軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第120話 一網打尽

アークがクラウンフォレストの残骸が崩れ落ちる中を駆け抜ける。

「トレントたちは?」

残骸で森の様子が見えないのでアークに尋ねた。

『お前が何かしたのであろう? 全部朽ち始めたわ』

「そっか、上手くいってよかった」

私はホッとため息を吐く。

『いったい何をしたのだ?』

「植物だから除草剤いっぱい飲ませて上げたんだよ」

『ふむ。それはトレントたちもひとたまりもないだろうな』

除草剤がどこまで効果があるか分からなかったけど、ちゃんと効き目があってよかった。これでこの森のトレントたちは全部退治できたかな。

「あれは?」

クラウンフォレストが崩れ落ちる中、朽ちずに落下していく物が目に入る。

『なかなか大きな魔石だな』

そう、それは巨大で綺麗な球体をした魔石だった。

「アーク」

『分かっている』

アークが器用に移動して口でキャッチした後、地面に着地。アイテムバッグに魔石を仕舞うと、皆のところに向かう。

周囲を埋め尽くしていたはずのトレントは、影も形もなくなっていた。トレントを倒しまくったせいで森がスカスカになっている。

わ、私たちは被害者だし、視界が良好になってトレントに襲われる心配もなくなったんだから結果オーライだよね……。

変わり果てた森を見ながら私はそれ以上考えるのをやめた。

エリアたちがいる場所に近づくと、全員が馬車の外に出ているのが見える。私とアークを見つけるなり手を振ってきた。

様子を見る限り、全員無事みたい。

「ピィッ!!」

皆のところにたどり着く前に、エアが私の胸に飛び込んできた。

「エア、皆を守ってくれてありがとう。頑張ったね」

「ピィッ、ピィッ!!」

受け止めてエアの頭を撫でると、嬉しそうに目を細めて翼をはためかせる。

まだ生まれたばかりなのに、強くて賢くて、うちの子は天才に違いない。

頬ずりしながら褒めまくっていると、皆が集まっている場所に到着。

「アイリスさん、死んだかと思いましたのよ!?」

アークから降りるなり、今度はエリアが私に抱き着いてきた。

「むごむご」

「ピゴピゴ」

エリアの豊満な胸に埋もれて上手く言葉にならない。

「いきなりあの化け物の口の中に飛び込んでいくんですもの」

「ぷはー。あぁ~、ごめん」

「ピピィ」

なぜか伝わったらしく、エリアが心配していた理由を知った。

私は自分がほぼ無敵だと知っているけど、エリアは何も知らない。クラウンフォレストの中に飛び込んだ私は、死んだと思ったみたい。

それは他の皆も同じだ。涙ぐんでいる人もいる。ちょっと悪いことしちゃったな。

「アイリスさん、無事だったんだね」

エリアが落ち着いた後、ヒイロさんが話しかけてきた。

「はい。そちらも大丈夫でしたか?」

「うん、エアの活躍のおかげでこちらは無傷だよ。それより、突然トレントが崩れ落ちたんだけど、アイリスさんがやってくれたんだよね? ありがとう」

「いえ、ちょっと賭けでしたが、上手くいってよかったです」

改めて周囲を見回したけど、誰一人欠けていないみたいで何より。

ただ残念なのは、トレントの残骸からは魔石は発見できなかったこと。もしかしたら、クラウンフォレストが増やしたトレントには魔石がないのかもしれない。

分体みたいな感じだったのかもね。

「あの、アイリスさん、ちなみにアークさんはそれが本当のお姿なんですの?」

落ち着いたところで、エリアがアークの姿を見つめながら尋ねた。

皆、気になっていたと思う。緊急事態だったので、アークが全力で戦うために元の大きさに戻ってもらっていた。

「そうだよ」

これ以上隠すつもりもないのでアークのことを説明する。勿論、面倒なことになりそうなので、災厄だなんだという部分は伏せておいた。

「それはお強いわけですわね……」

アークの正体に関しては黙っていてくれるように頼むと、皆頷いてくれる。これでアークがブラックウルフじゃないことはバレないはず。

体力的なものは全く問題ないけど、命の危機に晒されていたので、一旦、休息を挟む。

気を取り直して私たちはマナビアを目指して出発した。

「ひとまず、トレントの脅威は去ったけど、他の危険がないとは限らない。街に着くまで気を抜かないようにしてくれ」

『了解』

それからは特に何事もなく、マナビア側の関所要塞にたどり着く。

クラウンフォレストが出たことを報告。

「なんだと!?」

討伐したことを言う前に混乱状態になってしまった。

「そ、そうか」

でも、落ち着かせてからクラウンフォレストは討伐したことを伝えると、マナビアの駐屯兵士はホッと安心していた。

そこで森での出来事を事細かに聞かれることになった。

「こ、こんなに巨大で綺麗な魔石は初めて見ました……」

ただ、証拠らしいものがないので、クラウンフォレストから出た魔石を見せると、兵士たちは呆然となった。

一応、ラビリス共和国側にも連絡して調査をすることになるらしい。かなりの数の木が減っているので、何かがあったのは分かるはず。

ただ、私たち以外目撃者がいないし、魔石以外の証拠がないので、過去の事例と比較するくらいしかできないと思う。

すでに日も暮れてしまっていたので、要塞で一泊。次の日に再び移動を再開。

「あ、見えてきましたわよ」

その日のうちに前方に街が見えてきた。