軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ついにこの時が来た

真白にアイテムボックスのことを打ち明け、そして姉にもいまの僕の状況のことを話した。

ただし、姉の遺体を探していることは伝えない。

真白にも、姉が異世界転生していることは堂城さんたちには伝えないようにと言ってある。

姉に対しては、言ったところで「そんなことはしなくていい」と言われるだけなのはわかっているからだ。

僕が姉の立場でも同じことを言う。

だけどもう知ってしまった後だし、これはもう僕の性質の問題なのでいまのところ止めるつもりはない。

たまに迷うことはあるだろうけどね。

そして堂城さんたちに喋らないことについては……堂城さんと清十郎さん二人の、姉に対する執着ぶりがすごいから、なにか言いたくない。

悪い予感がするというのが理由かな。

ただ、真白とだけ同じ秘密を共有しているという連帯感的なものが出来上がるよなっていう考えもあるにはある。

真白も「旦那様の秘密! 守ります!」みたいなノリになってくれたので、これでよかったのだと思う。

そんなわけで、あれから数日間は何事もなく時間が過ぎている。

次の土日には、またダウジングアイを使って探しに行ってみようと真白と話したぐらいだ。

GWに入ったら遠出してみてもいいかもしれない。

そんな予定を頭の中であれこれ考えながら、アイテムボックスに入ってくる魔石やアイテムを分類していく。

いま、姉はダンジョンを攻略中のようだ。

誰と?

一人である。

「ヴァレンナさんは仲間にしなかったの?」

と聞けば。

「彼女はもう別のところに移動したよ」

なんて当たり前に言う。

「冒険者の出会いは一期一会なのだよ」

などとカッコつけているが、姉が仲間にならなそうだから自然な流れで別の道を行くことになっただけではないだろうか?

なら、姉は《《戦力》》として、一人でダンジョンを攻略しているのかというとそんなことはない。

話を聞く限り姉は魔法使い系なので、接近戦なんかは苦手だろうから、それを補うための存在がある。

それが、ゴーレムや召喚魔法だ。

今回はゴーレムを使用している。

ゴーレムというのは、簡単に言えば魔法版ロボットだ。

素材は、土、石、屍肉、金属などいろいろが使われる。

いまは大量にあるファイアブルの骨を利用して作ったボーンゴーレムに身の守りを任せて、魔法を大砲の如く使用して敵を薙ぎ倒しているのだそうだ。

「それにしても、美人と名高い堂城さんと私にそんな接点があったとは」

堂城さんの思い出話を語ると、姉はびっくりしていた。

「覚えてる?」

「ああ、うん。微妙に? 覚えているような? そんな感じ」

かなりあやふやにはなっているようだ。

「ていうか、やっぱり変身スーツは役に立ってるんじゃな〜い?」

む、その話題に変えてきたか。

ああ、姉のニヤニヤ顔が頭に浮かぶ。

めっちゃドヤってる。

「……まぁね」

「ふふふ……そっかぁ、妖怪とバトルかぁ。熱いねぇ。しかもアキヤは蛇側なんだよね? 蛇デザインの変身スーツは当たりだったねぇ。パワーアップしとく?」

「パワーアップイベントが早過ぎない?」

「いくらだってできちゃうよ。いっそライダーからマンにジャンル変更だってできるよ」

「しないよ。ていうか、僕はバイク乗れないからライダーでもないし」

「自転車だね! チャリライダー!」

「ダサい。ダサすぎる」

「じゃあ乗り物を用意しようか。車輪がなければ免許はいらないよね!」

「馬は軽車両扱いだったはずだけど?」

「ええい、ヒーローが道交法なんて気にするな!」

「ヒーローだから気にしろよ」

そんなやりとりをしながらでも順調にダンジョンを攻略していくんだから、姉は本当に強いんだと思う。

「でも、とりあえず決めの必殺技はいるか」

「文字通りに必ず殺すのはやめて欲しいかな?」

「大丈夫、その時は証拠が残らない威力にするから」

「怖い怖い」

つまり証拠を採取できないほど粉微塵にするってことだよね?

怖すぎるよ。

そんなやりとりの後で、再びダンジョンで得た魔石なんかの物品を整理していると、いままでとは別のものが大量に入ってきた。

「うわっ」

ナマモノの山だ。

ダンジョンから出たようだけど、それでもそんなすぐに遭遇する?

しかも……。

ついに来た。

異世界転生。

魔物が食事可能。

その二つが合わさるとき、必ずと言っていいほど現れる存在。

それが、オークだ。

豚顔でお相撲さん体形の魔物が次から次に投入されて山となっていく。

「お待ちかねのオークだよ!」

「待ってなかったなぁ」

姉もノリノリだ。

「いやぁ、さっきのダンジョンは秘境みたいなところに生えてたんだけど、そこの帰りにオークの集落見つけちゃったからさ。ついにこの刻が来たかって思ったよね」

「ソウデスカ」

「というわけでレッツ解体♪」

「はぁ」

「まぁまぁ、けっこう本気で美味しいから」

姉にリンクした知識からオークの情報を参照する。

うん、だいたい知っている通りのオークだ。

そしてやはり可食だ。

美味しい……ね。

ファイアブルとか既に食べているんだからいいけどさ。

それに解体の数もけっこうこなしているんだけどさ。

それでも、人型となるとなんかこう……急にサイコパスな映画の犯人役にでもなった気分になる。

「肉、皮、牙、骨、内臓は心臓と肝と子宮と精巣を残してね」

「へいへい」

まぁ覚悟を決めるか。

というわけでザックザックと解体していった。

「いつもながら数が多いなぁ」

集落とか言っていたし、百体は余裕で超えてる。

「まぁ、お姉ちゃんが野外で戦闘する時は大繁殖してるとか、集落を見つけたとかぐらいだし」

「なんで?」

「個体でうろうろしているようなのがお姉ちゃんを襲ってくることはないよ?」

これまた当たり前のように言われた。

なんか、レベルの違いをわからせするようなスキルがあるらしい。

「とはいえ油断はしないけどね」

「それはそう」

油断大敵です。

とりあえず出来上がったオーク肉はトンカツにしてみた。

本気で美味かった。

生肉を真白にあげると尻尾をビタンビタンするぐらいに気に入っていた。