軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

霊力と秘密

「そういえば、霊力ってなにかできるの?」

真白に質問する。

ワイバーン肉を食べて霊力が高まるとか言っていたから気になったので聞いてみた。

僕が堂城さん……というか、タチキに関わって明らかに非現実的なことが起きたのは数えるほどしかない。

蛇から人になれる真白。

虹色美少年の殺意の高い結界。

堂城さんが怒ると空気が冷たくなる。

それぐらいだ。

というわけで目の前にいる真白自体が不思議存在ではあるのだけど、しかし僕としてはもっと不思議なことが起きてもらいたいというか、もっと見たいというか、現実感として不思議を受け入れきれていないような気がするのもたしか。

いや、命を狙われただろって話なんだけどね。

うちの姉が用意した異世界技術の方がまだね、はっきりと変だからね。

「ましろはまだ未熟なのでたいしたことはできないですけど」

ライダーなヒーローが活躍する画面から目を離し、真白が言う。

「近い将来では旦那様の変身後の戦いを補助できるようになるつもりです!」

「いや、戦いたいわけじゃないからね、僕は」

フンスとやる気を見せられても困る。

「ましろがいまできるのは、体が早く治るようになるのと、狙った相手を幸運にするようになるのと、逆に不幸になるようにというものです」

「ああ、モールでしてもらったね」

回復の呪とか言ってたっけ?

楽になったような気がするけど、悪いのを全部出したからなのかの判別が難しかった。

「幸運っていうのは?」

「旦那様が幸運になるように全力です」

「そっか、ありがとう」

じゃあ、不幸は?

「そちらはいまは使っていません。というか、さすがに両方を使いっぱなしにするほどはましろの霊力は多くありません」

「うんうん。まぁ、別に呪いたい相手とかがいるわけではないけどね」

「あの……ましろの幸運が足りませんか?」

と、真白が不安そうに聞いてくる。

まぁ、幸運を実感しているかというとそんなわけでもないんだけど。

でも。

「別に、幸運のお守りとして真白をもらったわけではないでしょ」

いきなり渡されたし、いきなりお嫁さんとか言われているし、実際のところ夫婦の実感があるわけでもないけれど……。

「ここに真白と暮らしているのは楽しいから、それでいいと思うんだけどね」

ぽんぽんと頭を撫でて、この話はおしまい。

いや、おしまいじゃないか。

「いや、本当に聞きたかったのは、霊力って結局なにするものなのってことなんだけどね」

「あ、それはですね」

真白が説明してくれた。

霊力というのは、この世界、地球を巡っているエネルギーだそうだ。

地球の生命力的な意味ではなく、宇宙規模のエネルギー運動の一環として地球を通り抜けているのだそうだ。

そのエネルギーの先に知性を得た存在もおり、それらを日本では神仏と呼んだりするのだそうだ。

断鬼の蛇神は霊力を取り込んで神に昇華した蛇であり、立ち位置としては土地神に類する。

霊力というのは大いなる運動の中で人や動物、植物を通過し、いくらかがとどまる。

その通過していく霊力の繋がりは、とどまった霊力とも関係しあって独自の通信網のようなものを構築し、影響を与え合ったりもする。

場合によってはその構築されたものが、運命だったり因果応報だったりのようなことを引き起こす。

その特性を利用して、幸運や不幸を操ることができるのだそうだ。

「繋がりの力、それが霊力です」

「じゃあ、妖力は?」

堂城さんの反応を見る限り、妖力も存在するみたいだし、そして嫌悪するってことはよくない力だったりするのかな?

「妖力は、霊力が生物を含めた物質の中で化学変化のようなものを起こしたエネルギー体です。場合によっては自我に目覚めたり、自らを改変する力を得たりもします。妖怪や付喪神というものが代表的ですよ」

「ふうん。それで断鬼の蛇は霊力を扱うから蛇神で、斜九字や悪角は?」

「妖力を使いますので妖怪ですね」

「それでも三すくみの法則は生きている、と」

「そこが難しいところです。ナメクジもカエルも昔は神でしたし、他の土地を探せば神として現在も存在している者たちもいると思います。でも、斜九字と悪角は妖怪です。妖怪に堕ちたのです」

堕ちた?

「三すくみの内二方が格落ちしているので本来、断鬼はそれほど斜九字と悪角を恐れる必要はありません。とはいえ、妖力も源は霊力なので完全に無視できるわけでもないので、前回のようなことも起きてしまいます」

「なるほどね」

だいたいわかった?

わかったと思う。

聞きたいことは他にもたくさんあるけれど、それらを全部一度に取り込んでも覚えられるとも思えない。

今日はこれくらいでいいだろう。

なにより、一つわかったことがある。

「真白って見た目より賢いよね」

「どういうことですか旦那様!」

「いや、言葉通りだよ?」

人型の真白を見て、大人だと思うわけないよね?

「ましろはもう五歳ですよ! 立派な大人です!」

「それ、蛇基準の話だよね?」

「そうですが?」

いや、調べたんだよね。

白蛇の基準がわからなかったから、とりあえずアオダイショウで調べたけど、だいたい二歳から三歳くらいで卵を産むようになる……サイズになる、なんだよね。

そう、サイズなんだよ。

つまり、蛇にとって重要なのは何歳かではなく、肉体の成熟度っていうことになる。

そういう意味では、真白って小さいよね。

むしろ、小さすぎない?

「むむむ……蛇神は違うんです!」

真白が怒った。

「わかったよ。ごめんごめん」

「許しません!」

「その代わり、僕の秘密も教えてあげよう」

「え?」

というわけで、僕と姉とアイテムボックスについて教えた。

真白の機嫌直しが理由っていうのは情けないけど、タイミングをどうやって見つけようかって思っていたからちょうどよかったよ。