軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

172.生徒がたくさん増えました

172.生徒がたくさん増えました

その後のダンジョン攻略は、先ほどのトラブル(トレイン)が嘘のように、順調に進んだ。

10階まで色々課題はありつつも危なげなく進んだ後、1階まで戻ってきたのである。1階の入口の大きな門をくぐりぬければ、

「よし、外だな」

今回の授業はここまでとなる。

「よーし、みんなよくやったな。何度も言うようですまんが、1階でのトラブルは俺とアリシアの支援があっての勝利なので、そこは勘違いしないように。最善手は」

「命大事にですわね。耳にタコですわ」

「珍しいわね。ちゃんとあなたが先生の指導を聞くなんて。ミミックが化けているのでは?」

「あら、あなたでも冗談が言えるのね。それ、面白いわよ」

ドラゴニュートのキュールネ―と、エルフのソラが軽口をたたき合っていた。

ただ、以前であればただの喧嘩に見えたその光景も、ダンジョン攻略を果たした仲間となれば、意味合いが違ってくる。

「信頼と言う背景があれば、じゃれ合いのようなものだ。俺と勇者ビビアたちのようにな」

俺は優しく微笑む。

「台無しですね。まじで」

なぜか隣の俺の嫁は深いため息をついていた。久々のダンジョンで疲れたか?

「そうじゃないです」

呆れ顔で言われた。なお、あっさりと俺の心を読む癖は治らないものか。

生徒たちの会話はなおも続いている。

「あーっはっはっはっはっは! あたしの活躍がきいたね! これからもリーダーのフィネ様に頼ってくれていいよ!」

「フィネにリーダーは向いていないのではないですか?」

フィネの景気の良い言葉に、ルギが反論する。

いつもならここでやはり喧嘩になることだが、

「ま、確かにね~。斥候やりながら指示ってのは無茶かもね。ちょっと探索スキル使ってるときに、不意打ちくらいかけた時、ルギがかばってくれたもんね、4階で。ずっと心配してくれてありがとね!」

「別にそういうわけじゃないですから。勘違いしないでください」

「あんた実はツンデレだな!? 新しいからかいネタができた!」

「誰がツンデレですか! まったく……」

ルギが一言足りないだけで、ちゃんと心配して言っていることに気づいた。

全員の視野が広くなっていて、お互いの絆が強まった結果だろう。

確かにリーダーは、全体を見渡せるソラがいい。

ルギも慎重なところが実はリーダーに向いているんだが、多分性格上、生真面目過ぎて判断が遅い時がある。ちょっとまだ早いかな。だが、確実時に将来のリーダー候補だ。

と、そんな話を生徒たちがしていた時である。

「帰ったぞえ。ちょうどいいタイミングだったのう」

ズウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウン!!!

「ほわわ!?」

突然、空から振ってきた青色の大きな狼に、ソラがのけぞって悲鳴を上げた。

「おかえり、フェンリル」

「うむ、主様。戻ったぞえ。あとで毛並みをととのえてくれると嬉しいのう」

そう言って笑う。

だが、

「まぁ、待ちなさい、私の従僕であるところのフェンリルさんと、夫であるところのアリアケさん」

「「なんだ?」」

俺たち二人の声がはもる。

と、同時に、

「「「「なんだじゃないでしょう」」」」

生徒達が俺たちの会話にツッコミを入れた。

そして、今までだんまりだったピノが、フェンリルの牙にひっかけられた、『檻』とその中に”閉じ込められた者たち”100名程度を見て言った。

「たくさん、生徒が、増えたね」

その言葉に、アリシアが大聖女らしい微笑みを浮かべながら、

「あ、なーるほど。季節外れの転校生でしたか~」

と言ってから、

「って、そんなわけありませーん!!!!!」

どっから拾って来たんですかー!!!!!

大聖女の絶叫がダンジョンのある森に木霊したのである。

『檻』に入れられた子供たち。

その姿はボロボロで、目もうつろな子供たちが多い。

年齢は10歳前後くらいだろうか?

これは、

「なるほど。フェンリルは子供を守ろうとするからな。彼女を行かせたのは正解だったか。しかし、まさかこんなに子供たちを連れ帰ってくるとはなぁ」

「主様ならなんとかしてくれるであろ?」

フェンリルは母性が強い。

その彼女が追いかけて行ったトレインを仕掛けてきた三人の拠点。

そこで何かがあったのだ。

そして、その結果、転校生が100人ほど増える結果になったようだな。

まぁとりあえず。

「もちろんだ」

俺はウインクをしてから、

「100人なら修練場に入り切るな。ホテルは満室だが、リネン類は余ってたかな」

「では、とりあえず ブリギッテ(女将) に連絡して融通してもらいますね~」

てきぱき。

俺とアリシアが段取りを整えていく。

こういったポーター的作業は慣れたものだ。

大聖女の彼女も、こういう支援作業は得意である。

まずは、彼らの一時的な寝床と居場所をつくってやらなねばなるまい。

そして、

「落ち着いたらフェンリルに事情も聞かないといけないな」

トレインに、明らかに孤児のような恰好をした子供たち、それをフェンリルが放っておけなかった理由。

大きな事情が背景にありそうだ。

俺はこれまでの 大賢者(救世主) としての経験から、そう直感するのであった。