、リーシャさんの隣へと並び立った。

「二人とも……」

「玲央達なら、必ず防ぎきってくれる。信じるぜ」

「ああ。だから俺達は、奴の最大の攻撃を凌ぎ切ったその瞬間を、逃すわけにはいかん」

「そうね……やりましょう二人とも」

リーシャさんを中心に、剣を構える三人を見て思う。

ああ、やっぱりカッコいいな、と。

こんな、命が掛かっている時だというのに……やはり、どうしようもなく、皆をカッコいいと思ってしまう。

「ったく、玲央。アンタ今の状況分かってる?」

「え? 勿論、失敗したら死んじゃうよね?」

「ふふ、それをそんな嬉しそうな顔で言われましても……」

「え、俺そんな顔してる!?」

「してるわよ。もう、烈火に美樹也が戦闘狂って思ってたけど、アンタもなの?」

「ええ!? 俺は違うよ!?」

「どうだか。でも、そんな顔されちゃ、負けるわけにはいかないわよね。踏ん張るわよ紅葉さん……!」

「はい! 防ぎ切ります……!」

「「はぁぁぁぁぁっ!!」」

二人の魔力が更に高まる。

凄い、先程までも十分に強力な結界だったのに、更に強固なものになった。

これなら……!

「ぐぅぅぅぅっ!! まさか、この俺の最大奥義を、防がれたと、いうのか……!」

衝撃が治まり、砂埃が晴れてくる。

「今だっ! 皆!」

「「「おおおおっ!!」」」

「!?」

俺の掛け声と共に、三人が駆ける!

「「「「「オオオオオッ!!」」」」」

ヴォルフガングの技で、多くの魔族達は消し飛んでいた。

だけど、それでも後方には威力が弱かったのか、耐えている魔族達がいたようだ。

その魔族達が、身を挺してヴォルフガングの前に立つ。

「邪魔だぁッ! 『ラグナブレイカー』!!」

「ガハァァァッ!! ヴォルフガング様、お先に、逝って、おります……」

「消えろっ……! 『アイス・ソード』!」

「グハァッ!! ヴォルフガング、さま、貴方様にお仕え出来て、幸せでござい、ました……」

烈火と美樹也に次々と倒されていく魔族達。

誰もが、ヴォルフガングの為にその命を賭けた。

ゲームでは無いと、こんなに、後味が悪いものなのか……。

「お前達……すまぬ……。グルルァァァァ!!」

「「「!!」」」

「ただでは死なぬ! 貴様だけは、道連れだっ!」

「!?」

ヴォルフガングの奥の手、『死の導き』。

あれに当たると、即死する。

だけど、それは知ってる!

「させないっ! ゲートオープン! 飛べっ!」

「なにっ!? 馬鹿な、俺の禁じ手を……!?」

「今だリーシャさんっ!」

「!! これで終わりよ! 剣聖技『天照金色閃』」

「ぐはぁぁぁっ……! ぐぅぅ……み、ごと……也……みな、すま、ぬ……」

リーシャさんの一撃により、魔将ヴォルフガングは地に伏せた。

「ふぅ……魔将ヴォルフガング、藤堂誠也が一番弟子、剣聖リーシャ・エーデルハイトが討ち取ったわ!」

「「「「「ワァァァァァァッ!!」」」」」

リーシャさんの声を聴いた皆が、歓声を上げる。

それとほぼ同時に、ヴァルハラを覆っていた魔族の包囲網が、撤退していくのが見えた。

どうやら、なんとかこの戦いを乗り切れたようだ。

課題も多いけど……ひとまず、この勝利を……生き延びれた事を、喜びたい。

「うぉぉぉっ! やったな玲央ぉっ!」

「おわぁっ!?」

「ったく、なにやってんのよアンタ達は」

「ふふ。なんとか勝てましたね」

「ふぅ……玲央君に言われたから試したけど、この力はちょっときついわね。明日は全身筋肉痛で動けないかもしれないわ……」

「フ……お前でもそうなるのか」

「私をなんだと思ってるのよ」

「化け物だろう?」

「……氷河君、ちょっと認識の矯正が必要なようね?」

「まぁ待て、落ち着けリーシャ。言葉の綾と言うやつだ」

「ぶははっ! 美樹也が慌ててんの珍しいな!」

「あははは!」

「もう、玲央君まで笑って!」

「ごめんって!」

うん、勝てて本当に良かった。