軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

230.共同戦線・阿吽の呼吸

230.共同戦線・阿吽の呼吸

「ひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!!!!」

ビビアの泣き叫ぶ絶叫が群がる骸骨騎士たちの中心から響く。

「アリアケ殿! 私にもスキルを!」

「ああ、頼むぞ、フェンリル」

「任せておけ!」

俺はスキルを詠唱する。

それにしても、最初に出会った頃は、俺に対して隔意があったようだが、今は随分心を許してくれているようだ。

やはり、一緒に冒険すればこうして心を通わすことになるのだな、と思う。

(ん? だが、ビビアに対してはそうでもないような????)

いや、気のせいか。

恐らく、心の底では信頼しているに違いあるまい。

「行くぞ! ≪スピードアップ≫≪物理攻撃力アップ≫≪魔力増強(大)≫」

「凄い! いつもの100倍以上の力がみなぎる! あなたなら、どんな若輩者でも一流の戦士にしてしまえそうだな、アリアケ殿!」

「ははは。それが俺の役割だからな。大したことじゃない」

「いや、そこは自覚したほうがいいと思うが……。とにかく、あの半泣きになっている、あなたの弟子ビビアを救出する!」

(うむむ? なぜかビビアに対してはちょっとだけ辛辣なのか? いや)

俺は首を横に振る。

(言いたいことを言えるのも、信頼の証だ)

俺はそう思ってほほ笑んだ。

何より、彼女との共闘に集中した。

「はぁ!!!」

彼女が10体以上群がっている骸骨騎士に突撃する。

「爆狼爪!!!」

ドオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!!!

「「「「ぎいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!???」」」」

魔力を爪にこめてたたきつけて斬撃と共に大爆発を起こす技だ!

集中していた骸骨騎士たちが吹き飛ぶ。

ついでに、

「あんぎゃあああああああああああああああ!?!?!?」

ビビアも同時に吹き飛ばされているが、

≪無敵付与!≫

彼にだけは吹き飛ばされる寸前にスキルを使用して即死を回避する!

「アリアケ殿!」

「ああ」

俺と彼女が刹那にアイコンタクトで意思疎通を行う。

まるで何十年も一緒に戦ってきた戦友のような動きに、俺は戦い易さを感じる。

まるで、賢者パーティーで戦っているときのような安心感だ。

勇者パーティーの場合は、逆に緊張感が保てて、人を育てている充実感があるのだがな。

さて、フェンリルの意図を汲んで、俺は一瞬にして、複数のスキルを当然のように行使する。

「≪片手剣装備≫≪アンデッド攻撃力アップ≫≪剣攻撃回避≫≪カウンター≫」

「さすが、ポーター……。いや、賢者アリアケ殿だ!」

フェンリルは倒した骸骨騎士から剣を奪うと、それを左手に装備して戦う。

リーチを確保しつつ、右手では先ほどの爪を利用した攻撃を繰り出している。

キン! ザシュ!

ガギン! ザン!

ひらり! ズシャ!

リーチのある剣で、骸骨騎士の攻撃を弾くと、そのカウンター攻撃として爪による斬撃を喰らわせていく。

まるで剣舞を見ているような華麗な動きで、骸骨騎士は翻弄されるばかりだ。攻撃は弾かれ、かわされ、その都度、骸骨騎士の数は減って行く。

その上、俺のスキルによって、対アンデッドへの攻撃力は尋常ではないレベルで上昇している。

A級モンスターにも及ぶ敵を、まるで赤子のようにひねる俺たちの姿は、はたから見れば神話のように語られるものかもしれない。

「ぐ、ぐごおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

果たして、最後の一匹が起死回生の一撃とばかりに、自身の得物を投擲した。

それは、他の骸骨騎士の仲間が切り裂かれた身体を使った死角からの攻撃である。

しかし、

「悪くない攻撃だな」

「ぎいいいいい!?」

骸骨騎士に意思があるのかどうかは分からない。だが、その瞬間確実に骸骨騎士に恐怖が走ったように見えた。

不意打ちで投擲したはずの剣を、フェンリルは見ることすらせずに柄の部分を掴むと、その勢いのまま遠心力を利用して、その残り一体の骸骨騎士へと投げ返したのだった。

無論、そんな一撃を躱せるはずもない。

骸骨騎士は眉間の部分にその一撃を受けると、頭部を爆散させて、その場にガシャリと崩れ落ちたのだった。

「さすがフェンリルだ。素晴らしい攻撃だったな」

そう心からの称賛を送る。

だが、なぜかフェンリルは不満そうにこちらを見た。

「どうした?」

俺は不思議に思って聞く。

すると、

「私の勝利ではない。私とお前、二人の勝利だ。間違えるな!」

「ん? ああ、そうだな?」

どうやら義理堅い性格のようだ。

そのあたりは未来と変わっていないのだな。

そう思って、思わず微笑む。

ところで、

「あれ? ビビアはどうした?」

俺はきょろきょろとした。どこにも姿が見当たらなかったからだ。

「奴なら『こんなところにいられるか! 俺は先に下の階層で待たせてもらうぞ!』と言って、一足先に戦場を勝手に離脱したようだが?」

「そうなのか。先行して単独での威力偵察というわけか。なかなか剛毅だな。だが、命の危険を伴うタフな任務になる。後を追うとしよう」

俺はそう言って、杖をしまう。

すると、

「やれやれ。お前はそこだけがズレているんなぁ、アリアケ殿よ」

なぜか深々とフェンリルに嘆息されてしまったのだった。

俺はよく分からずに思わず首を傾げた。

ともかく、こうして第35階層を俺たちは無事に突破したのである。