軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

39話 ◯◯◯◯◯◯は仲間になりたそうにこっちを見ている

「た、助かったのです。ありがとうなのです」

ペコリとお辞儀をするフィギュアサイズの下半身地中に埋まった裸の幼女。

字面だけなら事案である。がこの幼女、当然人間ではない。

髪の色は緑、というか葉っぱだ。大きな瞳は赤く、肌の色もやや緑がかっている。黄緑をさらに薄くして白色に近い薄緑色だ。勿論サイズも人間の子供より遥かに小さい。あと裸だがラインだけで色々と付いてない。臍もない。

“かわよ”

“きゃわわ!”

“正に萌え!”

“だが魔物だ”

“てかマンドラゴラ……だよな?”

“あんなマンドラゴラがいてたまるか!”

“変異種?”

“てか普通に喋ってるし”

“このおっさん、変異種の遭遇率高すぎん?”

マンドラゴラ。最早お馴染みとなりつつある魔物、というか植物。根が人の形をしていて引っこ抜くと叫び声をあげ、対象を死に追いやる。その根は様々な薬の素材になるとされ、一説にはかの 万能薬(エリクサー) の素材だとか。尚、魔物としては最弱の部類だが、即死攻撃と希少性からあまり出回らない。一応魔物図鑑に載ってるし、その容姿も描かれているのだが……

こんな可愛くないぞ。

「ええと、キミはマンドラゴラ、なのかな?」

「はいです。マンドラゴラなのです」

はいまた変異種ですよ。バグベア、 カースソーサラー(黒卑弥呼) に続いて3体目。けどかなり友好的だ。そういや稀にいるらしい。友好的な魔物が。

「とりあえず、助かって良かったな。じゃ」

「あわわわわ、待って、 待ってくださいなのです! このまま放置されたら今度こそ食べられちゃうのです!」

マンドラゴラが靴にしがみつく。

“マンドラゴラその場から動けんしな”

“けどどうする事も出来んべ”

“けどかわいそう”

気持ちは解る。

マンドラゴラはウルウルとした瞳でこっちを見ている。なんというか、ほっとけない。

“マンドラゴラは仲間になりたそうにスコおじを見ている”

“仲間にしますか?”

“→はい

YES”

“実質一択じゃんw”

“一応言っとくが、テイムはスキルじゃないから誰でも使えるし、どの魔物もテイム出来るからな”

“ボスはテイム出来んが”

“時々スライムとか角兎とか連れてる女性探索者いるな”

“この前ダークプリースト(♀)連れてる男の探索者いた”

“ダークプリーストに何させてるんだろ”

“そりゃナニだろ”

“回復魔法な”

確かにダークプリーストは回復魔法使えるからかなり優秀だ。テイムしたらそりゃ色々楽になるだろう。

「えっと……仲間になる?」

マンドラゴラがパァッと、満面の笑みを浮かべ。

「はいです!」

嬉しそうに言った。

さて、この子を仲魔……もとい、仲間にするのはいいとして、問題点が2つ。

1つは自分ならなんとでもなるから何の問題もないが、もう1つは……

”名前、どんな名前がいいのかな?“

”可愛いのがよくね?“

”フランソワとか?“

”それ男性名だぞ“

”それなら女性である私が。ズバリ! オナ“

”オナ?“

”オナ?“

”なんか途切れてね?“

”変態ネキのことだから絶対マズい名前にしようとしたな“

オナ……その続きがなんなのか気にならない訳ではないが、兎に角名付けだ。自分のネーミングセンス、微妙なんだよな……

「うむむ……」

マンドラゴラ……マンドラゴラ……マンドラ……

「よし! 今日からキミは『マンドラちゃん』だ!」

”草“

”草“

”安直すぎて草“

”けどそこまで変な名前ではないな“

”オナ……の続きが気になるが絶対碌でもない名前だろうからこっちでいいんじゃね?“

”てか、そもそも従魔にするんだからスコおじが名前付けんとな“

”まあスライムにスラ◯ンて付けるヤツおるしな“

”ボクは悪いスライムじゃないよw“

「マンドラちゃん……ハイ! マンドラちゃんは、マンドラちゃんなのです! よろしくなのです! えっと……パパ!」

「パパ!?」

”あっ“

”おい“

”よりにもよってパパ“

”おまわりさんコイツです“

”おさわりまんコイツです“

”微妙にいかがわしいですわね“

”お前が言うな“

”お前にだけは言われたくない“

”はぅんっ!“

「あ、あれ? 駄目ですか? なんかマンドラちゃんの頭の中に入ってきたのです。そこでパパが女の子にパパって呼ばれてたのです。だから……」

ああ、この子を従魔にしたからなのかな。自分とパスみたいなのが繋がって、自分の記憶が流れたのだろうか。

この子が見た女の子は陽茉莉だろう。それもまだ自分に懐いてた頃の。

まあ自分の子育てな仕方が悪かったのか、はたまたあの2人の血を継いでたからなのか、それとも元からなのか。中学生に上がる前辺りから自分を見下し、平気で人を虐めるような娘になってしまったが。

けど、小さい頃の陽茉莉は確かに可愛かった。少なくとも良い子だった。それは事実だ。

それにこの子が「パパ」と呼んでくれると、実際に新たな娘が出来た気がする。

「いや、構わないよ。自分はマンドラちゃんのパパだ」

「はい! パパはマンドラちゃんのパパなのです! パパ! パーパ!」

なんと純真な子なんだろうか。やはり自分はどこか荒んでいたのかもしれないな。

”うーむ、マンドラちゃんを人間大の大きさにすれば確かに違和感はない。ないのだが……“

”スコおじ、ロリコン疑惑“

”事案“

”或いはひんぬーが好み?“

”あら? 私ひんぬーでしてよ“

”どーでもいーよお前のは“

「酷くね!? 色々と酷くね!?」

「パパ、ロリコンです?」

「違うから!」

***

むう、ひょんな事からロリコンのレッテルを貼られてしまった。

マンドラちゃんを娘のように思ってるのは事実だが、解せん。

「ところでパパ。マンドラちゃんはここから動けないですよ。どうやって付いていけばいいです? マンドラちゃんを抜くとマンドラちゃん死んじゃうですよ? パパも死んじゃうですよ?」

”あー“

”マンドラゴラって引っこ抜くととんでもない叫び声あげて抜いた相手を死なせるんだっけ“

”因みにマンドラゴラを紐に括り付けて犬に引っ張らせるってやり方が有名“

”動物虐待で草も生えん“

”けどマンドラちゃんも死ぬのか……“

”スコおじどーすんだよ“

なんか色々心配されてるけど、自分ならどうとでもなるんだけどね。

要するに、抜かなければいいのだ。だから。

「マンドラちゃんごと地面を掘る」

”あっ“

”その手があったか!“

マンドラちゃんの周囲にスコップを突き立て、だいたい30cmの深さくらいまで掘って土ごと掬い上げる。

「わ、わあ! すごいのです! パパすごいのです! とても高いのです! パパと同じ高さなのです!」

「そうかそうか。本来なら植木鉢に入れるんだが、生憎と持ってきてないからね、これで我慢してくれ」

「はいなのです! これでパパと一緒にいられるのです!」

土の部分を土嚢袋に入れて紐で括る。今日にでもホームセンターで植木鉢を買おう。

「さて、実験も上手くいきましたし、何より! ロリコンと言われて傷ついたので今日の配信はここまでにします。お疲れ様でした!」

”ちょ!?“

”そんな怒んなし“

”悪かったって“

”スコおじ怒らせおって“

”おっさんはロリコンって言いふらしてやるぜ“

”お前……訴えられても知らんぞ“

”スコおじ様! 私はスコおじ様がロリコンでもお慕いしておりますわ!“

”変態ネキもブレねーな“

配信を終了しました――