軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

170.太陽神、鑑定士の力を侮り敗北

鑑定士アインが、霊装を習得してから、数日がたったある日のこと。

天界。

宮殿にて。

ーーそれでは、個体名アイン・レーシック抹消任務は、【オリュンポス12神】が1柱【太陽神アポロン】に任せるとする。

真っ白い空間の中央に、一人の優男が出現する。

高身長、筋肉質の体を持った美男子だ。

頭の上に月桂冠をかぶっている。

「そりゃないよ、親父殿。おれっちってば可愛い子ちゃんとのデートが秒単位で入ってるんだけど~?」

やれやれ、とアポロンがため息をつく。

「つーか、【12神】の誰でも良いなら、わが妹【アルテミス】でもよくね? あの子ほら、おれっちとちがって独り身でデートの予定なんて皆無だろうし~」

そのときだ。

アポロンの眉間めがけて、矢が放たれたのだ。

音を、光を超えた、超スピードの矢。

認識することなく絶命する一撃を……。

「ひっで~よアルテミス。死んだらどうするのさ~」

アポロンは片手で、余裕でつかんでいた。

ーー次、 妾(わらわ) を侮辱したら殺す。

「おー、こわいこわい~」

ーーアポロン、アルテミス。児戯はやめよ。

「はいはい~っと。んで、親父殿。遊びに行って良い~?」

ーーアイン・レーシックを殺したならば、下界でおぬしが何をしようと止める気はない。

「お? まじ~? やったねー。久しぶりに下界の女と遊べるじゃん!」

ーーアポロンよ。任務を忘れるでないぞ。

「わ~かってるよ。つーかあれっしょ? 相手って人間なんだベ? 楽しょ~でしょ?」

アポロンは映像を記録しておく 結晶(クリスタル) を懐から出す。

「何この貧弱そうな男~? 女かと思ったわ~。こんな弱そうなやつに負けるなんて、下界のやつらはほ~んとレベル低いよね~」

ふふん、とアポロンはアインの姿を見て鼻を鳴らす。

「てゆ~か親父殿。おれっちが行ってまじでいいわけ~? おれっちの神器【 太陽神の弓(アポロン・アロー) 】は下手したら地上を火の星に変えちゃうけど、いいの~?」

ーー神の手により世界がそう変遷するのなら、それもまた運命だったということだ。

「まっ、下界の女と遊びたいから、多少手加減しよっかな~」

アポロンは黄金の弓を手に、宮殿を出て行こうとする。

ーー兄上。しくじるなよ。

「誰に言ってるんだよアルテミス~。おれっちは太陽神だぜ? 負けるわけないっての~」

ーー負けることなどもとより想定していない。太陽の神の名前に恥じぬ、強さを下界に見せつけよということだ。

「おれっち頑張るのとか超苦手なんだよね~。てゆーかこんなやつに本気とか必要なくね~?」

軽薄な笑いを貼り付けたアポロンは言う。

「人間はおれっちを認識すらできないわけっしょ~? 適当に遠くから矢を打つだけで勝ち確定じゃん。よゆーよゆー」

ひらひら、と手を振り、アポロンは天界を出て、地上へと向かった。

人間界は別の次元に存在する。

神のみが、天界との間にある【次元の壁】を突破できるのだ。

ややあって。

「到着~。あそこの町にアインがいるのね~」

眼下には人間の国の王都がある。

「さっさと女と遊びたいから、あの王都ごとアインをぶっ飛ばしますか~。わるいね、王都のお嬢様がた」

アポロンは黄金の弓を構える。

弦を弾くと、炎の矢が自動で生成される。

「んじゃ、ばいび~」

ぱっ! と手を放つ。

炎の矢が、神速で王都へと飛来する。

矢が町の建物にぶつかった瞬間……。

どごぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん!!!

「あっちゃ~。あれもしかしてやりすぎた~? もしかして王都だけじゃなく国まるごと破壊しちゃった系~?」

爆発の煙で、周囲が何も見えない。

「んま、これで任務完了完了。獣人国でもいって、けもっ子たちをかわいがるとするか~?」

と、そのときだ。

「ん? んん~? あれ……? なんか……王都、無事じゃね?」

黒煙が晴れると、そこには無傷の町があった。

「お、おかしくね~? だっておれっちの矢の直撃を受けたんだけど~? あれあれ~?」

目をこする。

だが何度見ても、人間の国と王都は無事だ。

「ま、まあ矢があさっての方向にとんでいっちゃたんだろ~? うん、そういうことだよね~?」

うんうん、と目の前の事態に光景に対して、結論を出す。

「ん? 今の騒ぎで、誰か出てきたくね? あれか、アインってガキは」

王都の草原に、ひとりの少年が立っていた。

「なんか……写真と雰囲気ちょ~っと違うけど、ま、いっか」

アインは白装束を身に纏っている。

髪の毛も金髪で、ポニーテールのようにしている。

服装も髪型も違うが、魂の形でアインと判別できた。

「好都合だ。アイン、別にきみに恨みはいっさいないけど、親父殿の命令だ、悪く思うなよ~?」

アポロンは弓を構える。

「見えてない相手に矢を放つのはちょ~っと心苦しいけど、ま、神にけんか売ったのが運の尽きってことで、あきらめてね~」

ぎり……と弦を弾いて、矢を放った。

「はい勝ち~。はい余裕~」

炎の矢は、アインの側頭部へと激突する……その寸前。

アインが矢を、見たのだ。

「なっ!?」

アインは聖剣を取り出し、矢に向かって、剣を振るった。

パリィイイイイイイイイイイイイン!

「ば、馬鹿な!?」

アポロンの矢は、アインの剣によって弾かれる。

すさまじい早さで矢が飛翔する……アポロンの眉間めがけて。

「うぉおおおおおおお!」

アポロンは必死の形相で、矢をよける。

必殺の矢はアポロンに当たることなく、空へと消えていった。

「な、なんなんだ!? 神の矢は見えてないはず!」

アポロンがアインを見下ろす。

そして……アインもまた、アポロンを見上げた。

「そこか」

アインと目が合った瞬間、彼が消えた。

「ど、どこいった!?」

ザシュッ……!

「うぎゃぁああああああああああ!!」

背中にすさまじい痛みを感じて、アポロンは地上へと墜ちる。

無様に顔から、地面に激突した。

そのそばにアインが立ち、手に持った聖剣を、振りかぶろうとする。

「ひっ……!」

アポロンはそれを見て、小さく悲鳴を上げてしまった。

「こ、このおれっちが……びびっているというのか! そんなことはあってはならないぃいいい!」

アポロンは本気の一撃を、アインめがけて放つ。

刹那。

パシッ……!

「はぁああああああ!? つ、掴んだだとぉおおおおお!?」

炎の矢をアインは、平然と掴んだのだ。

それを離すと、手に持った聖剣で、アポロンを切りつける。

ズバァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!

「ばか……な……。神を……殺すなんて……化け物……め……」