軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

73話.ワルキューレの選定戦③

「烈火、美樹也! そのまま前の魔族達を蹴散らして道を作って!」

「おおっ! 任せときなぁっ!」

「フ……任せておけっ!」

「紅葉さんは俺を中心に回復フィールドの維持を! ちょっと魔力を使い続ける事になるけど、大丈夫!?」

「ええ、お任せください。少々の傷なら気にせず戦えるように、ですね」

「うん! 美鈴さんは烈火と美樹也のサポートを頼むよ! バフだけじゃなく、敵の攻撃を結界で防いだり、一番忙しくなると思うけどよろしく!」

「ふふ、ええ! 任せなさい玲央! 烈火、美樹也! まずは攻撃力を上げるからね!」

「「了解っ!」」

「リーシャさんは今は待機、というのもあれだから、俺の守りをよろしく!」

「ええ。玲央君には指一本触れさせないわ」

皆に指示を出しながら、俺達は報告のあったボスの居る場所へと向かう。

魔力通信によって適宜情報が送られてくるが、二年生と三年生は上手くやってくれているようだ。

一年生は俺達が離れる為、一時的にE組がまとめ役になってもらう事にしたのだが、流星君やロスファルトさんといった指揮が出来る人が居てくれて助かった。

二人とも皆に慕われているし、他クラスの烈火や美樹也のチームメンバー達が後押ししてくれたのも心強い。

後を任せられる、それがこんなにも頼もしいとは。

俺も頼って貰えているのだから、その信頼には応えなければね。

「ここは俺達に任せて、先へ行くんだ榊君! 皆!」

「私達で、絶対にこの先へは行かせないから!」

「ボスを頼んだぜ榊!」

後ろを振り返ると、皆が親指を立てて、送り出してくれた。

皆にどれだけの勇気を貰えたか。

一人だって死なせるものか、絶対に!

「邪魔だぁぁっ!!」

「グァァァァァッ!?」

「フ……! 貴様達程度に、俺の動きは見切れんっ!」

「ガハァァッ!?」

烈火が立ち塞がる敵を吹き飛ばし、美樹也が残った敵を切り捨てる。

紅葉さんが魔法で牽制し、美鈴さんは結界を適宜張り直し、皆を衝撃から守ってくれている。

まっすぐに敵ボスへと向かっているので、通った後ろも魔族だらけだ。

その為、後ろから襲い掛かられる事もある。

だけど

「させないわ」

「ギャァァァァッ!!」

リーシャさんが一瞬で斬り、倒してくれる。

俺は自分の身の安全を考える事なく、指揮に集中できる。

そうして結界の亀裂に辿り着いたその先。

居た。

黒いオーラを身にまとい、隠そうともしないその殺気と共に。

魔将ウォルフガング。

巨大な二足歩行の狼は、こちらを見定めるように睨みつけてくる。

「クカカッ……手前のオーラにも圧されぬ強者がヴァルハラにまだ居たか。手前は魔将ウォルフガング。人間共に殺された同胞達の無念を晴らす為、まずは貴様達から喰らってやろう! オオオオオオオオンッ!」

「「「「「ッ!!」」」」」

凄まじい魔力が風を起こし、近くにいた魔族達が吹き飛ばされる。

おかしい。魔将には精鋭部隊が近くに控えているはずだ。

ヴォルフガングの魔力で吹き飛ぶような雑魚ではないはず。

まさかっ……!

「ほぅ。そこの男は気付いたようだな」

「!!」

「まずは名乗ろう。手前は魔将ヴォルフガング。報告は聞いているぞ、榊 玲央。まるでこちらの行動を先読みするかのような戦略を取るとな。ならば、こちらもすでに読まれている前提で指揮を取れば良い」

「まさかっ……精鋭達を!?」

「クカカ! そこまですぐに理解できるとは、流石だな。人間側に置いておくには、惜しい。だが……手前も同胞達の想いを背負っていてな。人間は全て皆殺しにせねばならん」

その言葉と同時に、黒い魔力が更に重なり、二重となる。

『ダブルオーラ』、魔将ヴォルフガングのユニークスキルだ。

ただでさえ基礎能力値の力と耐久力がずば抜けて高いヴォルフガングの力を、更に数十倍に引き上げる厄介な力。

あれを直撃すると、レベルが足りていない場合は一撃で死ぬ。

通常攻撃が即死並みの攻撃力なのだ。

「皆、気を付けて。ヴォルフガングの攻撃は必ず避けるんだ。特に烈火、受けようとしちゃいけないよ」

「へへ、分かったぜ玲央!」

「フ……玲央はよく分かっているな。烈火が一番危ういからな」

「そんな事ねぇよ!?」

「はいはい、アンタらはこんな時でも喧嘩しないの!」

「ふふ……強敵を前にしてもいつも通りに出来る、それは自然体で戦えるという事です美鈴さん」

「もぅ、紅葉はそうやって良いとこを見つけるんだから」

主人公チームは適度な緊張を持ちつつも、気圧されずにいる。

万全な体制だ。

けれど、本来であれば戦いの終盤で出てくるヴォルフガングと、こんなに早く戦う事になるのは想定外だ。

それにヴォルフガングと戦う前に前哨戦として戦う事になるヴォルフガングの精鋭、親衛隊が居ない。

ただ……そちらについては心配は要らないだろうと思っている。

確かに親衛隊は強いけれど、俺がヴァルハラで出会った仲間達は強い。

必ず勝ってくれるはずだ。

だから俺達は、目の前のヴォルフガングに集中すれば良い。