作品タイトル不明
107話
「ありゃ、出たよ。謎バリア」
朝早く神社を訪れると、辺り一帯に例の見えない壁が立ち塞がり中に入れない。これは何かあるなと、どうにかして中へ入れないか試してみる。
ロバさんにも相談しながら頑張ってみたが、どうやっても中に入ることはできず、数日かけて色々やったがついにバリアがあるうちに中に入ることはできなかった。
もうここは後回しにして、移動しようかと思い始めたころ。唐突にバリアが消えて神社に入れるようになった。
「今までの苦労は一体……」
しかしようやく中に入れるのだ。大きな鳥居をくぐり参道を進んでいく。途中この神社の主祭神の像を眺め、手水舎で清めてから拝殿にやってきた。しめ縄が凄く太い。参拝を済ませ、境内を探索することにした。
「モンスターがいないな」
探索してみてわかったが、神社の敷地内にはモンスターが湧いていなかった。さらに言うと人の姿も、イベントらしき物もアイテムも何もなかった。
どういうことだろう。あんなに意味深にバリアが張られていたのに……この数日間は何だったんだろうか。困った時はロバさんだ。追憶の広間へ飛び相談してみる。
「ふーむ、恐らくですけど日付じゃないでしょうか?」
「日付? ……あっ、神無月が終わったってことですか?」
「多分ですけど」
「そしたらバリアが張られている最中に中に入るか、その前に中に居る必要があるのかな……」
まさかの時限イベントがあるのか? これは恐ろしいことだぞ。取りこぼすと、年単位で待たなければいけない可能性まである。
日本には後何がある? お盆はもう過ぎちゃったし、正月と節分には間に合うか。ハロウィンやクリスマスは海外で何かあるのか、日本でもイベントがあるのか……
期間限定というのはゲームをコンプリートするうえでも厄介な存在で、その時期を逃すと入手できないアイテムだったり、仲間にできなかったり、後々のイベントのフラグが立たなかったりと非常に恐ろしい存在なのだ。
しかし家庭用ゲームなら、面倒でもやり直せば良いだけなので救いはある。復刻なしのコラボイベントがあるソシャゲなんかは修羅の道らしい。
幸い自分はそちら方面には手を出していなかったので、お財布にダメージを受けることはなかった。むしろ手を出していたら破滅していたかもしれない。
いや、まだわからない。もしかしたら何か必要なアイテムがあるのかもしれないし……カッパのしりこだまのような物が、この神社でもイベントを起こすのにいるのかもしれない。
でもそうなると、あのバリアは何だったのかとなる。やっぱり時限イベントなのか……
「あの、大丈夫ですか? なんだか具合が悪そうですけど」
「あ、いえ大丈夫です。やり甲斐があって興奮していたところです」
「本当ですか? 声が震えてますけど……」
うぅ、まさかリアルタイムが影響する要素があるなんて。せいぜいが昼夜くらいかと思っていたのに、まさか閏年限定とかないよな?
まだ日本ですらコンプリートできていない。思っていた以上に図鑑コンプリートの道は険しそうだ。
その後しばらく、追憶の広間で現実逃避気味にいぬさんのゲームプレイを眺める。
お、上手いなもう尻尾が切れた。ふふ、オトモの猫獣人にねこって名前を付けてる。かわいいな。
「にゃぁ……人間さんどうしちゃったんですにゃ? ニヤニヤしてて不気味ですにゃ」
「なんだか道のりの険しさに、少し現実逃避したくなったらしいです」
「誰だって辛い時は逃げたくなるものよ?」
は〜、やっぱりいぬさんはアクション系が上手いな。全部位破壊でゼロ針か。
このゲームも異変が起きなければ大型DLCがあったのに、きっと楽しかっただろうな……いぬさんには教えないでおこう。できない物の存在を知ってしまったら悲しくなるだけだ。
「今度は凄く悲しそうな顔をしています」
「忙しいですにゃ」
「誰だって……」
お腹が空いたらチャボさんのところでご飯を食べ、ゲームプレイを見物したり漫画を読んで過ごしていると、ロバさんに突っ込まれる。
「期間限定イベントがあるなら急がなくてはいけないんじゃ?」
はぅ、そうだ。やらなきゃコンプリートできない。
「お城の方はもう行かれたんですか?」
まだです……時計を確かめると時刻は午後七時を回っていた。晩御飯食べたら頑張るか。