軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

259.滅亡種人類飼育計画・最終決定コロシアム『深層心域スフィア』

259.滅亡種人類飼育計画・最終決定コロシアム『深層心域スフィア』

「うーん、ここはどこですかね~? 変な場所ですねえ。周囲の色が赤になったり黄色になったり。何だか不安定な感じです」

「でも、転移させられた感じはなかったのじゃけどなあ?」

「しかも、妙ですね。脱出してみようと思って、空間を切ろうとしてもうまく行きません……」

「体当たりでもしてみますか!」

最後、ローレライが言った言葉に、

「そもそも壁がないようだがな」

そう答えたのは、少女のフェンリルだった。

その姿を見た賢者パーティーの皆は、

「わー、可愛い! いやー、戦闘の後始末とかでちゃんと話す機会がなかったんですが、未来のフェンリルさんとは大違いですねー」

「儂よりおぼこいではないか。むむむ、せっかくの儂の優位性? がなくなってしまうのじゃ!?」

「大人の魅力なフェンリルお姉様もいいですが、こういう姿もまた可憐ですね!」

「フェンリルさんが千年前からアリアケさんと旅をしていたということですか。これはピンチ」

口々に感想を言う少女たちであった。

やれやれ。

「お前たちもう少し驚いてもいいんじゃないか?」

俺は苦笑しながら言う。

「いえいえ、これでも驚いているのです。なので、とりあえず手近な少女を愛でているわけです」

「未来のフェンリルは、現在のフェンリルがいるから同時存在は無理か。コレットは多分封印状態だから見逃してもらえている感じなんだろうな」

「なんと! 気合で何とかなっとったのかと思っておった! にゃるほど、父上が千年儂を見つけられぬわけじゃ。ドラゴンレベルの存在を世界から切り離して秘匿するほどの最上級の封印だったんじゃなぁ」

「これが終わったら解放しに行くか?」

「まさか! まさか!」

コレットは笑って言う。

「それじゃと旦那様が白馬の王子様として助けてくれると言う、儂の人生最良の瞬間がなくなってしまうではないか! そんな愚策は了承できぬ! のじゃ!」

「そうか」

フッと俺は微笑む。

「本人がそう言うなら、俺から言うことは何もないな」

「あれ? 今のかなり愛の告白っぽくなかったのじゃ? もっと反応があってもいいのじゃー」

「お姉様、しかしながら、TPOというものがありますので」

ラッカライが苦笑しながら慰めた。

その通りだ。

さて、

「フェンリル。お前を召喚した主は色欲の魔王ナイアだ。だが、お前の召喚主であることは変わりない。勇者パーティーとして加わってくれたのはナイアの指示だった。今はもう無効だろう。どちらにつくんだ?」

俺の問いにフェンリルは、小さな声で呟いた。

「アリアケ様はどう思っているのだ? はいと言ったところで、私を仲間として信用してくれるのか?」

「当たり前だろう」

「えっ」

即答したことに驚かれた。

やれやれ。俺は苦笑しながら、彼女の頭を撫でる。

「信用するかと言われたら、よく分からん。だが、お前のことを信頼している。それに、お前が俺には必要だ」

「そ、それって!」

「ああああ! それ儂が言ってほしいやつ!!」

「神代でも朴念仁ですか、この人は~、も~」

フェンリルが赤面し、一方でコレットが怒り、アリシアが呆れ声を上げていた。なぜだ?

だが、そんなやりとりは一人の少女の声にかき消される。

「そなたらは余裕があるな。それ、これもオマケである」

そう言って、その紅の少女。いや、色欲の魔王ナイアが投げ渡して来たのは、ビビアであった。

「殺したのか?」

「その必要はないであろう? なぜなら」

彼女はそう言ってから、手を広げて言った。

「この深層にて、そなたらは全員我に殺されるのだから!」

深層。

「なるほど。ここはそう言う場所か」

「察しが良いな。大賢者。いや、我と対等なる存在。第7の魔王アリアケよ」

「どういうことでしょうか? ナイア様」

フェンリルの問いに、ナイアは獰猛に笑った。

「ふむ、そなたはやはりそちらについたか。だがここまで我の計画につきあってくれた褒章として、それを許す。以後はそこの救世主を主とするが良い。優秀な部下をもてて我は満足であった」

「主……様?」

「で、この場所であったな。アリアケ。察しの通りだ。ここは」

無数に変遷する周囲の彩りを、その瞳に映しながら、邪神は宣言した。

「滅亡種人類の深層領域スフィア。全人類の意識は無意識化にてつながっておる。ゆえに、この戦いは全人類の目に留まろう」

「なるほどな。人類飼育計画の完了はここでなされるわけか」

「左様である! 色欲の邪神の権能において、滅亡種人類飼育計画・最終決定コロシアム『深層心域スフィア』を設置した。アリアケよ! 救世主よ! そして人類の希望を抹殺する第7の魔王よ! そなたという光の消失をもって、滅亡種人類飼育計画は完了する! ゆえに!!」

彼女は獲物である赤き鎌を俺へと突き付けた。

「ここで塵一つなく殺しつくそう! アリアケ・ミハマ! 我が計画最大の障壁にして、最高の素材よ!!」

少女の宣言に俺も微笑み浮かべて返事をした。

「そう気負うな、邪神よ。人類を救うのはいつものこだ。ゆえに」

俺も賢者の杖を構えながら言う。

「いつも通り、世界の危機を救い、ヒトビトに希望を与えよう。だがそれは俺だけの力じゃないぞ?」

その言葉に、後ろで戦闘態勢に入る少女たちも頷いた。

「最高の仲間たちの力だ。俺はほんの少し、力を貸すだけだ。それがヒトの力なのは既に未来で確認済みなのでな」

こうして。

滅亡種人類飼育計画・最終決定コロシアム『深層心域スフィア』での冥王ナイア、もとい第6の魔王、そして、色欲の邪神ナイアとの最終戦争が始まったのである!