軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第111話 仁義なき戦い

「夕食はどうするの?」

ご飯を食べる前にお風呂に入ってしまった。

夜番も私以外の冒険者たちが引き受けてくれるというので、私含め、全員がすでに寝間着に着替えてる。さすがにこの姿で外に出るわけにもいかないよね。

「持ってきてくれることになっていますわ」

「そっか、良かった」

想定済みらしく、ホッとため息を吐いた。

お互いに髪を乾かしながら梳かしていると、外から声が聞こえてくる。

「お嬢様、夕食をお持ちしました」

「ありがとうございます。中に入ってくださいまし」

女性冒険者たちが料理を運びこみ、慣れた様子でテント内のテーブルに置く。

大きな商会だけあって、私にくれたバッグよりも高性能かつ大容量のマジックバッグを持っているのか、生の食材が使われていた。

お昼に出さなかったせいか、料理が沢山ある気がする。特に、アークとエアの分は特別マシマシで増量してあった。

お昼の食べっぷりを見て配慮してくれたらしい。すごく助かる。

「紅茶をお入れします」

「お願いしますわ」

食べ終わった後、カリヤさんが紅茶を入れてくれる。

いい香りがテント内に広がった。

「お待たせしました」

「ありがとうございますわ」

「ありがとう」

ティーカップとドライフルーツやナッツ類の乗った皿がテーブルに並べられる。

アークとエアは一つのベッドを占領してすでに寝息を立てて眠っていた。

私たちは三人でテーブルを囲む。

エリアが紅茶を一口飲んで受け皿に置いた後、口を開いた。

「明日はいよいよベルンの森ですわね」

「そんなに怖い所なの?」

少し聞いたけど、馬車が通れるだけの道は整備されているし、定期的な行き来もあるみたいだから、それほど大変な場所じゃないと思ってたんだけど。

「外の要塞を見て分かる通り、モンスターが沢山棲息していて人間の領域に侵攻しようとする場所ですの。護衛の力が足りないと、数の暴力で殺される可能性も少なくありませんことよ」

「へぇ~、そうなんだ」

確かに、いくら強くても圧倒的な数に対抗できないことはあるもんね。

「過去に商隊が何度か壊滅したこともございます」

「え、そんな危険な場所にエリア来ちゃったの?」

カリヤさんの補足を聞いて、思わずエリアの顔を見つめる。

「ヒイロさんたちが居ますし、何よりアイリスさんが居ますからね」

エリアはなんでもないような澄ました顔で答えた。

「まだ何もしてないけど……」

私たちはずっとエリアの傍にいただけで、力の片鱗すら見せてない。それなのに、期待されすぎて困惑してしまう。

「活躍はたくさん聞き及んでおりますわ。もしもの時は頼りにしてますわよ?」

「まぁ、依頼を受けてる身だし、何かあったらちゃんと守るよ」

護衛なのに、今はただのエリアの話し相手になっているので少し申し訳ない。もしもの時はその役割を果たすことで返したいと思う。

しばらくの間、私たちは紅茶を飲みながら他愛のない話をしていた。

あれ、これってもしかして……。

話している途中で、ふと気がついて私は思わず呟いた。

「パジャマパーティー?」

「それはなんですの?」

エリアが首を傾げる。カリヤも後に続いた。

「パジャマパーティーっていうのは、友だちの家に泊まり込んで、寝間着姿で遊んだり、おしゃべりしたりすることだよ」

これも前世でやってみたいなと思っていたことの一つ。ずっとできなかったけど、あっさりと実現してしまった。

「確かに今の状況に当てはまりますわね。どんな遊びをしますの?」

「例えば、こうやって――」

「うぷっ」

私は席を立って、ベッドの上にあった枕を《《軽く》》放り投げると、枕はエリアの顔に吸い込まれた。

「枕を投げたりとか?」

「何するんですの!?」

エリアがどうにか受け止めた枕をずらして声を荒らげる。

「枕投げっていう、お互いに枕を投げ合う遊びだよ。基本的に特にルールとかがあるわけじゃなくて投げ合うだけなんだけどね。稀にちゃんとしたルールを決めてチームに分かれてやることもあるけど」

「こんなはしたない真似、淑女がするはずがありませんことよ!!」

「嘘じゃないって。私の故郷ではしてたよ」

枕投げっていつから流行ったんだろうね。由来とかは知らないや。

「本当に?」

「うん」

「そうですか……それでしたら、受けて立たねばなりませんわね」

私が嘘をついていないことが分かると、エリアは立ち上がって枕を投げるポーズをとる。

背後にゴゴゴゴゴと燃える炎が見える気がした。

「私もお嬢様に加勢いたします」

さらにカリヤさんが別の枕を取って来て、エリアの背後に立って枕を構える。

「ズルい!! 二対一じゃん」

私はすぐに二人から距離を取った。

「ふふふっ、カリヤも私の力のうちです」

「こうなったら容赦しないからね」

二人相手では、手加減していると足元をすくわれるかもしれない。テント内にあるものを壊さない程度には力を出そう。

「いいでしょう。それではいきますよ!!」

「いつでも掛かってきなさい!!」

こうして私VSエリア・カリヤ連合による仁義なき戦いが繰り広げられた。