軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

大主教の息子から破滅フラグの警告を受けました。

「……パフォーマンスが百パーセントまで回復。マスターの指示が出るまで、待機モードに移行します」

両腕両足ともに元どおりになり、ライラは各部位の感触を確認したと思ったら急に動かなくなった。

自分で『待機モード』って言ってたし、つまりそういうことだろう。

「おい」

「っ!?」

「ちゃんと命令プログラムは解除してあるんだろうな」

「ふご! ふご!」

どうやら、ちゃんと命令に従ったみたいだね。

まあ、ライラに確認したら済む話だし、嘘だったら即座に心臓を貫かれるんだから。この期に及んで僕達を騙したりはしないだろう。

「ご安心ください、マスター。このゴミの命令は、既に消去されております」

「そっか。ならよかったよ」

淡々と答えるライラに、僕は頷く。

何より、ちゃんとゴミをゴミと言えるようになったことこそが、このゴミの呪縛から解き放たれたっていう証拠だから。というか、ゴミばっかりでややこしい。

「そういえば気になっていたんだけど、どうして僕達が到着した時に、このゴミを攻撃したんだ?」

「再起動前に私が受けていた命令は、『この部屋に入った者を排除すること』。当然ながら、その命令を下したゴミも対象になります」

「そ、そう……」

……ライラに指示を出す時は、自分の首を絞めないように気をつけないと。

「ご安心ください、マスター。既に私の中には、『マスターを絶対に傷つけない』という命令が施されております。こればかりは、どのような手段を用いても消去できません」

「そ、そう……」

なんだろう。サンドラに似たヤンデレみを感じるんだけど。気のせいだと思いたい。

「よい心がけです。これからも、ハル様の指示に従うのですよ?」

「私が従うのはマスターのみ。あなたの命令は破棄されました」

「……どうやら、またガラクタに戻りたいようですね」

「ストップストップ!」

サンドラが『バルムンク』を構え、ライラが【ブラストカノン】の体勢に入ったのを見て、僕は慌てて割って入る。

どうしよう。二人が上手くやっていく未来が見えない。

しかもこの二人が喧嘩したら、きっと辺り一帯が荒野と化すよね? ここならともかく、王宮でそんな真似をされたらシャレにならないよ……って。

「? これは?」

足元に転がる、ダイヤル式の道具のようなものが目に入った。

なぜか僕は争っている二人をそっちのけで、その道具を拾い上げてみると……うん、よく分からん。

よく分からんにも関わらず、妙に気になったのでそれをポケットの中にしまう。後でマクラーレンを脅して確認しよう。

それより今は、この二人を止めるのが先だ。

「ラ、ライラ。彼女は……サンドラは、僕の妻なんだ。だから、僕と同じように彼女の指示に従ってくれると嬉しいんだけど……」

「そうです。私はハル様の、 たった(・・・) 一人の(・・・) 妻です」

ここぞとばかりに、サンドラが僕にとっての 特別(・・) だと小さな胸を張ってアピールする。何それ、メッチャ可愛い。

「そうですか。私はマスターだけの 道具(・・) ですが」

サンドラに張り合うように、ライラも同じく小……いや、モニカに匹敵するほどの大きな胸を張る。

ええー……もう訳が分からないんだけど。

「ハ、ハルの相棒は ボクだけ(・・・・) なんだからね!」

うんうん、もちろん僕の相棒はキャスだけだよ。

僕の肩の上で飛び跳ねて張り合うキャスの姿、二人の殺伐したのと違ってすごく癒される。

「皆様、精々頑張ってください。誰よりもハロルド殿下のお 傍(そば) でお世話をするのは、このモニカなのですから」

「「「っ!」」」

あーあ……絶対にモニカも絡んでくると思ってたよ。

こんなくだらない争いに、彼女が乗ってこないはずがないし……って。

「わ、私だってハルの特別な親友ですわ!」

「うふふ、ハル様を癒やすことができるのは、この私だけですから」

「むむ! ハル殿の手合わせの相手が務まるのは、私だけなので!」

「ハルさん! お肉が食べたいです!」

僕達の様子を見ていた他のみんなまで、どうして争いに加わろうとしているのかなあ。

約一名、欲望に忠実な女子がいるけど。

「……ハル。お前、そのうち刺されると思うわ」

「兄貴、羨ましいぜ……っ」

肩にポン、と手を置いてかぶりを振るロイドに、羨望の眼差しで見つめるオーウェン。

突如としてカオスとなったこの状況に、僕は遠い目で天井を見上げた。