軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

221.エピローグ/勇者ビビアの処断と神代回帰

(前回の続きです)

「お、俺が何をしたってんだ⁉ こんなところに入れられるいわれはねえ⁉ ちくしょう、ちくしょう! 何で勇者の俺が何回も牢屋にぶちこまれて臭い飯を食わされなきゃなんねーんだ! ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

人間とは思えないほど理性の崩壊したような絶叫を上げた。

「仕方ないだろう? よりにもよって、人身売買や貴族の買収、恐喝などの犯罪行為に手を染め、あまつさえ大逆すらももくろんでいた教主ジャルメルの手先となり働いたのだから。しかも勇者であるお前が、だ」

「ぐ、ぐぎぎ⁉ そ、それはあっ……! ぐぎぃ! だ、だからって、終身刑はねえだろおおがああああああああああああああああああ⁉」

俺はまだよく分かっていないようなので、もう少し説明を付け足す。

「本来ならばグランハイム王国に引き渡すべきところを、俺の方で引き取ったのも、王国指定勇者のお前の行為は、グランハイム王国ならば処刑されていてもおかしくないからなんだぞ?」

「しょ、しょ、処刑⁉ この勇者である俺がぁあああああああ⁉」

「当たり前だろうに」

俺は肩をすくめる。

「ぐっ、ぎっ、がっ、うっ、ぎっぎっぎいいいい。くそう、くそう。ちくしょう。なら、ならせめて!」

ビビアは炯炯とした瞳をして、ニチャリと唇を歪めて、

「勇者パーティーのメンバーである、デリアやプララ、それにエルガーも同じ終身刑にするべきじゃねえのかよ! ああん⁉ へ、へへへ! せめてあいつらに思知らせてやらないと気がすまねええええ!」

唇をいやらしく歪めた。

が、いやいやいや。

「むしろ、あいつらはお前を止めるために、俺に助力した功績が認められてな。それなりの報酬を得ていると思うぞ? 新生勇者パーティーとか言って、お前抜きで冒険してる。お前の作った悪評もうまく帳消しにしたみたいで、元気にやってるみたいだが?」

「ちっくしょおおおおおおおお! あいつらめえええええええええええええええええええええ!!!! ああああああああああああああああああああああああああ!!」

怨嗟の声がどこまでもどこまでも、消えずに木霊する。

目からは滂沱のごとく涙を流し、汚い鼻水が垂れ下がっている。

うーん、因果応報とはいえ、余りにも哀れを誘う……。

「……はぁ、やれやれ、まあ、いいか」

「あ"?」

哀れな様子の犯罪者ビビアに対して、俺は王としての言葉を告げることにした。

「犯罪者ビビア・ハルノアよ。お前から勇者の身分をはく奪する。これはグランハイム王国より許可を得ての勅である」

「なぁ⁉ 俺から全てを取り上げるつもりなのかあああああああああ⁉ 勇者の身分さえもおおおお⁉」

「慌てるな」

俺は落ち着き払った声で、目の前の男に申し渡す。

「だが、このたびブリギッテ教とワイズ教の習合が成った。これにて国王の名のもとに恩赦を実施する。犯罪者ビビア・ハルノアよ。お前を改めて『下級勇者』として任命する。その任務はこの世界の危機を救い、人々の安寧を守ることである。いいな?」

「か、下級……」

「ああ、そうだ。しばらくまた俺の膝元で下積みをし、心を鍛え、まっとうな人間になるよう務めるがいい。そして、師である俺に1mmでもいい、近づくよう努力をして、少しでも安心させるよう、精進するように」

「ぐ、ぐぎぎぎ! ぐぎぎぎ!」

なぜかビビアは悔しそうな表情で、血涙を流しながら歯ぎしりをする。

しかし、最後には頷き、

「わ、分かりました。お、お、お、お、お、お、お、王様。ぐぎぎぎぎぎ」

ふむ。どうやら理解してくれたようだ。

不出来な弟子だが、だからといって放り出すつもりはない。

責任をもって、俺の数万分の一でも、役に立つような人間に成長して欲しい。そう願うのだった。

「うむ、期待しているぞ、下級勇者ビビア・ハルノアよ!」

「ふんぎいいいいいいいいいいいい!」

俺の威厳ある声とビビアの快諾の声が、牢に響いたのである。

さて、そんな不肖な弟子とのやりとりも終えて、俺は地下牢から出た。

空は快晴で、先日まで世界の趨勢を決めるための戦いに身を投じていたとは思えないほどののんきさだ。

やれやれ。

そろそろ、俺にも長期休暇を満喫できる時期がやって来たのか?

そう思った時であった。

『ブオン!』

目の前が一瞬、真っ白になり。

そして、次の瞬間、目の前には。

「ここは、どこだ……?」

見たこともない植物や、

『ぎいいいいいいいいいいいいいいい』

やはり見たこともない、聞いたこともないドラゴンらしき生物が上空を旋回していたのである。

「やれやれ……」

俺はたまらず嘆息した。

「やはり、世界を数回救うくらいの活躍では、休暇は許してもらえないということか?」

俺は半ばあきらめつつ、周囲のマナの量にある確信を抱いていたのだった。

「神代……回帰」

かつて、この星が宇宙癌に犯される前の、マナを大量に満ちていた時代。

1000年前の世界に飛ばされたことを、俺は直感的に看破したのであった。

(第6章へ続く)