作品タイトル不明
189.お傍付き達のコミュニティへの参加条件が解放されました!②
189.お傍付き達のコミュニティへの参加条件が解放されました!②
ロベックス上級神官のお傍付きのテールのおかげで、神殿の様子がおぼろげながら分かってきた。
「いきなり情報源を確保するなんて、さすがアリアケ先生だなぁ。半端ねえ!」
とフィネが喜んでいる。
「計算づくみたいに言うな」
俺は憮然としつつ、
「人を助けるのに理由はいらんさ。特にああいった大人が子供に手を上げる時はな」
「さすが旦那様なのじゃ。き、きっと、その……良い父親になるのじゃ! ちら!」
「? 何の話だ?」
「知ってた! 伝わらんじゃろうなぁって知ってたし!」
コレットが首を振る。
「でも、こうなることも少しは考えていらっしゃったのでしょう?」
「勘違いするでないぞえ、キュールネー」
キュールネーの言葉を、フェンリルが微笑みながら否定した。
「こんなものは計算のうちに入らぬのよ。計算などしなくとも、主様が動けば状況がついてくる。ゆえに主様なのよ。分かるかえ?」
「さっぱりですが……。私の精進が足りないということですわね」
「ふふふ。そなたはドラゴンのくせに素直なところが良い。して、テールと言ったか。そなたは上級神官のお傍付きだけあって顔が広いわけよな?」
「あっ、はい! その通りです! 助けて頂いた、アリアケ神官様に何事かお返しできないかと、尋ねた次第です。ただ、しょせん神官にもなれないお傍付きに過ぎませんので、大した力はないのですが」
「いえ、そんなことはありませんよ」
テールの言葉を優しく否定したのは、孤児のミハイルであった。
「このワイズ教神殿でお傍付きとしてやっていくには、それなりの処世術が必要です。僕がそれに失敗して地下牢に入れられていたのに対して、テールはそこらをうまくやれる才能がある。だからお傍付きとして働けているんです」
「確かに! 私もエルフの里では口うるさくて友達が少なかったですからね! 人と仲良くできるというのは一種の才能ですよね!」
「あなた、自分を卑下することにためらいがないところ結構偉いわねえ」
ソラの言葉に、キュールネーが感心していた。
「ミハイルのことはともかく」
俺はまとめるように言った。
「テール。別に俺は君に何かして欲しくて助けたわけじゃない。だが、せっかくこうやって知り合った仲だ。上級神官も寝込んでいるようだし、困ることもあるだろう。俺は着任したばかりで余り役に立たないかもしれないが、何か困りごとがあったら頼ってくれていい」
「あっ、ありがとうございます。神殿では神官ごとにグループが決まっていまして、食事などもグループごとに神官が面倒を見ることになっています。ロベックス様が倒れてしまわれたのでどうしようかと思っていたのです」
「なら、俺のグループを頼るといい。食事位は提供しよう。その代わり、俺や彼らお傍付きたちと友達になってくれるか?」
「友達ですか? 部下、とかではなく?」
テールは首を傾げた。
俺は微笑む。
「そう、友達だ。今日あった事や、何気ないこと。君の知り合いが言っていたことなんかを話してくれるだけでいい。特別なことは不要だ。ただ、仲良くしてくれると嬉しい」
そう言うと、テールは素直に笑いながら頷くと、
「神官様はみんな怖い方が多いのに、アリアケ様はすごく気さくでお優しい神官様なのですね……。あっ、すいません、ついなれなれしい口を……」
「ははは、構わないさ、友達になる、と言ったろう」
俺がそう言うと、彼女はもう一度微笑むと、
「分かりました。ではお昼と夕食時にお部屋にご訪問させて頂きます。その際に、世間話でもできれば」
「ああ、ありがとう」
俺は微笑んだ。
こうして俺はたまたま助けたテールという少女と友達になり、神殿の様子をつぶさに知ることができるようになったのである。
テールは面倒見の良い少女のようで、お傍付きの中でも好かれているらしく、非常に顔が広かったため、俺のもとにもたらされる情報は非常に有益なものになったのだった。