軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

59.薬師協会専属の冒険者(3)

「話がまとまって良かったよ! じゃあ、具体的な話に移ろうか」

スウィンのその一言で場が少し和んだ。肩の力を抜くと、スウィンが話を進めてくれる。

「ルイは具体的に何を依頼したいんだい?」

「私が依頼したいのは、素材採取の護衛ですね」

「ふむ。となると、私は素材採取をしなくてもいいのか? これでも、素材採取の経験がある。きっと、素材採取も協力出来ることがあると思う」

「えっ、そうなんですか? だったら、手伝って欲しいです!」

アルビスさんが素材採取まで出来るなんて! それは凄く助かる!

「それで、採取したい素材はどれだ?」

「この素材なんですけれど……」

私は素材の名前が書いた紙を見せた。すると、アルビスさんは分かったように頷く。

「なるほど、風邪薬の素材か」

「えっ!? 分かるんですか?」

「薬師に依頼されて素材採取をした事があるからな。この素材なら、ある場所は分かっている。俺に任せろ」

素材を知っているだけじゃなくて、素材の場所も知っているなんて! アルビスさん、凄く頼りになる!

「それで、魔物の名前も書いてあるが……」

「えーっと、この『モーンワーム』も風邪薬の素材にしたいんです」

「ほう、風邪薬に新しい素材を使うのか。新しい錬金術らしい選択だな。だったら、この魔物を捕縛か倒せばいいんだな」

「はい。出来ますか?」

「大丈夫だ。モーンワームなら戦ったことがある。力になれるだろう」

素材を知っているだけじゃなくて、その魔物とも戦ったことがあるなんて! この人に頼んでよかった! これなら、絶対に素材を入手することが出来る。

「風邪薬の素材にモーンワームの生息域。これを入手するには、二つの地域に行かなければならない。クレクスの大森林とヴェルーザ山の下層だな」

「もうそこまで分かるんですか?」

「これでも、薬師協会の専属冒険者をしている。薬師たちが使う素材ならほとんど俺が入手しているし、様々なところを渡り歩いたから魔物の知識もあるからな」

さ、流石薬師協会の専属冒険者。頼りになるっていうレベルじゃない。これはもう、アルビスさんに全部お願いしてもいいんじゃないだろうか?

だけど、素材は新鮮な内に保存しておきたいし、魔物の素材もどこが効力があるか分からないから自分も行った方がいい。

「この内容だと、大体一週間はかかるだろう。一週間分の旅の準備が必要だ」

「分かりました。準備してきます」

「これで内容は決まったな。じゃあ、具体的な依頼料だが……これくらいか」

すると、アルビスさんが紙に数字を書いて、それを渡してくる。ドキドキしながら見てみると――。

「二十一万デル!?」

ウチの一人当たりの一日の食費が千デルくらいなのに、その二百十倍!? 二百十倍!?

「えっと、これでも安くなっているよ?」

「あぁ、本来なら三十万デルは軽く超える」

「そ、そんな……」

私のひと月のおこづかいは一万デル……貯金は十万デル……。とてもじゃないけど、雇えない!

「す、すいません! お金、払えません!」

「……そうなのか?」

「でも、何か他のことでお金は払いますから! 何でも言ってください、何でもします!」

このままじゃ雇えないけれど、ここでアルビスさんを雇わなかったら大変な事になる。頭をテーブルに押し付けて、なんとか懇願する。

「……だったら、あのポーションをくれないか?」

「えっ? そんなものでいいんですか?」

「あれは凄い回復薬だった。きっと、売り出せば高値で取引されるだろう。だから、ポーションで十分だ」

「だったら、ポーションを上げます! 十本でも、百本でも!」

「いや、三本くらいでいいぞ」

やった! じゃあ、これでアルビスさんを雇えるってことだよね!

「じゃあ、これで本当に話がまとまったってことで」

「そうだな。そういえば、ルイは始めての旅になるのか?」

「はい。そうなんです」

「だったら、旅で必要な物も分からないだろう。その辺りも教えてやろうか?」

「えっ、いいんですか!? よろしくお願いします!」

アルビスさん、優しい! 至れり尽くせりとはこのことだ!

じゃあ、素材採取の旅に向けて準備をするぞ!

その後、アルビスさんと一緒に旅支度をした。最低限、必要な物を買い揃えて、私の貯金がほとんどなくなってしまった。

だ、大丈夫。今回の事で錬金術が認められれば、錬金術で作ったアイテムを売ることが出来る。そうなれば、きっとお金の問題も解決してくれるだろう。

いなくなったお金に別れを告げて、私は新しい一歩を踏み出す。絶対に成功させてみせるんだから!

そして、準備が終わり、王都を出発する日がやってきた。

「忘れ物はないか?」

「はい、大丈夫です」

「これから、一緒にいる仲だ。口調は砕けた方がやりやすい」

「……そう? だったら、普通に話すね!」

普通に話すと、それだけでアルビスさんの表情が和らいだ気がする。すると、アルビスさんが私を持ち上げて、馬に乗せた。次にアルビスさんも馬に乗る。

「移動は馬だ。歩くのは大変だろう?」

「ありがとう! でも、歩くのは大丈夫。これでも、田舎の森を駆け回っていたから」

「それは頼もしい。だったら、素材採取の時には活躍してもらおうか。じゃあ、行くぞ」

アルビスさんが馬の腹を蹴ると、馬がゆっくりと進み、次第に速く歩き始めた。今までとは違う場所での素材採取。とにかく、頑張って目的の物を探し出そう。