作品タイトル不明
79.ショック石探し
「よし。ミシングの葉はこれで十分。次はショック石だね」
森の中で見つけた大量のミシングの葉を【素材保管】に詰めながら、小さく頷く。これだけあれば、多少失敗しても問題ないだろう。あとは、残りの素材、ショック石を手に入れるだけだ。
「確か、ショック石は山か川にあるって書いてあったよね」
頭の中でノートの内容をなぞる。山に行くのが一番確実だろうけど、距離があるし今の私には少し厳しい。
「となると、川かな」
本来は山で採れる石だけど、崩れた岩が川に流れ着くこともある。なら、下流に転がっていてもおかしくない。問題は、どこを探すかだ。
「……川に詳しい子に聞くのが一番早いか」
川で遊んでいる子供たちなら、石の場所にも詳しいはずだ。そう考えて、私はそのまま川へと足を向けた。
やがて、水のせせらぎに混じって、楽しそうな笑い声が聞こえてくる。
「よかった、今日もいるみたい」
少し足取りを速めて川辺に出ると、案の定、子供たちが水遊びに夢中になっていた。
「みんなー!」
声を張ると、何人かがぱっと顔を上げる。
「あっ、ルイだ!」
「久しぶりー!」
「今日は遊びに来たの!?」
ぱしゃぱしゃと水しぶきを上げながら、子供たちが一斉にこちらへ駆け寄ってくる。その無邪気な様子に、思わず頬が緩んだ。
「残念だけど、今日はお仕事だよ」
「えー、そうなのー?」
「それでさ、少し手伝ってくれないかな?」
「ルイのお手伝い? する! 何々!?」
「この川で突然破裂する石とか拾わなかった?」
本題を伝えると、子供たちは難しい顔をして考えた。すると、一人の子供が思い出したように手を叩く。
「それならあるよ! 川で走っていたら、突然川底が破裂したことがあったんだ」
「あっ! それそれ、それが欲しいの! この辺りにありそう?」
「うーん。この辺りにはあまりなさそう。でも、もう少し上流に行けばあるんじゃないかな?」
「上流か……」
あることはあるけれど、どうやらここでは数が少ないらしい。それなりの数を採取したいから、ここは多い場所に移動したい。
「分かった。じゃあ、ちょっと上流に行って探してくるよ」
「川底の石探し? それなら、俺たちも行くよ」
「ルイとなら上流に行っても、お母さんたちが許してくれそうだからね」
「この機会に上流で遊ぼうぜ!」
お手伝いを言い訳にして、普段遊ばない上流で遊ぶ気だな? でも、こうしてお手伝いを申し出てくれるのは助かる。
「じゃあ、みんなで上流に行こうか」
「やったぁ! 行こう、行こう!」
「久々に上流で遊べるぜ!」
「楽しみー!」
子供たちは嬉しそうに声を上げて飛び跳ねた。本当にお手伝いしてくれるのかな?
◇
「上流についた!」
村から離れた川の上流。川幅が広くて深い。岩や石がゴロゴロと転がっており、いつもいる穏やかな川とは大違いだ。
「じゃあ、探そうか!」
「先に遊ばなくていいの?」
「遊びながら探す! 俺は川の中を探す!」
「私は岸を探そうかな」
てっきり、先に遊ぶと思っていた子供たちが一斉にばらけて、石を探し始めた。村の子供たちは働き者で本当に助かる。
「じゃあ、私も負けてられないね」
腕まくりをすると、岸に転がっている石を一つずつ見ていった。
「そういえば、ルイ。どんな、石を探せばいいの?」
「少し赤っぽい石だよ」
「分かった! みんなー、少し赤っぽい石を探してー!」
「分かった!」
「りょーかい!」
子供たちの気持ちのいい返事が返ってきた。それから、じっくりと岸を歩き回って石を探す。
えーっと、赤っぽい石……。ん? あれかな? どれどれ、鑑定を……。
【石】
・ただの石
「んー、違うか」
どうやら違ったみたいだ。まぁ、そう簡単に見つかるわけないよね。
その後も集中して石を探していく。すると、子供たちが集まってきた。
「見て、ルイ! こんなに赤っぽい石があったよ!」
「この中にあるか見て!」
「絶対、あるよな!」
沢山の石を抱えて集まってくれた。
「ありがとう。じゃあ、確認してみるね」
私は一つ一つに鑑定を施して、ショック石を探す。これは違う、これでもない、これは――。
【ショック石】
・擦り合わせると衝撃が走る石
「あっ! みんな、あったよ!」
「本当!? どれ、どれ!?」
「この石! この石を探していたんだよ」
「なるほど、この石か。じゃあ、これに似た石を沢山見つければいいんだな」
「うん。お願い出来る?」
「もちろん! 早く沢山見つけて、上流の川で遊ぶんだ!」
「よっしゃー、沢山見つけるぞー!」
ショック石を確認した子供たちは一目散に走っていった。この様子なら、きっと沢山見つけられるだろう。
一人で探すのは大変だったから、子供たちには感謝だ。これは、素材が見つかった後は、沢山遊んで上げないといけないな。