作品タイトル不明
199.大破壊
199.大破壊
~ルギ視点~
「さぁ、始めましょうか。終わりの始まりを」
僕はそう宣言する。
「本当に良いのだな? もう戻ることは出来んぞ?」
ワイズ神様は淡々とした口調で言う。
だが、この女神様は優しい。
ここで僕が神になることを拒めば、元に戻してくれる気がする。
「なぜそんな質問をされるのですか? あなたはワイズ神の人族の救済を願う人格が分裂した存在のはずです。そして、邪神に対抗出来なかった御身を消滅させ、次代の神を求めたはずです」
「その通りだ。わが身などもはや人は必要とはしないだろう。役に立たぬ神は廃棄するべきだ。だが人に神は必要だ。私はその可能性を追及しよう。それが私の役割だからな。だが、それは世界の選択肢の一つに過ぎぬ。お前の求めているものとも矛盾している。だから今一度問おう。お前はそれでいいのか?」
「いいんです」
僕はためらいなく頷いた。
「父が邪神に殺され、母は悲しみにくれてしまった。学校では仲間たちを十分に守り切ることができなかった。僕には力が必要です。みんなが仲良くなるためには、圧倒的な力が必要だ。そして、それは今僕の手中にある」
「分かった。ならば、私はお前を全力で支援しよう。我が後継者ルギ」
「はい。ですが僕にはどうしても超えなくてはいけない存在がいます」
「アリアケか」
僕は頷く。
「先生はこの世界の平和を築かれるために学校を作られました。様々な種族を集めて学校生活をさせてもらった。僕はそれを守りたいと思った。その気持ちを実現させるには、僕には力が足りないと思った。でも先生は、それを守るのは力ではないと言われました。それを確かめないといけない。あの偉大な大賢者を超えて初めて、僕は神としてこの世界を支配する資格を得る」
「世界を救済したかの大賢者が神を試すか。ふん、妥当な結末だな」
そう頷いてから、
「そなたは優しい子だな、ルギ」
どこか母親のような声で、ワイズ神様は言った。
「え?」
僕は首を傾げる。
しかし、次の瞬間には再び怜悧な表情へと戻り、
「では、始めよう。まずはどうするつもりか、ルギ神よ」
その言葉に僕はゆっくり頷き、
「大破壊を」
と言ったのだった。
その言葉とともに、
『ゴゴゴッゴゴゴッゴゴゴゴッゴゴゴ』
聖都マリードの地殻が振動しだす。
そして、数分後には。
聖都マリードのあった地には。
もはや広大クレーターのようなくぼみを残すだけで、聖都自体がいずこかへと消失していたのであった。
それをたまたま見た旅人は腰を抜かすのとともに、天空からパラパラと降り注ぐ大量の瓦礫に、疑問を浮かべたのであった。