軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

感動の再会……どころか、ガールズサイドの主人公とエンカウントしました。

「わっ!?」

「サンドラ! お久しぶりですわ!」

僕を押し退けてサンドラの手を取ったのは、チョココロネのようなドリルヘアーが特徴の、カペティエン王国第一王女。

リゼット=ジョセフィーヌ=ド=カペティエン…… 親友(・・) のリゼだった。

というか、僕だって親友なんだから、ちょっとこの扱いは酷いんじゃないかな。

「リゼ、お逢いできて嬉しいです。これから三年間、どうぞよろしくお願いします」

「え、ええ! もちろんですわ!」

旧交を温め、笑顔で微笑み合う二人。

僕は完全に蚊帳の外ですが何か?

「と、ところで、リゼはいつこの国に? あらかじめ連絡いただけたなら、こちらとしても相応の準備を……」

「あら、そんなもの不要よ。私、そういう面倒なものは大嫌いなの」

リゼはどこからともなく羽扇を取り出し、口元を隠してクスリ、と笑う。

いやいや、リゼの留学はデハウバルズとカペティエンの親善目的でもあるんだし、それに、もし途中で何かあったら、それこそ外交問題なんだけど。

「そういえば、あれからカペティエン王国はいかがですか?」

「フフ、もちろん平和ですわよ。国民も、みんなエリーヌを支持しているわ」

リゼの話によると、ジャンによるクーデター以降、加担した貴族達の粛正によって多少の混乱はあったものの、今は落ち着きを取り戻しているらしい。

それどころか、身内の不正を 糺(ただ) したとして、反乱鎮圧の陣頭指揮を 執(と) った(ことになっている)エリーヌは、絶大な人気を誇っているとか。

「そういうわけで、晴れて私は自由の身となって、あなた達との約束どおり、ここに単身で乗り込んだというわけよ」

「これからは本当に、そういうことは絶対にやめてくださいね!?」

念のため釘を刺すけど、きっと駄目だろうなあ……。

「それより、早く行きますわよ! ……って、どこに行けばいいのかしら?」

「あ、あははー……」

何というか、これから三年間が思いやられるけど、もう諦めることにするよ。

僕もサンドラも、リゼを見て苦笑する。

その時。

「うふふ……お久しぶりです。ハロルド殿下、アレクサンドラ様」

微笑みを 湛(たた) えて現れたのは、バルティアン聖王国の聖女、クリスティア=サレルノだった。

その後ろには、もちろん聖騎士のカルラ=デルミニオが控えている。

ただ。

「ええとー……その、お久しぶりです。それで、お二人が王国入りしたという話を、僕は伺っていないのですが……」

「聖王国を通じてオルソン大臣にお願いし、王立学院には身分を隠して入学させていただくことになりました」

「そ、そうですか……」

どんな意図があるのかは分からないけど、クリスティアのことだから絶対にろくなことを考えていないと思う。

それに、どうせウィルフレッドの奴が目ざとく見つけて、すぐに正体がバレる未来しか見えないんだけど……って。

「ハロルド殿下、本当に申し訳ありません……」

「い、いえいえ、お気になさらず……」

肩を落として謝罪するカルラを見て、僕は居たたまれなくなってしまう。

彼女もクリスティアに振り回されて。苦労してそうだなあ……。

「それよりカルラ殿。僕は、あれから強くなりましたよ」

「あ……ふふ、私もです。なら、これから三年間、思う存分剣と盾を交えることができそうですね」

僕とカルラは握手を交わし、微笑み合う。

これからは、カーディスのせいでうやむやにされてしまった あの日(・・・) の試合の続きを、何度でもするとしよう。

「むう……ハル、その二人は誰ですの?」

おっと、リゼが 拗(す) ねてしまったぞ。

「こちらはバルティアン聖王国の聖女であらせられる、クリスティア様。そしてこちらが、聖女様の護衛を務めておられますカルラ殿です」

「うふふ、よろしくお願いします」

「よろしくお願いします」

クリスティアが右手を胸に手を当ててカーテシーをし、カルラが騎士の敬礼を取る。

「それで、こちらのドリルヘアーが、カペティエン王国の第一王女のリゼット殿下です」

「ちょっと!? 『ドリル』って一体どういう意味ですの!?」

そうだった。この世界にドリルは存在しないね。

だけど、チョココロネだって『エンハザ』では登場しないから、どうやって説明したものか。というか、説明した瞬間にリゼがメッチャキレそう。

「まあまあ、それより早く行かないと入学式に遅れてしまいますよ」

「ちょ、ちょっと! ちゃんと私に説明なさい!」

怒り心頭のリゼはとりあえずスルーしつつ、僕達は入学式の会場となる講堂へと向か……っ!?

――ドン。

「キャッ!?」

「わっ!?」

勢いよくぶつかってしまい、相手の女生徒が地面に倒れてしまった。

「いたた……」

「だ、大丈夫です……か……っ!?」

慌てて右手を差し出そうとした僕だったけど、身体を起こした彼女を見て、思わず身体を硬直させた。

だって。

「い、いえ! 大丈夫です!」

彼女は『エンゲージ・ハザード~girls side~』の女性主人公、“リリアナ=アボット”だったのだから。