軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

EP 7

教師陣の選定(面接という名のカオス)

「それでは、第一回『カイト分校(仮)』職員会議を始めます!」

カイト邸の広いリビングに、カイトの明るい声が響いた。

長テーブルを囲むのは、この世界の「頂点」に君臨する面々だ。

* 創造神ルチアナ(ポテチを箸で食べている)

* 魔王ラスティア(カイトの横をキープし、上機嫌)

* 竜王デューク(ラーメンの仕込み中でエプロン姿)

* 狼王フェンリル(椅子の上で胡座をかいて欠伸)

* 天使長ヴァルキュリア(メモ帳片手に真剣な表情)

そして、末席で胃薬を握りしめているのが、魔族宰相ルーベンスと、元聖女セーラである。

「議題は『担当教科の割り振り』だよ。みんな、子供たちのために協力してくれるよね?」

カイトがニコニコと問いかけると、ルチアナがポテチを噛み砕きながら挙手した。

「はーい。私は『校長』がいいわ。響きが偉そうだし、実務はしなくていいんでしょ?」

「うん、ルチアナは神様だし、看板にはぴったりだね! 採用!」

「ちょっ、カイト殿!?」

ルーベンスが即座にツッコミを入れる。

「『看板』としては重すぎます! 校長が創造神とか、入学式で父兄が全員失神しますぞ!?」

「えー? でも他にやることもないし……」

「……ぐぬぬ。(確かに、この駄女神に授業をさせるよりは、校長室で寝ていてもらった方が被害は少ないか……)」

ルーベンスは苦渋の決断で黙認した。

だが、悪夢はここからが本番だった。

「次は魔法の先生だけど……」

「私に任せなさい、カイト」

魔王ラスティアが艶然と微笑み、黒い魔力を指先に纏わせた。

「私の『重力魔法』と『闇魔法』を基礎から叩き込むわ。まずは『ブラック・ホール』の生成と、空間圧縮によるゴミ処理術からね。家庭でも役に立つでしょう?」

「おおー! 実用的だね!」

「どこがですかッ!!」

セーラが悲鳴を上げた。

「幼稚園児や小学生にブラック・ホールを教えないでください! お掃除で家ごと消滅します!」

「あら、セーラ。甘いわね。力とは制御よ?」

「そういう問題ではありません!」

「じゃあ、私も手伝いますぅ~」

ふんわりとした声で、エルフのルナが手を挙げた。

「私は『理科』と魔法を担当しますね。植物の育て方とか得意ですし」

「ああ、ルナなら安心……」

セーラが胸を撫で下ろしかけた時、ルナが付け加えた。

「あと、この前覚えた『プロミネンス・シュート(恒星の炎)』で、焼き芋の焼き方も教えますね」

「却下です!! 山が消えます!!」

魔法科教師:魔王と大賢者(災害係)。

ルーベンスの胃薬が一本空になった。

「じゃあ、体育は俺たちだな」

腕組みをした竜王デュークが、ニヤリと笑う。隣のフェンリルも好戦的な笑みを浮かべた。

「俺様のブレスを避けさせる『ドッジボール』。基礎体力作りには最適だろう」

「俺は『鬼ごっこ』だな。捕まったら絶対零度で氷漬けにする。解凍されるまでの根性を鍛えるんだ」

「それは体育じゃない! 『処刑』だ!!」

ルーベンスが机をバンッと叩いた。

「いいですか皆さん! 生徒は子供です! アレン様や魔族の子とはいえ、死にます! 普通に死にます!!」

「え~? 大丈夫だよルーベンスさん」

カイトが不思議そうに首を傾げた。

「ポチだって、僕が 鍬(くわ) で小突いても元気だし、子供たちも結構頑丈だよ?」

「貴方の『小突く』は、隕石衝突と同義です!! 基準を貴方に合わせないでください!」

ルーベンスの絶叫が虚しく響く。

校長はニート、魔法は戦略兵器、体育はサバイバル。

まともな科目が一つもない。

「……はぁ、はぁ。もう終わりだ……この学校は、魔王軍の養成所より酷い……」

ルーベンスとセーラが絶望に沈んでいた、その時だった。

ガチャリ、と扉が開き、いい匂いが漂ってきた。

「……茶が入ったぞ。休憩にしろ」

お盆を持って現れたのは、鬼神・龍魔呂だ。

湯気の立つ緑茶と、手作りのカステラ(ザラメ多め)が人数分置かれる。

「龍魔呂さん! 給食の方はどう?」

カイトが尋ねると、龍魔呂は懐から一枚のメニュー表を取り出した。

「ああ。育ち盛りのガキどもだ。栄養バランスと『味』を最優先にした」

* 月曜: じっくり煮込んだ特製ビーフカレー(Sランク肉使用)

* 火曜: 黄金トライバードの唐揚げ&卵スープ

* 水曜: ピラーズの塩焼き定食(骨抜き済み)

* 木曜: ロックバイソンのハンバーグ

* 金曜: 龍魔呂特製・お子様ランチプレート

「……野菜も細かく刻んで入れてある。好き嫌いはさせん」

その完璧すぎる献立を見た瞬間、セーラが泣き崩れた。

「龍魔呂さぁぁぁん!!」

「……なんだ、うるせぇな」

「貴方だけです……! 貴方だけが、この狂った会議の中で唯一の『良心』です……!」

セーラは龍魔呂の手を拝んだ。ルーベンスも深く頷き、涙目で敬礼している。

元・処刑人の作る給食だけが、この学校における唯一のオアシスになることが確定した瞬間だった。

「ん? よく分からんが……残さず食えばそれでいい」

龍魔呂は照れくさそうに顔を背け、角砂糖を齧った。

「よし! これで教師陣は決まりだね!」

カイトがパンと手を叩き、満面の笑みで宣言する。

「校長ルチアナ、魔法ラスティア&ルナ、体育デューク&フェンリル、給食は龍魔呂さん! そして事務長はルーベンスさん、保健室はセーラさんとヴァルキュリアさん!」

「(……保健室にヴァルキュリア? あいつも大概『脳筋』だが大丈夫か……?)」

ルーベンスの一抹の不安をよそに、カイトは拳を突き上げた。

「世界一楽しい学校にするぞー!」

「「「おー!!」」」

神々の声が重なる。

その楽しげな光景を見ながら、セーラは遠い目で呟いた。

「アレン……強く生きてね。お母さん、毎日祈ってるから……」

こうして、史上最凶の教師陣による『カイト分校』のカリキュラムが決定した。

開校まで、あとわずか。