軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

93話

全力で飛ぶゼロは群がる雑魚モンスターを振り切り、あっという間に朝出た山小屋を通り過ぎて目的地に到着した。

眼下にはヨーロッパ風の街並を再現したテーマパークが見える。異変当時は観光客で賑わっていたのだろう観光名所は、当時の混乱の面影が残っておりバッグや倒れた椅子、割れたガラスやモンスターの犠牲者血の跡が散見できた。

そんなテーマパークを、今ではモンスターが我が物顔で歩いている。ゴブリンにオークのような比較的弱いモンスターに、レッドキャップなんかの強めのモンスター、まだ倒していない妖精のようなモンスターもいる。

さっそく初見の妖精を狩ることにし、着陸地点にいるモンスターを遠距離攻撃で掃除して地上に降り、妖精たちを見かけた場所までシュナイダーと移動する。ゼロは大きいので一旦謎空間でお留守番だ。

テーマパークに侵入すると、妖精たちは小さな人間に虫のような羽を生やしており、街中を飛び回ったり座って休んでいたりする。サイズは人間の手のひらほどで的が非常に小さい。手始めに花壇に腰掛けている妖精へ、追尾をかけたハーピーの風切り羽根を強化投射で撃ち出してみると、あっけなく一撃で消えていった。

こちらの存在に気づいた妖精や、レッドキャップたちが一斉に襲いかかってきた。いきなりの乱戦だ。妖精たちは追尾してくる光弾を放ち、斧で斬りかかってくるレッドキャップを援護している。

レッドキャップを斬り捨て、妖精たちにはこちらも追尾をかけた火球の連発で対処する。追尾してくる光弾をかわしきれず受けてしまうが、妖精たちの光弾はこちらの岩石鎧を貫けないようで、軽く衝撃を感じただけだった。

「シュナイダー、光弾は怖くないぞ。妖精は後回しだ」

レベル的にこちらの方が上なのだろう。妖精の攻撃は怖くないことがわかったので、他のモンスターを集中して倒し、片付いた後で妖精を一掃した。

「ふぅ、お疲れシュナイダー。ドロップ回収したら移動しようか。……あれ?」

辺りに散らばるドロップ品を回収していて気がつく。レッドキャップのドロップばかりだ。あれだけいた妖精のドロップが一つも無い。

そんなにドロップ率が低いのだろうか? それとも条件ドロップか何かと思い、モンスター図鑑を確認すると妖精が登録されていなかった。

「え、どういうことだ? 生命感知に反応してたし、モンスターだよな」

考え込んでいるとシュナイダーが歩み寄ってきて、どうしたのと尋ねてくる。事情を話すとシュナイダーも首をひねって悩み始めた。

何か特殊な倒し方があるのか? 答えの出ないまましばらく考えていると、再び妖精とレッドキャップが湧きはじめる。リポップまでの間隔が短いな。

先ほどと同じようにレッドキャップを倒して、妖精たちは色々な攻撃手段で倒してみるも、またもや図鑑には登録されなかった。

「うーん、わからん。モヤモヤする」

まるで化かされているようだ。だとしたら周りにその原因のモンスターがいると思うのだが、生命感知に反応はない……

「生命感知……そうか、なんとなくわかったぞ」

おそらく、生命感知自体が欺かれていたのだ。幻覚か隠蔽か隠密か、そういう類のスキルを扱うモンスターがいてもなんらおかしくない。そうなると問題は目視で発見するしかないわけだが、それなら良い考えがある。ゼロとシュナイダーがどうするんだと尋ねてくる。

「こうするのさ」

辺りに視線を巡らせ、周辺の物を手当たり次第に収納していく。数秒後には収納できない物を残して、辺りは更地になった。

さて、収納されなかったのはそこにある花壇か。近づいていき植えられている花を調べていく。これは普通の花、これも普通の花。

お、この花は一輪しか咲いていないな。そう思い手を伸ばすと、花の周りに大量の妖精が湧いてきた。

「見つけた!」

素早く右手に持っていた黒龍剣で妖精ごと花を斬り裂く。すると花と妖精が消えていき、後にはドロップが残った。図鑑を取り出して確認する。

100番 幻想花 アイテム1 幻想花の花粉 アイテム2 スクロール(隠密)

<モンスター図鑑の新たな機能が追加されました>

どうやらこの幻想花の花粉が妖精を見た原因のようだ。生命感知に反応しなかったのは隠密のせいかな。タネが分かればそれほど怖くないモンスターだったが、より強力な幻や搦め手を使うモンスターがいたら怖いな。耐性スキルがあれば欲しいところだ。

湧いてくるレッドキャップを処理しつつ、幻想花も湧き待ちして狩りドロップを集めておく。追加されたモンスター図鑑の機能も気になるが、大変なのはこれからだ。

「これって、ここで良いのかな?」

もう一個隣じゃない? とシュナイダーが指摘してくる。たしかにスペースがちょっと合わない。シュナイダーの言う通り隣に建物を出す。じゃあこっちはこれか。

上空から全体を見てくれているゼロが、あと少しだと伝えてくれる。何をしているかと言うと、後先考えず収納してしまった物を元に戻している最中だった。

もちろん一日で終わるはずもなく、悩みながら作業を開始して今日で三日目になる。それもそろそろ終わりが見えてきた。

「はぁー、ようやく終わった」

作業の邪魔をしてくるモンスターと、配置に悩んだせいで非常に捗らなかった。ところどころ配置を間違っている可能性もある。

勢いであんなことをしてしまったが、今後は気をつけよう。これで心置きなくモンスター図鑑の新たな機能が確認できる。