軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

EP 10

【大団円】最強の学校、法的にも「無敵」になる

カイト分校の屋上。

そこから見下ろす景色は、まさに壮観の一言だった。

外壁は、元・魔人サルバロスが築いた『絶対防御の石垣』。

校舎は、世界樹とダイヤモンドで作られた『神話級要塞』。

グラウンドには、ドワーフ王ガンテツが整備した『対衝撃フィールド』。

そして何より、校門には新しい看板が掲げられていた。

『学校法人 カイト学園(認可済み)』。

その看板の前には、『関係者以外立ち入り禁止(法的措置を取ります)』という、リベラ直筆の恐ろしい警告文が貼られている。

「……完璧ですわ」

屋上で風に吹かれながら、理事長リベラは満足げに頷いた。

「物理的障壁、魔法的防衛力、そして 社会的法的保護(コンプライアンス) 。これほど完璧な『聖域』は、世界広しといえどここだけですわ」

「ああ、リベラ殿……! 夢のようだ!」

隣に立つ事務長ルーベンスは、完成した「財務諸表」と「運営マニュアル」を抱きしめ、男泣きしていた。

「見てくれ、この美しい帳簿を! 今まで『使途不明金(ルチアナの菓子代)』だらけだったのが、1ゴールド単位で管理されている! これで私の胃薬の量が半分に減るぞ!」

「ふふ、当然ですわ。これからは私たち『事務方』が、この無法者たちをコントロールしていくのですから」

リベラとルーベンスはガッチリと握手を交わした。

最強のタッグ結成である。

校庭では、今日も賑やかな声が響いている。

「そこだアレン! 逃げるな、ブレス(火球)に飛び込め!」

「あははは! 熱いよデュークおじちゃ~ん!」

竜王デュークとアレンが、爆発の中で楽しそうに走り回っている。

教室からは、

「はい、ここテストに出るわよ~。プロミネンス・シュートの詠唱破棄、3秒以内でできないと赤点だからね~」

「先生! 山が燃えてます!」

ルナ(大賢者)による、相変わらず危険すぎる理科の授業が行われている。

だが、もう以前のような混乱はない。

なぜなら、

「こらルナ! 実験は結界の中でやれと言っただろ! 始末書を書かせるぞ!」

「ぶー、ルーベンスさんのケチぃ~」

ちゃんと「管理」が行き届いているからだ。

「……うん、いい学校になったね」

食堂のテラス席で、カイトはコーヒーを啜りながら目を細めた。

テーブルには、龍魔呂が淹れた極上のコーヒーと、リベラが夜なべして焼いた手作りクッキーが並んでいる。

「ああ。騒がしいが、悪くない」

エプロン姿の龍魔呂が、タバコ(Lark)をくゆらせながら同意する。

「ガキどもも、俺の飯を食って順調に育ってる。……まあ、育ちすぎて昨日、魔族のガキが岩盤を素手で砕いていたがな」

「あはは、元気で何よりだよ」

カイトはクッキーを手に取り、サクッと齧った。

バターの香りと、優しい甘さが口いっぱいに広がる。

「美味しい。リベラちゃんのクッキーは、心がホッとする味だね」

「……あら、聞こえてましたの?」

仕事を終えたリベラが、ルーベンスと共にテラスへやってきた。

彼女はカイトの言葉に少し顔を赤らめ、咳払いをした。

「お粗末様ですわ。……さあ、皆さんもどうぞ。今日は『開校記念パーティー』ですもの」

「わーい! リベラちゃんのクッキーだ!」

「我にも寄越せ! 糖分が足りん!」

休憩時間になったアレンや神々、生徒たちがワッと集まってくる。

最強の 剣(カイトたち) と、最強の 盾(リベラたち) 。

そして、命を育む食事(龍魔呂)。

全員が笑顔でクッキーを頬張り、コーヒーで乾杯する。

西日が差し込むその光景は、どこまでも温かく、幸せに満ちていた。

「よし! これで安心して農業と勉強ができるね!」

カイトが立ち上がり、高らかに宣言する。

「世界一楽しくて、世界一強い学校にするぞー!」

「「「おー!!」」」

歓声が空高く吸い込まれていく。

カイト農場の「学校建設編」、これにて一件落着――。

「よし! これで安心して農業と勉強ができるね!」

カイトが立ち上がり、高らかに宣言する。

「世界一楽しくて、世界一強い学校にするぞー!」

「「「おー!!」」」

歓声が空高く吸い込まれていく。

カイト農場の「学校建設編」、これにて一件落着――。

――その頃。

カイト農場から遠く離れた、大陸の夜を支配する眠らない街、『 天魔窟(てんまくつ) 』。

極彩色のネオンが輝く最上階のVIPスイート。

シャンデリアの下、フカフカのクッションに寝そべりながら、宙に浮く 映像(モニター) を眺めている少女がいた。

背中には小さな黒い翼。

クルクルと巻かれたツインテール。

フリルたっぷりのゴシックドレスに身を包んだその姿は、誰もが振り返る愛くるしい美少女だ。

「……ふふっ。随分と楽しそうじゃない、カイトお兄さん♡」

彼女の手には、葉巻……ではなく、カラフルなペロペロキャンディが握られている。

キャンディを舐めながら、彼女は妖艶に、かつ無邪気に微笑んだ。

この街の支配者にして、大陸全土の富を吸い上げる『CR 異世界転生』の生みの親。

賭博王・キュルリン。

「リベラちゃんまであっちに付いちゃうなんて、誤算だゾ☆ あの堅物メガネ、私のカジノで破産させてあげようと思ってたのにぃ」

キュルリンはプクッと頬を膨らませた。その仕草はアイドルのように可愛らしいが、彼女の周囲には、屈強なオークの用心棒たちが直立不動で震え上がっている。

彼女の機嫌一つで、この街の 金(ゴールド) の流れが止まるからだ。

「まあ、いいや♪ 学校なんて『退屈』なもの、私がもっとドキドキする場所に変えてあげる」

彼女はモニターの中のカイトを指先でなぞった。

「待っててね、カイトお兄さん。……その農場、ぜーんぶ私の『カジノ・リゾート』にしちゃうから♡」

キュルリンは立ち上がり、ウィンクを決めた。

「さあ、パーティー(賭け)の始まりだヨ! 私の愛(欲望)で、骨の髄までしゃぶり尽くしてあげる!」

最強の学校の次は、最カワ&最凶のギャンブル女王が動き出す。

カイト農場の明日は、どっちだ!?