作品タイトル不明
150話
追憶の広間を後にして死の谷の攻略に戻る。とはいえ手に入れたスキルは病毒「耐性」だ。字面からいっても完全にあの毒煙を無効にできるとも思えない。
生命感知を頼りにポイズンラット以外のモンスターを捜し、煙の外から狙うことにした。
マップスキルに移るモンスターの反応を頼りに、上空から魔法や弓矢を撃ってまわる。弓矢だと追尾スキルが乗るのでラクチンだな。さっきも弓矢でやれば良かった。
岩石槍や爆炎陣には追尾が乗らないんだよな。多分投射する魔法には乗るけど、敵の足元で発動したり範囲魔法には乗らないのだろう。
しばらく一方的にモンスターを倒してまわり、ドロップも回収していく。ゼロとシュナイダーには追憶のダンジョンで回収したら? と咎められたが、病毒耐性スキルの効果も確かめてみたかったのでちょっと試してみたのだ。
結果として強化防風で毒煙を和らげつつ、病毒耐性スキルがあるとほぼ影響はなかった。
次に強化防風無しで毒煙に突っ込んでみると、これも平気だった。数分待ってみても身体はなんともない。
「以外に凄いスキルなのか? 病毒耐性」
ただゼロは耐性スキルを覚えていないし、シュナイダーは強化防風ありでも匂いがキツイらしいので引き続き空からモンスターを狩ることにした。煙に突入するのはドロップを回収する時くらいだ。数時間の狩りの結果は次の通りだ。
121番 アシッドワーム アイテム1 強酸の胃袋 アイテム2 ワームの皮
122番 ウンブラ アイテム1 鋭い口吻 アイテム2 黒い甲殻
123番 爛れる者 アイテム1 スクロール(怪力) アイテム2 力の結晶(中)
124番 ゾンビハウンド アイテム1 敏捷の結晶(中) アイテム2 スクロール(痛覚耐性)
なんと四体も新規モンスターが登録できた。上空から攻撃して倒したので直接姿は確認できなかったため、モンスター図鑑に登録された画像で確かめる。
アシッドワームは緑色の身体に黄色の斑点があるミミズのようなモンスターで、口先がプレ○ターのように開いている。ここから強酸でも飛ばしてくるのかもしれない。
ウンブラは名前からはどんなモンスターか想像がつかなかったが、全身が黒い甲殻で覆われた二足歩行の虫のような姿をしていた。
口にあたる部分には蝶々のような口吻があり、ドロップアイテムの鋭い口吻から察するに、これで獲物から何か吸ったりするのだろう。
爛れる者は全身爛れた人間のような姿で、ゾンビハウンドはドーベルマンに似たフォルムのモンスターだ。
なんだか死の谷に湧くモンスターは全体的に見た目がグロい。どれもホラーゲームに出てきそうなクリーチャーといった感じがする。
「見ないで倒せて良かったかも……でも追憶のダンジョンじゃご対面するわけか……」
そして残り一体、まだ未登録の反応が死の谷に存在していた。ここら辺にこの一体しか反応がないのでレアモンスターかもしくはボスクラスのモンスターだろう。
先ほどからチマチマと攻撃しているのだが、なかなか倒れる気配がない。
「やたらタフだな」
ゴーレム系のモンスターだったりするのか? それだったら弓矢や岩石槍では中々ダメージが入らない。仕方ないのでちょっと姿を拝みにいくことにした。
ゼロとシュナイダーには上空で待つように伝え、飛翔を使い煙に突っ込む。わかってはいたが毒煙のせいで視界が最悪だ。強化防風で自分の周りの煙を散らしても、はっきりと見えるのは二メートル先くらいまでだ。
突如、こちら目掛けて何かの塊が飛んでくる。どうやらモンスターの攻撃範囲に入ったようだ。
しかしこちらもそれなりに場数を踏んでいるし、レベルもそれなりにある。
謎の塊をかわしながらモンスターへ近づいていく。モンスターに近づくにつれ、強化防風越しでも遮れないほどの異臭が漂ってきた。
死の谷に立ち込める火山性のガスとも、毒煙とも違う何かが腐ったような臭いがする。
ドチャっとした音と共に、モンスターが飛ばしてきたであろう物がこちらのすぐ横に着弾した。
それはピンク色で所々赤黒く、白い骨のようなものが飛び出している肉塊だった。
(うわぁ……グロい。今夜は肉食べるのやめとこう)
黒龍剣で肉塊をツンツンしてみると何か変な汁が出てくる。これは後で剣を洗わなきゃだな。気分的にこの汁は収納したくない。
遊んでないでモンスターの方に行こう。あんな物を飛ばしてくるなんて、どう考えてもヤバイのがいそうだけど。正気度はもつかな?