軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

レッツビキニ

堂城さんがなにかを隠しているのは確定。

だけど、それがなにかはわからない。

教えてもらえない。

というか、明らかにあの日から僕を避けている。

隣の席なのに授業が終わったら教室から出ていくし、偶然に僕がそっちを見たらあからさまに顔を逸らす。

いつの間にか、クラスでは僕が堂城さんに告白して振られたことになっていた。

というか先日の裏庭にいた場面を、しかもなぜか二人きりになったところを見られていたらしい。

あの時に告白し、フラれたと。

「元気出せよ」

「席変わってやろうか?」

とかクラスの男子たちにニヤニヤしながら言われる日々だ。

そして僕は、同時にそれどころではない目にもあっていたので、精神的にクタクタだった。

もちろん原因は姉である。

「アキヤ、鍛冶屋になって!」

出来立てのファイアブルのステーキ重を食べていると、姉がそんなことを言った。

「鍛冶屋?」

姉は様々なクラフト能力を持っているけれど、鍛冶屋的な金属製の武器や鎧を作るような能力は持っていなかった。

姉は魔法使いだし、メイン装備となっている杖とローブは木工と縫製、皮革加工の能力? スキル? があれば問題なかったんだと思う。

それなのに、どうしていきなり鍛冶屋?

「なんで?」

「それは……ええと……」

なんでモジモジしてる?

「ええい、どうせバレるんだから言っちゃうけど」

「うん」

「……ヴァレンナに鎧をプレゼントしたくて」

ヴァレンナとは、この前姉と友達になった女戦士の人だ。

僕は直接見れないのだけど、話に聞く限りビキニアーマーを着ているのだとか。

「え? つまりそれは、僕にビキニアーマーを作れと?」

「ただのビキニアーマーじゃないわよ。最高のビキニアーマーよ‼︎」

ヴァレンナがビキニアーマーを着るのは、仕えている美の女神に自身の美しさを捧げているからだとか。

だからビキニアーマーだからじゃなくて、ちゃんと美しいビキニアーマーじゃないといけない。

「僕って、ヴァレンナさんを見れないのに、どうやって似合うデザインを考えろと?」

いや、それ以前に僕に絵心とかデザインとかのセンスがあるのかって話なんだけどね。

ないんだけどね。

「デザインのことは後で考えればいいから! とにかく鍛冶屋のジョブスキルを身につけるのよ!」

あ、やっぱりスキルなのか。

下着とかに付いていたのもスキルだったし、そうだろうね。

上にジョブってついてるってことは、他とはちょっと違うのかな?

忍者もそうだったし。

そんな感じで……というかそれからすぐに僕の鍛冶屋修行が始まった。

「アイテムボックス内は時間が止まっているから、アキヤはこれから私が持ってくる素材でとにかく色々作りまくって鍛冶屋のジョブスキルを生えさせなさい。そしてそのままスキルを鍛えまくる!」

なんて、某精神と時の部屋をさらにひどくしたようなことを言い出した。

たしかに、クラフト区画には炉もあるし、鍛治の真似事はすぐにできるだろうけど。

「素材って鉄ってことだよね? そんなにたくさん買えるの?」

ていうか、そんなお金あるの?

「バカね、アキヤ。こっちはファンタジー世界よ」

なんてことを姉が言う。

「お金がないならダンジョンで拾ってくればいいのよ!」

「ていうかそもそも、僕にスキルが生えるの?」

「生える! この姉を信じなさい!」

それから姉は、金属がドロップするダンジョンに向かい、そこで魔物を狩りまくったようだ。

ようだというのは僕にはその戦闘シーンを見ることができないからなんだけど……次々と魔石や鉄や銅がアイテムボックスに放り込まれるようになったのは、事実だ。

それからは炉に鉄や銅を突っ込んで、金槌でひたすらに叩く時間が始まった。

いや、時間は止まっているんだから始まっているのかどうかすらわからないけど。

とにかく叩いた。叩きまくった。

鉱石を溶かしてインゴットにするのは、炉に突っ込むだけで完了だった。

なら、他のこともそれぐらい簡単だったらいいのにと思うのだけど、そんなことはない。

とにかく大変だった。

最初は溶かした鉄を平らに叩くだけで精一杯だった。

だけどその内、望んだ形にできるようになって……ナイフが出来上がった。

それからも叩いて、叩いて、叩きまくって、剣ができた。

形が整うようになったけれど、鉄の密度が一定していないし、切れ味はいまいちだし、なにより耐久性がまったくなかった。

そこから質を向上させる時間……いや、叩きが始まった。

まぁとにかく叩いた。

鎧を作るのが目的なのに、なんで剣を叩いているんだという疑問もあると思う。

鎧はパーツ作りからそのパーツを組み合わせることなど手順が武器よりも複雑だ。

なのでまずは武器で鍛冶屋として基礎とか金属のこととかを知るということを始めた。

なんとか満足いく剣が出来上がった時、僕のステータスに鍛冶屋のジョブが生えたのを感じた。

ていうか、僕にもステータスとかあったのか。

とか思ったけど、実はまだ終わりじゃない。

むしろやっとスタート地点に着いたのだ。

ここからさらに鍛冶屋のスキルレベルを上げて、鎧作りも覚えて、ヴァレンナに最高のビキニアーマーを作らないといけない。

ゴールはまだ全然先で、そしてドロップアイテムの鉱石は次々と送り込まれてくる。

とにかくひたすらに叩きまくり、「もう今日はおしまい。安全地帯で一眠りするねぇ」と言った時には、千本近い剣が出来上がっていた。

最後の方にはスキルが付くようになっていたから、かなりスキルレベルが上がったと思う。

「姉ちゃん、俺のスキルレベル、どれくらいになった?」

自分で確認する手段がわからないから、姉に聞いてみる。

「う〜ん? おっ、5まで上がってる! さすがアキヤ! やる〜」

「おお!」

と喜んでみたけど、上限というか目標レベルがどれくらいなのかわからない。

そして、こういうレベルは後半になるほど要求経験値が上がるのもお約束だ。

「とりあえず、8は目指そう」

姉はそう言うと眠った。

僕もアイテムボックスを出る。

体はまったく疲れていないのだけど、心は本当に疲れた。