軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

299.空中戦!

299.空中戦!

空には大きな雲が漂っており、その雲の上を飛空艇クリムゾンサンは疾駆する。

相当の速さで飛翔しているが、先行したレメゲトンたちの船にはまだ追いついてはいない。

「はんっ! 発進してからもう3日もたつってのによぉ! ま、ヘボアリアケの浮かしたノロマな船じゃあ、追いつくのにも時間がかかるってもんだぁ‼」

「たびたび吹っ飛ばされそうになっておるのに、よくそんな大言壮語がはけるものよなぁ。そのあたりだけは神代から変わっておらんのう、お前は」

「はっ! 俺は本当のことを言ったまでウワアアアアアア‼」

ドゴオオオオオオオオオオオオオオ!!!

大きな衝撃音と共にクリムゾンサンが大きく揺さぶられ、勇者ビビアは見事に吹っ飛ばされて行った。

「惜しい輩をなくしたの。だが前を向いて生きていくのが我ら生ある者の務めであるぞえ」

「こらこら、勝手に殺してやるな。今のもアリシアの大結界が攻撃を防いだだけだ。むしろ、先手を取らせて出方を見ると言う意味で戦略通りだろうに」

「であったかの」

とぼけるフェンリルに苦笑しながら、俺はアリシアや他のメンバーに呼びかける。ちなみに、ビビアは大結界にひっかかって助かっている。

「蜘蛛に捕らわれた獲物のようにもがいててうける! ぎゃはははは! ま、どーでもいっか。アリアケ! 二時の方向に船影! 雲の中に隠れての魔法攻撃だね、うざい‼」

プララが嘲笑しながら、一方で正確な報告を上げるという器用な真似をする。

「先生、発見しました! 敵影多数!」

「こちらも敵影を確認。そのうちの一体は四魔将が一体、個体名ウロボロスです。他多数のドラゴンを従えて接近してきます!」

ウロボロスは遠くからでも分かるほど長大な蛇そのもので、泳ぐように空を飛んでいる。いちおう羽はあるが強力な魔力によって飛翔しているのだろう。

「よーし、いい作戦を考えた! このミルノー女王ちゃんが水をぶっかけて目が痛いよう~、ってなって落下させるんだよ! 待ってね作戦名を考えるから‼」

「おえー! ただでさえ酔ってるのに、死亡フラグがビンビンに立ってる! オエエエエエエエエ‼ だ、大丈夫ですよ、ちゃんと船外に吐いてますから。心配しないでください……」

「パウリナちゃんナイス! そのXXXXで相手の目つぶしを狙う作戦だね! よーし、私と共同戦線だー‼」

「お前らには女子力という概念はないのか……? オートマタの私でもドン引きなのだが? アリアケ様に気持ち悪がられたどうする……ぶつぶつ……」

エリスが引いていた。

「とはいえ、ミルノー女王の戦略自体はそれほど悪くない。パウリナのXXXX作戦はどうかと思うがな」

「い、いいいいい、言ってません! 私は言ってませんよおおお‼ 女王様が勝手に言っただけですから、おえー!」

ふむ、忙しそうなパウリナは放っておいて、作戦を説明する。

「ミルノー女王が言った通り、相手の目を奪う作戦を行う! 高高度の空中戦だ、油断しないようにな」

「あほう! んな作戦で勝てるわけねえだろうが! 俺の剣技で相手を圧倒するのが一番ってもんだ‼」

「ほう、良い、心がけです。では一番槍は譲りましょう」

「はへ?」

「ふ、さすが勇者パーティーと言ったところか。≪浮遊≫スキル発動。存分に戦ってこい! ただ、俺は船も操作している。下手したら死ぬからそのつもりでな」

「私は言ってないわよ⁉」

「俺の筋肉は陸地でこそ輝くのに⁉」

「あたしは魔力による後方からちくちく弄るのが趣味で⁉」

「では射出」

「「「「うぎゃあああああああああああああ⁉」」」」

エリスがブースターを創出して加速し、勇者パーティーごと出陣していった。

敵中央にいきなり躍り出て集中攻撃を受けることも厭わない。

一方で、そんな行動を想定していなかった敵陣の一角は大混乱が発生していた。

「ふ、さすが勇者パーティーだ」

「僕には死にかけているように見えなくもないんですがね~……」

「重篤な幼馴染バイアスがかかっているのじゃ。言っても無駄なのじゃ~」

ラッカライとコレットがヒソヒソと何か言っていた。

「まぁ、良いのじゃ。儂も戦うのじゃ! ラッカライとアリシアとブリギッテは旦那様のこと宜しくなのじゃ。フェンリル、リスキス、一緒にやるのじゃ~!」

「そうであるなぁ。なかなか噛み応えのありそうな蛇よ。おっと、作戦は目くらましであったか」

「倒さんでも良いのじゃ?」

コレットが首を傾げると、リスキスが答えた。

「アリアケっちの指示は、そういうんじゃないのだ! が、まぁ倒してしまっても良いのだ。自由にしたらよいと思うのだ。なぜなら、コレットっちの勘は、神の末裔ゆえ天啓に近いからなのだ‼」

「分からんが、分かったのじゃ!」

「ほらほら、そなたら行くぞえ。勇者どもがもう死にかけておるからの」

彼女らもそう言いながら出陣する。

「私は回復をしていくとして、セラさんはバシュータさんと組むと良さそうですね」

「ですな。ちょうど目つぶし草を粉末にしたものが大量にありますぜ」

「それはいいですね。風に舞わせるにはうってつけです」

「ふん、では私は護衛役をするか」

「エリス女王の護衛じゃなくていいんですか?」

もっともな疑問をセラがデュースに聞くが、

「あんな自由なのを護衛してたら、バグってしまう。勘弁してもらおう」

「は、はぁ、そうですか。何だかお察しいたします……」

そんな会話をしながら彼女らも出陣する。

「私たちは良いんですか、アー君? 大結界を張りながら、戦うことも出来ますよ? 拳で」

「大胆な拳は乙女の特権ですからね! ちなみに私も殴り愛しながら結界を張るの結構得意なんですよ」

大聖女と現人神はいうことが違うなぁ。

「僕は何があっても先生の背中を守りますね!」

「おおー。なるほど、お姉さんは学びました。こういう奥ゆかしさも大事なんですね。殴り愛だけが愛ではないんですね~」

「学びが深まって良かったです。ま、それはそれとして」

俺は開始されたこの星で初めての、飛空艇同士での空中戦を観察しながら言った。

「空中戦の肝は個人ではありませんから。あくまで船と船の戦い。つまり」

俺は微笑みながら言った。

「最大の戦力はある程度、船に残しておかなければならない」

それなのに相手は空中戦が可能な最大戦力たる四魔将を既に船から放出してしまっている。

「その意味をレメゲトンはほどなく思い知るだろうさ」

俺の言葉はまるで予言のように、船内に響くのだった。