作品タイトル不明
125話
「なんだ、あれ。見たことない奴だ」
「ヒデも見たことないのか? 見た感じは弱そうだけど」
確かにカツ君の言う通り、白くて丸いモンスターは弱そうだ。動きはノロノロしていて地面をゆっくりと這っている。
試しに鑑定眼で見てみても、相手にならないとかえってきた。こうしてカツ君と話している間も、こちらに向かってゆっくりと這ってきているが、いつになったらこちらにたどり着くのかわからないほどの遅さだ。
とりあえず倒してみるか。火球を放つと、白玉モンスターは炎に包まれ、苦しげにうごめくとあっさり消えていった。
114番 モチ アイテム1 丸餅 アイテム2 おみくじ
モチ……雪玉じゃなくて餅だったのか。それにドロップにおみくじがある。もしかして、お正月限定ポップとかか? だとしたら今日は初詣に来て良かった。
「カツ君。これモチだよ」
「モチ? なんだそれ、名前か?」
「そう、モチって名前のモンスター。お餅とおみくじを落としたよ」
収納で回収した丸餅とおみくじを取り出してカツ君に見せる。カツ君は丸餅を手にとって回しながら見る。
「餅だな」
餅なのだ。カツ君は餅をこちらの手の上に戻すと、自分と同じようにモチに向かって火球を放つ。あっけなくやられ、モチは丸餅とおみくじをドロップして消えていった。
お、カツ君が倒しても一発でアイテムを落とした。ドロップ率はそれほど低くないのかな。
お正月だし丁度いいということで、それから手分けしてモチを狩る。シュナイダーも薄っすらと積もった雪の上を駆け回ってモチを倒していた。
シュナイダーがモチを倒すと丸餅とおみくじが落ちる。やっぱりドロップ率は高そうだ。しかしその後は誰がいくらモチを倒しても、丸餅は落とせどおみくじは最初の一つ以外落ちることがない。
もしかして一人限定一つとか? 実はレアアイテムなのかも。
「うーん、結構集まったけど避難所の皆の分にはまだ足りないね」
「だなぁ。他にも湧いてる場所ないかね? 応援呼んで餅を集めようぜ」
「了解、それじゃあちょっとゼロに乗って見てくるよ。他にもモンスターが湧いてるかもしれないし」
「おう、こっちはここで餅集めながら応援呼んでおくわ」
境内にゼロを呼び出し飛び乗ると、モチを探しに飛び立った。
寒空の中を飛びながら生命感知を頼りにモチを探す。市街地にはいつも通りのモンスターばかりだ。
神社までの道中も普通のモンスターばかりだったし、もしかして神社の境内にしか湧かないのかな。少し足を伸ばして他の神社を巡ることにした。
「お、いたいた」
カツ君に電話をいれ、モチは神社に湧いていることを報告すると、合流したワイバーン隊皆で手分けしてモチを狩ることになった。
お昼までには避難所に戻ることにし、それまでお正月の餅を確保することにした。
ゼロにもモチを倒させてみると、やはり一体目はおみくじを落としたがそれ以降は落とさない。やはり一人一個なのか?
ふと思い立ち、まだ朝早くて迷惑かもしれないが九重さんのお父さんの慎太郎さんに電話をしてみる。
「もしもし、明けましておめでとうございます。佐藤です。元旦の朝からすみません」
『明けましておめでとうございます。佐藤さん。お久しぶりですね、どうかされましたか?』
「えぇ、実は……」
『ほぉ、モチですか。実に正月らしいですな。わかりました、私たちのほうでも餅を集めつつ他に珍しいモンスターが居ないか探してみましょう』
「すみません、ありがとうございます。えぇ、えぇ、いえ。とんでもないです。はい、皆にもよろしくお伝えください。それでは」
慎太郎さん以外にも、各地の避難所に新年の挨拶をしつつモチの情報提供をし、もし珍しいモンスターを見かけたら連絡をくれるようお願いした。
掲示板にも書き込んでおく。すると速攻で反応がある。
正月からモンスターを狩っているのか……。とか、流石だとか、ちょっとモチ狩ってくるだとか様々だ。
流石に一日で日本中はカバーできないので、正月から申し訳ないが皆にも手伝ってもらう。神社に近い避難所からは、本当にモチが居た! とすぐに反応があった。
その後も日本各地からモチの目撃情報がよせられるも、他にめぼしいモンスターの情報はなかった。
自分でもモチを狩りながらモンスターを探していると、カツ君から電話がかかってくる。まだ集合までには時間があるけど、どうしたんだろ?
「もしもし、カツ君? どうしたの」
『お、ヒデ。なんか変なのが湧いたしちょっと来てくれないか?』
「すぐ行くよ!」