作品タイトル不明
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ハイスークの領主が可能な限り内密かつ迅速に遷都計画を推し進めていた頃。街づくり好きな迷宮核は、穢れ山ダンジョンの迷宮リフォームに手を付けていた。
ここに作った冒険者の街と山城の管理は、元穢れ山の中腹の魔核に担当してもらう。街や城内の各種ギミックに不備が出ていないか、壁や床の損傷・汚れ具合の監視など。
「穢れ山シティ内で犯罪が起きた時の対処はこんな感じで」
『――』
元穢れ山の中腹の魔核に、街の管理運営方針と段取りを教え込んだ街づくり好きな迷宮核は、地下迷宮を一時封鎖。改装作業中の立て札を出しておく。
一応、改装中でもダンジョンの恩恵を受けられるように、入ってすぐの一層をかなり広い間取りにして、魔物の発生エリア、魔草採取エリア、魔鉱石採掘エリアをそれぞれ敷設。
基本的にフロア全体が明るく、魔物の発生エリア外は全て休憩ポイントのような環境にして安全にも配慮。
各エリアの前には『順番に使うように』と促す立て札を設置してある。場所を独占するグループが居たら警告後、外へ強制排除される仕様だ。
もはや 地下迷宮(ダンジョン) というより、 地下迷宮風遊戯施設(ダンジョンテーマパーク) になっているが、リフォーム後も似たような構成にするので問題ない。
「後は地下の階層ごとに環境を整えるとして、階層ボスとかの設定をどうしようかな」
この世界の標準的な危険なダンジョンにするつもりはないが、何の危険もなく下層まで降りられる環境にするとそれはそれで問題がありそうなので、訓練施設的なイメージで考える。
「冒険者の育成もできるスポーツセンターみたいな感じにするか」
穢れ山アドベンチャーセンター。地下街を作るのも面白そうだが、まずは地上の街を充実させてからだ。
「地下施設は利用者の要望も取り入れながら作りたいから、早く領主さんの街も繋がなきゃな」
ハイスークの領主から寄せられた手紙は、街づくり好きな迷宮核にきちんと届いていた。それを確認したのは穢れ山ダンジョンを攻略した後だったが。
集金穴に投函される、住人達からの要望の手紙の中にやたら豪奢な封筒が交じっていたので、何だろうと確かめてみたら、なんとこの地方を治める領主からの手紙だったのだ。
穢れ山を城に変えた後に届いた二通目の領主の手紙に、領都をこちらに移したい旨が書かれていたので、それを手伝うべく今は領都ハイスークに向けて領域化街道を伸ばしている最中である。
ハイスーク領に関する情報は、西の森の魔核が穢れ山の魔核を摂り込んだ際に、大量の魔素と共にごっそり手に入った。
何せ、穢れ山ダンジョンはこの地方に存在するそこそこ歴史あるダンジョンである。ここを訪れた多くの人間を吸収しているので、それらの記憶情報の蓄積も相当なものだ。
古過ぎて参考にならない情報も多いが、ここ最近までの記憶情報も少なくない。
「スクールの街にも接続許可をもらってるし、西の森の村とスクールとハイスーク、それに ここ(穢れ山) を繋いだら人の往来も一気に増えそうだな」
他にもハイスーク領には小規模の街や村、集落が点在しているので、領内にある全ての街村を繋いで交通の便を整えれば、一国に匹敵する地域経済圏を領内に確立できる。
「まあ、経済の運営とかは領主さん達に任せてしまおう」
自分が作りたいのは街であって国ではないとする街づくり好きな迷宮核は、元穢れ山の中腹の魔核に街と山城の管理引き継ぎを済ませると、引き続き地下施設用の設備考案に入った。
領都ハイスークへの領域化街道構築は半ば自動化しているので、時々様子を見るだけでいい。
『なんだこれは……どうなっているのだ』
元穢れ山の麓の魔核の、そんな戸惑ったつぶやきを拾った街づくり好きな迷宮核は、『君の役割はまだ先になるから』と今後の構想を少し明かす。
「君には訓練施設全般の管理を任せようと思ってる。出番が来たら働いてもらうから、それまでは待機でよろしく」
『へ?』
戦闘関連の訓練施設を作れば、一対一から集団戦、敵ユニットの組み合わせなど、多種多様なシチュエーションでの戦闘訓練をおこなえるようにするので、それらの管理を任せる予定だ。
街づくり好きな迷宮核がいつも通りに街の施設や設備作りに没頭している隣で、元穢れ山の麓の魔核は、西の森の魔核に詰め寄っていた。
『お前とこの迷宮核なんなんだよ!』
『こっちが知りたい……』
『ダンジョンマスターだぞ! ダンジョン作れよ!』
『ほんとにな』
もはや達観している西の森の魔核は、憤懣やるかたない元穢れ山の麓の魔核のツッコミに同意するのであった。
そんな少し賑やかな西の森の奥にある迷宮の泉の底。
『――』
冒険者の街と山城の管理を任された元穢れ山の中腹の魔核は、仮迷宮一層の各エリアで場所を独占して利用料を徴収しようとしていた悪質な冒険者グループを強制排除したり、街のそこら辺に投げ捨てられたゴミを吸収したり、外壁の傷んでいる箇所を修復したりと、忙しく働いていた。