作品タイトル不明
144.勇者パーティー、人々の希望として奮戦す
144.勇者パーティー、人々の希望として奮戦す
~勇者ビビア視点/南部戦線~
「勇者様! 敵が来たようです!」
「ああ、報告ご苦労。へへへ、来やがったようだなぁ」
俺は聖剣ラングリスを抜き放ち、不死の軍団の襲来に備える。
だが、この戦いはすでに俺たちの勝利と栄光を約束している。
なぜか?
それは、
(くくく。この聖剣ラングリスの属性は『聖』属性。魔族に強力な攻撃力を発揮できるってーわけだぁ。不死かなんかしんねーが、元々は魔族ども。ラングリスの敵じゃねー)
だが、もちろん、そんなことはこの南部戦線にいる兵士どもはしらねーだろう。
とすればだぁ、
「俺自身の圧倒的勝利を見せつけるチャンスってことじゃねえかぁ。きへっへへっへ。アリアケどもノロマにこの戦功を譲る気なんてもったいねえ。この戦いで誤った評価を覆して、グランハイム国王に『やっぱり勇者がナンバーワン!』って言わせて土下座させてやるぜえ、ぐひひひひ!!!」
「ちょっと勇者! 口に出てるわよ! そういうのは内心でやって頂戴!」
デリアが俺をたしなめるようにいう。
俺たちの後ろには、この城塞の兵士たちがいるので聞かれるのを気にする仕草をする。
しかし、
「ここでの戦いの戦果や、城塞の兵士たちの評価を出来るだけゲットする必要があるのですから。それによって私たちはまた王都で贅沢三昧の生活に戻れるんですからねえ」
彼女も唇をニチャリと歪ませていた。
すると、
「そうだよ。慎重に行こうじゃん。でも、不死かなんかしんねーけど、あたしの超強力な魔法で木っ端みじんにしてやれば問題ないっしょ~。そしたらさ、ひひひ、また、あたしらが王都を歩くだけで、取材を受けたり、サインをねだられたり、貢がれたりする毎日がかえってくるんじゃん♪」
「ふ、俺はそんな周囲の目など気にはならんがな。だが、うむ、ここでは最高の戦いをする必要があるという意見には同意だ。そして、最大の評価を得たうえで王都へ凱旋し、衆目を一身にこの筋肉へ浴びなければならん! かつての栄光をこの筋肉に再び取り戻さねばなぁ」
プララとエルガーもそう言って、唇を大きく歪めたのであった。
「あの皆さん、そう大差なく、口から本音が駄々洩れしていますので、少し控えめにして頂けますか? (誤解は色々ありますが)皆さんが士気を上げていることは確かですので」
「「「「おっとっと」」」」
ティリスが腰に手を当てて嘆息しながら言う。俺たちは後ろをこっそりと見た。
兵士どもが、俺たちを憧れと尊敬の念を込めて見つめているのが分かった。
(ああ~、これだよこれ。一般大衆どもが俺を最上の存在として崇める姿勢。たまんないぜ~。んん~)
俺はその熱い尊敬のまなざしを堪能しようとする。
と、その時である。
「敵が出現します!!!!!!!!」
伝令兵が大声で叫んだ。
1キロほど先の森から、まるでウジ虫のように黒い影がはい出てくるのが見えた。
ぞろぞろと1万を超える大群が湧き出てくる。
だが、それは、
「おいでなすったな。不死(笑)の魔族軍どもよお」
俺は聖剣を天高くかざして、 鬨(とき) の声を上げる。
「付いてこいお前らぁ! この戦いは勇者ビビア・ハルノアが必ずお前たちを勝利に導いてやるからよお!!!!」
その言葉に……。
「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」」」」」
兵士どもの士気もけた違いに上がった。
「ぐひひひひひひひひ!!!!! これだよこれえ! よっしゃあ! 行くぞぉ、勇者パーティーが一番乗りだああああああああああああああ!!!」
俺は戦場の主役であることに高揚しつつ、敵陣へと突っ込んだのである。