作品タイトル不明
208.真相②
208.真相②
(前回からの続きです)
「やっぱり、嘘、なんですね」
ポツリと言うローレライに、ワイズ神は訝し気な声を上げたのだった。
「何?」
「約束通り、お友達同士、隠し事はなしにしませんか?」
彼女はそう言ってから、
「生贄は私たちだったはず。なのに、あなたの言葉ではまるで私たちの死は無関係のように聞こえます。それにさっきの全力の一撃はまるで隙を自ら作られたように見えました。まるで行動が一貫していません。矛盾していますよね?」
と続けた。
その言葉に、フッ、とワイズ神様は笑うと、
「そうか。剣をつきつけあった仲だからな」
皮肉気に口の端を釣り上げた。
「ではお前の望む答えを述べよう。さっさと私を殺すが良い。そうすれば、私の神性はルギへと移る」
「へ? どういうことですか? ああ、いえ! そのままの意味なのですか!?」
少女は思わず驚いた。
「神は 韜晦(とうかい) を好むが嘘はつかぬ。私こそが生贄だ。私は負けた以上死ぬ。そうせねば、この身に宿る神核をルギへ譲ることは出来ん」
ゆえに、早くとどめを刺すが良い。そう催促する。
「質問です。もう十分、神様っぽいですよ、ルギさんは」
「あれではまだ半神だ。仕上げが必要だ。何せ、次こそ、お前たち人間だけは守らねばならん」
「私たちを守る??」
思いがけない言葉に、少女は首をひねる。
「そうだ。私は人間を守る。お前たちの愚かさと醜さ、美しさと力強さを愛おしく思う。そのためには力が必要だ。ルギというヴァンパイアの器、そして仲間……特にフィネという人間の少女を守りたいという気持ち。それらが私には必要だった」
「なぜ?」
「なぜ、か」
ワイズ神は目を閉じる。
「この1000年のお前たちの苦しみは、邪神に対抗しえなかった私のせいだ。ならば、役に立たぬ神性は次の神へ譲渡する。次こそはお前たちを確実に守る力をために」
「そうではありません」
「なに?」
フルフルと首を横に振り、少女は言った。
「どうして『人間だけ』なのですか? この地上にはたくさんの種族がいます」
「本当に聡いな、ローレライ・アルカノン。次期大教皇よ」
ワイズ神は穏やかな表情をして、
「それは私の片割れが、今まさに、大賢者とともに探っている可能性だからだ。私の可能性は……潰えた!」
『グシャ!!!!』
「なっ……! 自分でっ……! 短剣を!?」
驚くべきことに、ワイズ神様は自ら短剣のほうに体を持ち上げ、胸を貫かせる。
「それに片割れって……。もしかして……」
「さて、あとは頼んだ……ぞ……。ピ……ノ……」
ワイズ神様が目を閉じて、今まさに消失しようとされます。
が、その時でした!
「まったく、それこそ短慮ではないでしょうか! それに殴り愛で深めた友情を早々に捨てるとは言語道断!」
「は? ブリギッテ……。そなたまだ生きて……」
「私もいますので宜しく~」
死んだはずのブリギッテ様と私の顔を見て、ワイズ神様は初めて驚いた顔をされたのでした。
「あの必殺の一撃はどんな存在も蒸発させる類のものなのだが、どうやって生き延びた?」
「気合ですね、お姉さんには余裕でした」
「あっ、違います、違います! 気合で神様に勝ったとか思われると嫌ですので説明しますと、わざわざ私たち3人の聖女が残ったのは、お互いに回復しながらあなたに接近するためです。三人でダメージを分担するように先頭を入れ替えながら接近し、後衛は先頭の方を回復し続けるキュア・サーキュレーション陣形作戦です」
「やはり気合では?」
私の説明にローレライちゃんはポツリとこぼしました。
ですが、そんな空気は関係ないとばかりに、ブリギッテ様はガシっとワイズ神様の肩をつかまれました。
「ワイズ神様!」
「そなたは暑苦しいな。なんだ?」
消滅しつつあるワイズ神様に向かって、ブリギッテ様が口を開きました。
「提案があります! 友達なんだから聞いてくれますよね! ね! ね!」
屈託のない微笑みを浮かべながら言うのでした。
「アリシア様」
「なーに、ローレライちゃん?」
ローレライちゃんは既にワイズ神様の上からどき、私の隣に来ています。
「ああいうのって、友情の押し売りと言うんじゃないでしょうか?」
「疑問に思ってはだめですよ? 次期大教皇様? 勧誘とうのはああいうものです」
「ええ……」
なぜかドン引きするローレライちゃんです。
ですが、それ以上に。
「正気か?」
「もちろん! 現人神に二言はありません!」
ワイズ神様はその提案を聞いて、今度こそローレライちゃんは、唖然とした表情になったのでした。
その提案というのは……。