軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

57話.E組の指導①

クラス対抗戦が終わって、初の月曜日。

今日もいつも通り午前は授業をして、午後は各自訓練……となるはずだった。

リーシャさんと共に下駄箱に扉を開けて入ったと同時に、一年生の皆に囲まれるまでは。

「「「「「お願いします! 俺(私)達にも指導してくださいっ!」」」」」

「えぇぇぇぇ……!?」

「やっぱりこうなったわね……」

「え? リーシャさんは予想出来てたの……?」

「そりゃぁ、ねぇ……」

リーシャさんの呆れ顔頂けました。

脳内のメモリにバッチリ保存、ではなくて。

どういう事なの?

「えっとね、玲央君。今回全勝の私達E組。そして、第二位のA組に、第三位のB組で、共通してる部分は何だと思う?」

「ええと……皆強くてカッコいい……?」

「うん、ありがとう。玲央君が本気でそう思っているのは分かってるから、突っ込まない。でもそうじゃない」

違った。いや違わないとは思うけど、今回の本題ではないと。

「どのチームも、玲央君の指導を受けているという事よ」

「!!」

「そして、どのチームメンバーも、今の自分の強さは玲央君のお陰と言ってるの。そんなの、誰だって教えを請いたくなるでしょう」

「!?」

なんと。いやでも、皆が強くなれたのは皆が努力を惜しまない人達だったからだ。

強さに貪欲で、誰よりも強くなりたいという想いが強くて。

俺はその背中を押してあげたに過ぎない。

と思っているのだけど……

「「「「「お願いしますっ!」」」」」

これは、言っても無駄だよなぁ。

流石にこの人数を、一人一人見ていくなんて俺には不可能なわけで。

そう考えて何も言わないでいると、救世主が現れた。

「お前ら大勢で何やってやがる?」

「「藤堂先生!」」

良かった、これでなんとか場を収められそうだ。

「あぁン? 榊に指導を受けたいだぁ? ガーハッハッハッ! 良い心がけだお前ら! 強くなるには、先を行ってる奴から学ぶのが一番だからな!」

あれ、雲行きが怪しい。

「よーし! なら予定を急遽変更してやる! 今日は全クラス合同、『榊チーム』との模擬戦大会をするぞっ! 他の教師の奴らには俺から話をしておいてやるから、全クラスに通達は任せたぞお前ら!」

「「「「「はいっ!!」」」」」

いや、はいじゃないんですけど。

クラス対抗戦が終わったと思ったら、ゲームには無かった展開になったんですけどぉ!?

「もう藤堂先生は……。仕方ないわね、アイン君と水無瀬君にも伝えないと玲央君」

「これ決定事項なの……」

「諦めなさい玲央君。藤堂先生は基本的に面白そうと思った事はやる性分よ」

ああ、うん……そうだね……。

でもまさか、こんなところにまで生かされるとは思ってなかったよ……。

授業内容を急遽変更するとか、普通する?

というか出来るの? まぁ学園長のアリス先生と親しい藤堂先生だもんなぁ……誰も逆らえないか。

「とりあえず、教室へ行こうかリーシャさん……」

「そうね。ま、気楽にやれば良いわ。いつも模擬戦をしているメンバーと違って、楽なのは間違いないから」

それはそうかもしれないけれど、人数が段違いである。

一年全員だよ……?

「榊君、凄い事になってるわね」

「見てたぜ榊! クラス対抗戦が終わったばっかだってのに、また凄い事になったな!」

「榊様、強者の定めとはいえ、心休まる暇もないですわね……!」

どうやら皆見ていたようで、すでに話題になっているようだった。

「なぁ、榊君達の負担を減らすように、俺達も参加しないか?」

「「「「「!!」」」」」

「流星君……!」

「普段俺達は榊君達のチームにボコボコにされているからね! ちょっと自信を回復させたいという想いもあったりする」

「「「「「……」」」」」

「流星君……」

せつない。

けど、皆斜め下を向いたので、想いは同じなのかもしれない。

「……そうだね、それが良いかもしれない。俺は皆の力なら把握してるから、どのチームと戦ってもらうとか指定くらいは出来ると思うよ。大丈夫、C組やD組、F組の代表チームになら、皆は勝るとも劣らないと思う」

流石に烈火や美樹也のチームと比べるのは可哀想である。

「おお、榊にそう言われたら自信がつくぜ! なぁ皆!」

「「「「「おぉぉぉぉぉっ!!」」」」」

なんという団結力。このクラスはノリが良すぎないかな?

というわけで、E組は全員が揃ってから第一闘技場から第三闘技場の中心地へと向かった。

すでに大勢の一年生が集まっていて、藤堂先生達も居た。

「おお、来たか『榊チーム』! 主役は遅れてやってくるってやつだな! ガハハハ!」

「藤堂先生、後でお話が」

「お、おう、リーシャ、後でな、後で」

リーシャさんに氷の視線を向けられて、流石の藤堂先生もタジタジである。

横に居る俺も油断するとちびりそうになるくらいの絶対零度だった、こわひ。

「藤堂先生、良いですか?」

「お、おう榊。言ってみろ」

「俺達『榊チーム』が皆と戦うのは構いません。けどそれじゃ時間が掛かりすぎます。なので、俺達E組が全員、皆と戦うのではいけませんか?」

「「「「「!?」」」」」

「ほう……?」

皆が驚き、藤堂先生はニヤッと笑い、続きを促す。

俺は淡々と事実を話すのみだ。

「E組は、俺達『榊チーム』と何度も何度も模擬戦をしてきました。クラス対抗戦にこそ出れていませんが、第二位のA組や第三位のB組には及ばないまでも、他クラスの代表になら負けない強さがあると俺は見ています」

「「「「「!!」」」」」

「ククッ……成程、お前がそう言い切るってこたぁ、そうなんだろう。その要求を呑もうじゃねぇか。なら、E組の奴らと戦って、勝てた奴らが『榊チーム』に挑むって形を取る事にするか!」

「はい、それでお願いします。当然ですけど、各戦いを俺達『榊チーム』皆で見て、助言もすると約束します」

「「「!?」」」

ははは、リーシャさんにアイン、剛毅。

君達が俺と同じ、いやそれ以上に慧眼なのはバレてますからね?

楽しようったって、そうはさせるかー!

「ガハハハハ! 分かった、それでいこう榊! おめぇらもそれで良いな!」

「「「「「はいっ!」」」」」

「しかし、この人数で戦うにゃあこの闘技場だと手狭だな」

「藤堂先生、なら学年対抗戦で使う特別闘技場を使おう」

「おお揚羽、それが良いか! よしお前ら、ちょっと場所移動すんぞ!」

「天羽センセ、特別闘技場ってなんスか?」

一年A組の担当教師、天羽 揚羽先生。亜人であり藤堂先生と張り合える物凄い先生なのだが、非常に大人しい性格をしている。

ただ、こと戦いになると性格が豹変してしまうのだけど。運転すると性格が変わる人っているけど、まさにそんな人である。

ゲームではこんな先生居なかったのだけど、全盛期ではないとはいえ、藤堂先生と渡り合える程の人がサブキャラクターとしてすらいないって、ゲーム制作陣達は何を考えているのか。

まぁ、アインや剛毅の件もあるので今更だけどね。

「ああ轟、お前達が今度の学年対抗戦で戦うフィールドだよ。そこは通常の闘技場ではなくて、一種のダンジョンのような広さがあるんだ」

「ダンジョンっスか!?」

「うむ、かなりの広さがある。クラス対抗戦のようにすぐ近くに相手がいるわけではないんだ」

あー、やっぱり学年対抗戦はそうだったか。

ゲームでもそうだったんだよね。

闘技場の即バトル! ではなく、移動して遭遇したらバトル、そこから撤退しても良い。

通常のきったはったじゃなくて、各学年の大将が持つ風船を割った方が勝ちという特殊ルール。

学年対抗戦は全メンバーを倒す必要はないのである。

将棋やチェスのように役職が割り当てられ、倒されれば相手に役職のポイントが入るので、制限時間内にお互いの風船が割れなければ、そのポイント差での勝負となる。

「ま、その手の説明を今日のホームルームでするつもりだったんだが……藤堂先生がな……」

「ああ……っスね……」

皆被害者である、悲しいね。

当の本人は凄く楽しそうなのが納得いかないけれど。