軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

義弟は恋慕する1(ナイジェル視点)

――もしかしたら、脈があるのではないだろうか。

ウォークインクローゼットでじゃれ合っている時の姉様の反応は、そんな都合のいい期待を抱かせるものだった。

どれだけ触れても本気で嫌がられることはなく、どこか熱のこもった瞳で見つめられる。薄桃色の唇を指で割って真珠のような歯に触れても、指先を甘く食まれるだけ。指を包む唇の感触に、私の心臓がどれだけ高鳴ったことか。清らかな姉様は想像だにしてないだろう。

陶然とした雰囲気の姉様は、甘やかな毒を内側に孕んだ薔薇のような美しさを湛えていて……。細い体を抱きしめ、組み伏せ、隅々まで彼女の味を確かめたいと、そんな獣性を内側に押し込めることに私は必死だった。

「どうして……そんなに見るの?」

姉様の手を引き、馬車へと向かう。その間もちらちらと見ていたことに気づかれ、唇を尖らせてそう問われてしまった。眉間には小さな皺が寄っていて、それを指先で解してさしあげたくなる。

「姉様が可愛らしいので、目が離せませんでした」

「――ッ!」

本心をそのまま伝えると、姉様の顔は真っ赤になる。彼女は唇を小さく噛み締めてから、つんと顔を背けてしまった。性懲りもなく横顔を見つめていると、姉様が横目をこちらに向けた。

「バカなことばかり、言わないの」

「心からの本心です。……姉様は可愛い」

「もう! 本当にお前はっ……」

姉様は頬に赤みを残したままうつむき、だけど私の手を握る手には力が強くこもる。

手を離すことのない彼女の様子に、心を許してくださっていることを感じて嬉しくなる。こちらからも力を込めると、華奢な肩がびくりと揺れた。

馬車へ導き、当然のように隣に腰を下ろす。『護衛がなぜ隣に座るの』なんて言葉は、私が近くにいることに慣れきった姉様からはもう零れない。

広い馬車の座席だけれど、離れて座るようなことはせずに姉様の方へとにじり寄る。

そしてぴたりと肩をつけると、抗議するような視線を投げかけられた。

「暑いわ、そんなにくっつかれると」

「私は……少し寒いです」

「……そうなの?」

「ええ、そうです」

「……それなら、仕方ないわね」

少し不満げな姉様だけれど、すぐに丸め込まれてしまう。……ここまで手緩く丸め込まれるなんて、少し心配になるな。

――他の男にはこんな隙は見せて欲しくない。特にテランスとかいうあの男には。

そんなことを考えていると、小さな手が伸びて私の手を握った。

驚いて、姉様を見ると――

「寒いの、でしょう?」

こちらを見つめて首を傾げながらそんなことを言ってくるものだから、背を丸めて悶絶しそうになるのを私は必死に堪えることになった。

――もうそろそろ。姉様に本当の『私』のことを明かしてもいいだろうか。

告げても……姉様は離れて行ったりしないだろうか。

私の愛を、受け入れてくれるだろうか。

……貴女が欲しい。私はずっと、姉様だけを渇望している。