軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

71話.ワルキューレの選定戦①

side本郷 彰

「本郷隊長、配置はギリギリ間に合ったっすから」

「ああ。天羽先生の指示の速さは流石だな。それに、やっぱ玲央はただモンじゃねぇな」

「ふふ、宗次よりも軍師として上かもしれないわね?」

「うぐぅ……姉さん酷いっす。でも確かに、隙のない采配だったっす。同じ事をすぐにやれと言われたら、俺でも無理かもしれないっすね。脱帽っすよ」

宗次は一年の時からずっと軍師として力を貸してくれた頼れる仲間だ。

その宗次が手放しで褒めるってこたぁ、やっぱ玲央はすげぇ奴だって事だな。

「ま、頼りにしてるぜ宗次。玲央の采配は見事だが、ずっと全軍を見れるわけじゃねぇ。部隊単位の指揮は俺達がやらなきゃな」

「っす。魔族はヴァルハラに集中してるみたいっすけど、いつ市街地に抜けられるか分からないっすから、必然的に俺達はヴァルハラの端、市街地側を守る事になると思って、そう布陣しておいたっす」

「そうね、それが正しいわ。私達は要になる。けれど……斥候に見せて貰った写真を見るに、殲滅は難しそうね。数が多すぎるわ」

「なーに、心配はいらねえよ」

「「え?」」

「俺達の後輩はよ、強いぜ? それに、あの玲央が居る。必ず何か策を出してくる。俺達は、今回は縁の下の力持ちをやるとしようぜ」

「はは、先輩らしく男気を見せるとするっすかね」

「ま、後方でも十分暴れられそうだものね。宗次、私と彰は後方の中でも前に出て良いわよね?」

「勿論っす。むしろ積極的に敵を減らして欲しいっす。お二人を軸に、クラスの動きの指示を出してくっすよ」

「了……」

ドゴオオオオオンッ!!

「「「!!」」」

「「「「「オオオオオッ!!」」」」」

宗次に返事をする前に、五月蠅い声が聞こえてくる。

「どうやらおでましのようっすね」

「おし、行くか鈴華」

「ええ彰。背中は任せるからね」

「おうよ! 皆、俺に続けぇっ!!」

「「「「「本郷隊長に続けぇ!!」」」」」

「さぁ、行きましょうか!」

「「「「「鈴華隊長に続けぇ!!」」」」」

仲間の士気は高い。

魔族との戦いの為に、俺達は修練を重ねてきた。

守りは俺達に任せな!

side本郷 彰・了

side結月 陽葵

「うへぇ、なんだしあの数……」

「とてつもない数ですね……」

チルチルと一緒に窓の外を見る。

ヴァルハラの結界の外に、魔族達が物凄い数集まってる。

ヴァルハラの結界は今まで一度たりとも破られた事は無くて、安全だと皆安心している。

だけど、れおち―は違った。

『藤堂先生、ヴァルハラの結界は恐らく、破られます』

天羽センセ―の魔力通信により聞こえてきた言葉。

れおちーはあーし達とはどこか、違った視点で世界を見ている気がする。

その後の予測や人員配置の采配等、これ以上ないってくらいにベストな配置を指示してきた。

まるで、こんな事を何回も経験してきた猛者のように。

ヴァルハラに張られている結界は、通常の結界とは違い強固な結界だと聞いている。

その代わりあまり強くない魔族は通してしまうらしいけれど……その程度なら、あーし達学生でもなんとか対処出来ていた。

けれど外に集まっている魔族達は、普段あーし達が退治してきた魔族とは面構えが違う。

結界がある限り入る事の出来ない、一定以上の強さを持つ魔族達なのだろう。

それが、地面を覆い尽くす勢いで集まっている。

虫みたいで気持ち悪いし。

ドゴオオオオオンッ!!

「「!!」」

「「「「「オオオオオッ!!」」」」」

凄まじい怒号がここまで聞こえてくる。

どうやられおちーの言う通りの展開になったみたいだ。

「チルチル、指揮は任せて良い?」

「ええ。背中は私が守ります。陽葵は好きに暴れてください。兄さん達三年生も協力してくれるでしょうから」

「ん! よーし、皆! あーし達が居る限り、魔族になんて負けないし! ヴァルハラの生徒達の実力、魔族に見せつけるし!」

「「「「「オオーーーーッ!!」」」」」

三年生達は市街地に近い側を守ってくれる手筈になっている。

ならあーし達は、結界の破られた箇所のうちの一つを塞ぎに行くし!

もう片方は、れおちー達一年生に任せるし!

強さはもう疑う余地もないし、大丈夫っしょ!

「行くよチルチル!」

「ええ、行きましょう陽葵!」

あーし達は駆ける。

魔族に好き勝手になんてさせないし!

side結月 陽葵・了

彰先輩に陽葵先輩はしっかりとやってくれるだろう。

問題は俺達だ。

一年生はまだ修練が足りてない。

結界に入れない魔族達の強さに対抗できるかどうか未知数だ。

集まってくれた皆の前に、俺は一歩進む。

「皆、ヴァルハラの結界は破られて今、学園は危機に陥ってる。学園が落ちれば、市街地にまで魔族は雪崩込んで来る。そんな事をさせるわけにはいかない」

「「「「「……」」」」」

「三年生や二年生の先輩達も力を貸してくれる。だけど、それでも手が足りなくなる。俺達皆の力が必要だ。皆、力を貸して欲しい!」

「「「「「オオオオオォォッ!!」」」」」

魔族達とは違う、力強い声が響き渡る。

皆この状況でも諦めてなんかいない。

むしろ、自分の力を試してやると意気込んでいるようにも見える。

頼もしい限りだ。

「よし、これより一年生の指揮は俺こと、榊 玲央が取る! 皆指示に従って落ち着いて行動してほしい!」

「「「「「はいっ!!」」」」」

柄じゃない、そう思うけど。

今この場では、勢いが大事だ。

恥ずかしがってる場合じゃない。

皆の命を背負っているんだ。

さぁ、ゲームのイベント名、『ワルキューレの選定』戦、開始だっ!