軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第50話 邪魔ならどかせばいいじゃない

「よし、出発しよっか」

「ふむ」

翌日、私たちは穴を戻り、再び元の道への道を探しながら歩く。

でも、歩けども歩けども上に登る道がない。やっぱり、崖下から上に行くのは大変みたい。

気づけば、あっという間に一日が過ぎていた。

「なかなか合流できないね」

「我に乗れば一瞬だが?」

「それじゃあ、つまらないでしょ」

「ふんっ、全く面倒なやつだ」

そりゃあ、アークの背中に乗ったら一瞬で合流できるかもしれない。でも、それじゃあ折角の山越えイベントが台無しになる。

こういうのは、しっかり自分の力で解決してこそ達成感が増すというもの。そういうズルはしたくない。

また野営して、次の日もひたすらに歩く。

でも、そこで予期せぬ出来事が私たちを待ち受けていた。

「あちゃー、これどうしよ。橋が落ちてる」

そう。結構幅のある崖に掛かっていたつり橋が落ちてしまっている。腐りきっているところを見ると、この道は長らく使われてなかったみたい。

今は使われなくなった旧道なのかも。

それはさておき、これじゃあ、ここは通れそうにない。別の道を探さなきゃ。

「我に乗れば、飛び越えられるが?」

「あっ、そうか。飛び越えればいいんだ」

アークの言葉を聞いてピンと閃く。

私には、アークの牙にも負けない体、いくら走っても疲れない体力、アークを封印していた門や鎖を破壊する腕力がある。

と、いうことは、脚力も並みじゃないはず。

――ピョーン、ピョーンッ

その場で軽く飛び跳ねてみる。

おおっ、数メートルくらいは飛び上がってるね。もっと早く気づいていたら、別の選択肢がとれたかもしれないけど、今更そんなこと言ってもしょうがない。

――ピョーーン、ピョーーンッ

少し強めに飛んだら、十メートルくらいは飛べた。これならいけそうな気がする。

「お前は絶対に人間を止めてるぞ?」

「そうかな?」

他にもスキルを持っている人たちはいるし、冒険者がモンスターと戦っている世界だから、私よりも身体能力が高い人は沢山いそうだけどな。

こっち側から対岸までは多分二十メートル以上ありそう。でも、助走をつけて飛べばどうにかなるでしょ。

「落っこちたら、助けてね」

「ふんっ、しょうがない奴だな」

アークがフォローしてくれるならもう安心。

私は崖から少し離れて走り出し、ギリギリのところで地面を踏み切った。

「わぁああああああああっ!!」

凄まじい勢いで対岸へと飛んでいく。

「っととっ」

着地で少しバランスを崩したけど、どうにか飛び越えることに成功した。

ふぅ、良かった。

「ふんっ、問題なかったようだな」

後ろからアークが軽やかな着地で崖を越えてくる。流石だね。

それからまた歩き続けて一日が過ぎた。

「あとどれくらい?」

「匂いが強くなってきた。もう少しだろう」

「ほんと?」

「うむ。我の鼻に嘘はない」

ようやく道が近づいてきたらしい。大分遠回りする羽目になったなぁ。

そして、山越え四日目。

「あっ、人だ!!」

ようやく自分以外の旅人を発見した。

やっと元の道に戻って来れたみたい。ここまで本当に長かった。でも、頑張ってきて良かったと思う。達成感もひとしお。

しばらく感慨に耽ってしまった。

見つけた旅人の姿を見失わないように、後をついていく。

両脇が岸壁に挟まれているような構造の道が続いていた。

「なにやら騒がしそうだぞ?」

「え、どうしたの?」

「前で人が群がっている」

「なんだろう」

さらに進むとアークの言う通り、沢山の人が屯ろしていた。

何があったのかと思っていたら、この集団の一番前の人の前に大きな岩があって道を塞いでいるのが見える。

なんだ、そういうことか。

「すみません、ちょっと通りますね」

「な、なんだ、割り込みか?」

「私がどうにかしてきますから、そうしたらすぐに通れるようになりますよ」

「はぁ?」

私は困惑する人々の合間を抜けて先頭まで進む。

「あの、どうされたんですか?」

「どうにもこうにもこの岩のせいで通れ――」

そこにいる人に話しかけたら、話の途中で突然言葉を止めた。

「どうかしましたか?」

「い、いや、なんでもない。だから、戻ろうか悩んでいたところなんだ」

不思議に思って問い返すと、男は焦ったように首を振ってから話を戻す。

なんだろう、この人とどこかで会ったことあったかな? なんだか声に聞き覚えがあるような気もするけど。

まぁ、気にしなくてもいっか。思い出したら、その時に考えよう。

「なるほど。それじゃあ、私がこの岩をどかしましょうか?」

「お嬢ちゃんみたいな細腕に何ができるっていうんだ?」

「まぁまぁ、見ててください」

「お、おいっ、ちょっと――」

私は一番先頭にいた人の制止を振り切って、巨大な岩の前に行ってしゃがみ込んだ。

「よい、っしょ!!」

地面と岩の間に手をねじ込んで、頭の上に持ち上げる。

うん、全然重くない。流石超健康だね。

「これで大丈夫だと思います。私はこのまま岩を運んでいきますね」

『……』

砕くのも邪魔にしかならなさそうだし、壁に挟まれているので放り投げられそうにない。このまま持っていくしかなさそうだ。

私は岩を頭の上に持ち上げたまま、先へと進んだ。