軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

21話

翌朝目が覚めると身支度を整え、朝食を済ませる。食後のコーヒーを飲みながら、今日の予定を考える。

(まずは透明化の効果の確認だな。これは追憶のダンジョンで試すか。あとはこの街に、アサシンリザード以外のモンスターがいるかどうかの確認をするか)

モンスター図鑑を開き、追憶の広間へと移動する。ねこさんが声をかけてくる。

「おや、お久しぶりですにゃ。人間さん。追憶の広間へようこそですにゃ」

ペコリとおじぎをするねこさんに、会釈して答える。

「こんにちは。お久しぶりです。今日は追憶のダンジョンに行きたいんですが」

「わかりましたにゃ。追憶のダンジョンは現在第1階層まで開放されていますにゃ。どうぞ、こちらへ」

そうねこさんが言い、右手を追憶のダンジョンへと繋がる扉へ示す。両開きの扉が、大きな音を立てて開いていく。

「ありがとうございます。行ってきます」

「ご武運を、ですにゃ」

ねこさんに見送られ、追憶のダンジョンへと足を踏み入れる。ダンジョンの中は、光源も無いのに昼間のように明るい。不思議だ。早速自分に透明化をかけてみる。

(うわ、なんだこれ。変な気分)

透明化をかけた自分の身体を見ると、色が薄くなっているというか、半透明になっているというか、不思議な感じだ。本当に透明化しているのかと、鏡を収納から取り出して見てみるが、なにも映らない。どうやら大丈夫そうだ。

モンスターを探して歩く。入り口から真っ直ぐに進むと、T字路につきあたった。こっそりと通路から顔をだして、左右を確認すると右の通路にゴブリンが2匹いた。ゴブリンならもし見つかっても容易に倒せる。なるべく音をたてないように歩き、ゴブリンの視界に入る位置に移動する。

(おぉ、本当に見えてないっぽいぞ)

試しに壁を叩いて音をたててみる。ゴブリンたちは音に反応して近寄ってくるが、何も居ないことで訝しがる。キョロキョロしたり、壁を叩いてみたりしていたが、しばらくすると興味を失って離れていった。

(こちらがたてる音には反応するか……じゃあ匂いはどうなんだ? 試してみるか)

近づいても反応しないところを見ると、匂いは大丈夫そうだが実験してみる。来た道を戻って、トイレの芳香剤を取り出して置いてみる。ダンジョン内にフローラルな香りが漂うが、ゴブリンたちが来る様子はない。匂いが届いてないかと思い、ゴブリンのところまで行くと、微かに匂いは届いている。

(ゴブリンは大丈夫そうだな)

再び来た道を戻り、芳香剤を収納する。今度はリビングソードを召喚し、透明化がかけられるか試してみる。すると、リビングソードも半透明になる。またまたゴブリンのところへ戻ってみるが、どうやらリビングソードも見えていないようだ。リビングソードにゴブリンを攻撃しろと命じると、自分とリビングソードの透明化が解ける。

(なるほど、やっぱり攻撃すると透明化は解けてしまうのか。それに、自分は直接攻撃していないのに解けてしまった)

召喚体と判定がリンクしているようだ。色々と分かったので、検証に協力してくれたゴブリンを倒す。その後はマップを作成しながら第1階層を探索することにした。

遭遇するモンスターは、透明化したこちらに気づくことなく、ある一定の範囲をウロウロしているためマッピングに集中できる。マッピングするRPGはプレイしたことはあるが、まさか手書きをしながら、実際にダンジョンを歩くことになるとは思わなかった。途中宝箱も見つけたが、中身はこれまでに手に入れたことがある物ばかりで少しガッカリした。マッピングを終えて、大きな扉の前にたつ。第1階層で行っていないのはこの扉の先だけになった。

「普通に考えたら、ボス戦だよな」

考える。恐らく中にいるのはクイーンワスプとそのお供たちだろう。多分余裕で倒せるが、追憶のダンジョンは戦闘中脱出ができない。何も得られないかわりに死なないという追憶の闘技場と違い、ダンジョンは外と変わらず、ドロップや成長もある代わりに普通に死ぬと最初にねこさんから説明を受けた。万が一を考えると、保険が欲しかった。

「今回はこれで戻るか。当初の目的の透明化の検証も済んだことだし」

頭の中で脱出したいと考えると、足元に魔法陣が出現し、一瞬で追憶の広間に戻ってきていた。便利だなこれ。

「お帰りなさいですにゃ」

「ただいまです」

「次はどうされますかにゃ?」

「うーん、そうですね。騎士と戦って特訓しても良いんですが……新しいモンスターを探したいので戻ることにします」

「そうですか……残念ですにゃ」

悲しそうな顔をするねこさん。

「残念? どうしてですか? 」

「ここ最近、すごく暇だったんですにゃ。人間さんが全然来ないので……」

「あー、確かに。ここは自分しか来ないんでしたね。そうか……暇かぁ」

言われてみれば前回来た時から大分時間が経っている。ねこさんが普段どうやって過ごしているかは知らないが、1人というのも退屈だろう。そう思い、収納からある物を取り出してねこさんに渡す。

「これは、なんですかにゃ?」

「おススメのゲームです。やりごたえがありますよ」

自分の携帯ゲーム機のサブと充電器、おススメのソフトを何本か渡す。簡単に使い方を教えて、気がつく。

「あっ、充電ができないか」

これではすぐにプレイできなくなってしまう。

「電気は大丈夫ですにゃ。ありがたく使わせてもらいますにゃ」

「え、大丈夫なんですか? 電気来てるんですか? ここ」

「秘密ですにゃ」

「えぇ……」

まぁいいかとねこさんに別れを告げ、外に戻ることにする。ねこさんは、またですにゃーと言って見送ってくれると、さっそくゲームを始めていた。