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作品タイトル不明

23. 英雄は町を救う ~メディスンの町 最終防衛ライン攻防戦~③

23. 英雄は町を救う ~メディスンの町 最終防衛ライン攻防戦~③

「モンスターどもが駆逐されて行きます!」

「ああ、アリアケ様のおかげだな!」

戦況は一変していた。

少しだけ補助スキルを使用しただけで、どういうわけか≪様≫付けをされてしまっているのは腑に落ちないが、とにかく劣勢だった状況は今やひっくりかえっている。

「行けるぞ!」

「ああ、アリアケ様の加護ぞある! うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」

「恥ずかしいからアレ止めてくれないかなぁ・・・」

「何を旦那様、本当のことではないか!」

コレットが嬉しそうに言う。

「別に大したことはしてないからなぁ」

支援スキルで支援しただけである。

「それが大したことをやっておるのじゃってのに、もう! どんなけ自己評価低いんじゃよ⁉」

まあ、相棒の肩を持つ気持ちも分からんでもない。それにしても大げさだなぁ。

とにかく、

「とりあえず、この戦い勝てそうだな」

「うむ! 最後はあのキング・オーガだけじゃ」

「あれは、強いな。しかし、不思議だ。どうして魔の森の初期段階≪凶荒≫であれほどのモンスターが誕生したんだ? どう考えても第2段階の≪宿種≫かそれ以上の≪裂花≫まで行っているように見える」

俺は首を傾げた。

「それでどうするのじゃ、旦那様。あれはさすがに手に余ると思うが」

俺はため息を吐く。

「というか、戦いたいんだろ?」

「ぬお!? なんでバレたのじゃ!?」

分かりやすい奴だ。

あまり手を貸すのは、人々自身のためにならないと思う。

・・・だが、心情的には助けてやりたい。そして何より、俺は神に近しい男ではあるが、神そのものではなかった。ならばまあ、

「好きにさせてもらおう。元勇者パーティーの一員として、歴史を草葉の陰で見守るつもりではあるが、俺もまだまだ未熟だな」

「さすが旦那様なのじゃ! それにそれは未熟とは言わぬのじゃ!」

コレットは笑いながら、

「それこそ旦那様の≪格≫というものなのじゃ! ドラゴンの末姫として認めようぞ!」

「キング・オーガには歯が立ちません!」

「くそ、後はコイツだけだってのに⁉」

「桁違い過ぎる! 何なんだこいつは!」

冒険者たちが苦戦していた。無理もない。いかに俺の全ステータス向上の恩恵があったとしても、こいつはSランクと言っていいモンスター。

ならば、

「ここは俺に任せておけ」

「任せるのじゃ‼ 人間どもよ!」

俺とコレットがキング・オーガと冒険者たちとの間に割って入った。

「ア、アリアケ様⁉」

「た、助けてくれるんですか⁉」

「別にそう言うわけではない。気まぐれだ。勘違いするんじゃないぞ?」

「わしもご主人様の気まぐれに付き合うだけじゃからな。そこんところ勘違いするでないぞ、人間どもよ」

「あ、ありがとうございます! このご恩はっ・・・」

「さっさと行け!」

ピーチクと邪魔なので追い払った。

「まったく、俺は歴史の陰に隠れるつもりだというのに。目立つつもりなど毛頭ないのだが・・・。まあ、このモンスターを倒したらちゃんと隠居するとしよう。やれやれ」

「・・・いや、こんな活躍しておいて、それは絶対に無理なのではないのかのう」

「ん? 何だって?」

コレットが何か言ったようだが、その呟きは小さくて聞き取れなかった。

「! 来るぞ!」

『グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ』

キング・オーガの≪威圧≫スキルが発動された。

普通の冒険者ならばこれだけで立っていられない。風圧もものすごく吹っ飛ばされて気を失うのがオチだ。

しかし、

「やかましいことこの上ない」

「左様、その口、ちょっと閉じておるとよいぞ」

俺とコレットは同時にキング・オーガに肉薄する。俺は自分に≪筋力強化≫、≪部位強化≫、≪部位破壊≫、≪攻撃力向上≫、≪クリティカル威力アップ≫、≪麻痺≫、≪回避不能≫、≪装甲貫通≫のスキル付与を行ってから足払いをかけた。

すってんころりん、と20メートル以上の巨体が嘘のように転ぶ。

「嘘だろ・・・。キング・オーガがあんなに転ばされるなんて・・・」

「あれが、勇者パーティーを一人で支えて来たアリアケ様の力だってのか」

外野がまたもうるさいが、どうでもいい内容なので無視する。

「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん⁉」

自分に何が起こったのか分からなかったのだろうキング・オーガは怒声のごとき大音声を上げるが、

「だから、その口閉じておれと、言ったじゃろ?」

ドラゴンの娘。俺が呪いを解いたことと、俺という神のごとき乗り手を得たことでステータスは通常のドラゴンを完全に凌駕している。そこに来て俺のスキル補助を重ねがけする。

「オーガ必滅」

「モンスター必滅」

「攻撃力向上」

「クリティカル率向上」

「必中」

「回避不能」

「即死属性付与」

「≪決戦≫付与」

ステータス向上スキルを重ねがけする。

「力がみなぎるのじゃ!」

「≪決戦≫付与は本来の力を一時的に取り戻し、更にパワーアップさせるスキル。つまりお前は一時的に神龍として神の力を行使できる! 全力で行け、コレット」

瞬間、幼い少女の姿が、数秒だけその真の姿を取り戻す。

ゲシュペント・ドラゴン。いいや今やゴッド・ゲシュペント・ドラゴン。

黄金竜とも呼ばれようその神竜は、天空に突如現れた様に見えたろう。

「奇跡だ」

「これがアリアケ様の・・・本当の英雄の戦い・・・」

いや、別に俺の力じゃないから。ちょっと封印を解いただけだから。だが、そんな釈明をする暇もない。

『キング・オーガよ。我が竜騎士アリアケ=ミハマ、そしてコレット=デューブロイシスの名のもとに貴殿を断罪する』

「ぎゃおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお⁉」

「死をもって、わしの前から消え失せよ。 焔よ立て(ラス・ヒューリ) 」

カッ‼

その青白い焔は地上より天空を貫く柱のようであった。まさに天の怒りがキング・オーガに与えられたような、神話のような光景に冒険者たちには移ったであろう。

キング・オーガは消滅する。跡形もなく、一瞬にして。

ついでに、ポン! というコミカルな音を立てて、コレットも元の少女の姿に戻った。

張り切りすぎて、力のほとんどを使ってしまい、落下してくる彼女を受け止める。

「ご苦労様だったな」

「いやー、張り切りすぎて、全力全開してしまったのじゃ。じゃが、気持ちよかったわい! かかか!」

まあ、実際はこんな会話をしていたりで、俺たち自身には何ら緊張感もないのであった。

とりあえずこうして、メディスンの町における最終防衛ライン攻防戦は、若干俺も手伝ったものの、彼らの努力によって勝利で幕を閉じたのである。